オメガのスピードマスター シルバー スヌーピー アワードの魅力とは

オメガのスピードマスターには、宇宙とのつながりを感じられる記念モデルがいくつかある。「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード」もそのひとつだ。“スヌーピーモデル”には、どのような魅力があるのだろうか。過去のコラボレーションモデルの特徴も交えて、深掘りしていこう。

スヌーピーとオメガのつながり

2020年、オメガの「シルバー スヌーピー アワード」受賞50周年を記念して、スヌーピーをテーマとしたスピードマスターが発表された。まずはこの記念モデルの魅力をより深く感じられるよう、スヌーピーとオメガの関係を知っておこう。

NASAから「シルバー スヌーピー アワード」を受賞

オメガは1970年、スピードマスターが宇宙開発に大きく貢献したことを受け、NASAから「シルバー スヌーピー アワード」を受賞した。人類初の月面着陸にスピードマスターが同行した、翌年のことである。

シルバー スヌーピー アワードとは、有人宇宙飛行ミッションの成功に大きな貢献を果たした人や組織に授けられる賞を指す。受賞者には、宇宙服姿のスヌーピーをかたどったバッジと、宇宙飛行士からの感謝状が贈られる。

NASAは有人飛行ミッションの番犬となり得る、人々に広く知られるキャラクターとして、この賞にスヌーピーを採用した。

宇宙開発の安全と成功を見守ることになったスヌーピーは、アポロ13号での救出劇をはじめとした場面でスピードマスターが活躍したことを受け、オメガの下へも行くことになったのである。

スヌーピーとコラボレーションしたスピードマスターは複数

オメガがスヌーピーとコラボレーションしたスピードマスターを発表したのは、2020年が初めてではない。実は03年と15年にも、インダイアルや裏蓋にスヌーピーをあしらったモデルが登場した。

いずれも生産終了モデルではあるが、中古市場では愛好家の絶大な人気を集め続けている。記念モデルは全般的に人気が出やすいが、オメガの宇宙開発への貢献が感じられるスヌーピーコラボモデルは特に、男のロマンをくすぐるだろう。

スピードマスター スヌーピー アワードの生産終了モデル

シルバー スヌーピー アワード受賞を記念したスピードマスターのうち、24年4月時点で生産終了となっているモデルは2種類である。この2モデルの特徴を踏まえた上で、20年発表のスピードマスター シルバー スヌーピー アワードを見てみると、その進化がよりよく分かるはずだ。

2003年発表のRef.3578.51.00

Ref.3578.51.00は03年に発表されたスヌーピーモチーフのスピードマスター第1弾だ。当時のスピードマスター プロフェッショナルとデザインはほぼ変わらないが、9時位置のインダイアル（スモールセコンド）に宇宙服を着たスヌーピーが描かれている。

裏蓋にも、同じく宇宙服姿のスヌーピーがカラフルな色調であしらわれた。「Snoopy Award」「Limited Edition」の文字も、特別感を味わえるポイントだ。

スヌーピーの頭上に書かれた「“Eyes on the Stars”」は、アメリカ合衆国の第26代大統領セオドア・ルーズベルトの名言、「Keep your eyes on the stars and your feet on the ground.（目は星に、足は大地に）」から取ったものだ。このフレーズは、後に発表されるスヌーピーコラボモデルにも取り入れられている。

2015年発表のRef.311.32.42.30.04.003

15年には、オメガのシルバー スヌーピー アワード受賞のきっかけになった、アポロ13号の救出から45周年を記念したモデルが作られる。このRef.311.32.42.30.04.003は03年モデルとは違って、モノトーンでまとめられた1本だ。裏蓋のスヌーピーは、シルバー スヌーピー アワードのメダルと同じ仕様である。

1970年、アポロ13号の酸素タンクが爆発し、電力不足の中で乗組員たちが取り残されるというアクシデントが起こった。そのため、アポロ13号は地球に帰還すべく手動でエンジンを逆噴射させ、大気圏への再突入時に機体の軌道を修正する必要があった。この極めて困難な作業の中で活躍したのが、オメガのスピードマスターである。

彼らはスピードマスターで逆噴射に必要な「14秒」という時間を割り出し、無事に地球へと帰還したのだ。このエピソードから、Ref.311.32.42.30.04.003の秒目盛りの内側には「WHAT COULD YOU DO IN 14 SECONDS?　（⁠14秒で何ができた⁠？⁠）」の文字が刻まれている。

スピードマスター シルバー スヌーピー アワードの魅力

現行モデルであるスピードマスターの記念モデル（シルバー スヌーピー アワード Ref.310.32.42.50.02.001）は、過去のスヌーピーモデルとは一線を画す仕上がりだ。その魅力を知れば、さらにスヌーピーとオメガのつながりが深まったことを感じられるだろう。

スヌーピーを存分に楽しめるディテール

Ref.310.32.42.50.02.001も、9時位置のサブダイアルにスヌーピーがあしらわれている点は、過去のコラボモデルと同じだ。ホワイトの文字盤には、ベルトやタキメーターベゼルと同じブルーのインダイアルが並ぶ。

対して過去のモデルと大きく違うのは、裏蓋の仕様だ。単にスヌーピーがあしらわれているのではなく、スヌーピーが月の裏側を旅するように作られているのだ。クロノグラフをスタートさせると、司令船に乗ったスヌーピーが裏蓋に現れ、円を描くように動く。

高性能なムーンウォッチ用ムーブメントCal.3861

オメガの大きな魅力として、高性能なムーブメントが挙げられる。Ref.310.32.42.50.02.001に搭載されているのは、過去のスヌーピーコラボモデルよりも性能が高いCal.3861だ。

Cal.3861は、C.O.S.C.（スイスクロノメーター検定協会）のテストをクリアしたムーブメントだ。さらにオメガとMETAS（スイス連邦計量・認定局）が共同で設けたマスター クロノメーターの規格も認定されている。

マスター クロノメーターとは1万5000ガウスの耐磁性能や6姿勢による姿勢差誤差など、8つのテストをクリアしなければならない規格だ。現在、この規格をクリアしている時計メーカーは現時点でオメガとチューダーしかない。

コーアクシャル脱進機を採用しているのも、Cal.3861の強みだ。コーアクシャル脱進機は従来、多くのムーブメントで用いられるスイスレバー脱進機と比べ、摩擦が生じづらい。結果、オイル切れが起きづらいため、メンテナンスの負担軽減につながる。高性能なムーブメントは、NASAから授けられたシルバー スヌーピー アワードを記念するムーンウォッチにふさわしい。

スヌーピーとオメガの絆を手元で感じよう

オメガには、宇宙開発へのスピードマスターの貢献やシルバー スヌーピー アワードの受賞を記念して、スヌーピーをモチーフとしたモデルがある。大きな進化を遂げた現行モデルはもちろん、過去に発表された2モデルも愛好家の人気を集める逸品だ。

スヌーピーとオメガの絆を体現した特別なスピードマスターは、日々の暮らしの中でもロマンを感じさせてくれるだろう。