月面で着用された最初の時計という歴史を持ち、今もなお高い知名度を誇るオメガ「スピードマスター」。数あるラインナップの中でも、月の満ち欠けを表示するという、コレクションのバックグラウンドにふさわしい機能を備えているのが「スピードマスター ムーンフェイズ」だ。その特徴と注目モデルを確認し、ベーシックな「スピードマスター ムーンウォッチ」とは異なる、ムーンフェイズ搭載機ならではの魅力を探っていこう。
オメガ スピードマスターのムーンフェイズ搭載機とは
オメガの代名詞的存在であるスピードマスターには、ムーンフェイズモデルがラインナップされている。月の満ち欠けを表示するムーンフェイズは、ブランドの高い技術力を示す複雑機構のひとつだ。
まずは、ムーンフェイズ搭載機を擁するシリーズを確認するとともに、ムーンフェイズ機能を備えたスピードマスターの魅力を紹介しよう。
「2カウンター」のムーンフェイズモデル
スピードマスターは、次に挙げる6つのシリーズで構成されている。
・ムーンウォッチ プロフェッショナル:初めての月面着陸に携行された第4世代のスピードマスターをベースとするシリーズ
・ヘリテージモデル:記念モデルやブランド史に名を残す名機をオマージュしたモデルを展開するシリーズ
・ダーク サイド オブ ザ ムーン:ブラックセラミック文字盤のモデルを中心に、月面をイメージして作られたシリーズ
・スピードマスター 38MM:小さめのケース径でクラシカルなルックスに仕上げたシリーズ
・2カウンター:ふたつのインダイアルを持つシリーズ
・計器:宇宙飛行士とパイロットのためのツールウォッチを展開するシリーズ
ムーンフェイズモデルはこのうち、2カウンターで展開されている。2カウンターのラインナップは、ムーンフェイズのほか、クロノスコープとレーシング、スーパーレーシング、クロノチャイムの全5種類だ。
「スピードマスター ムンフェイズ」は2カウンターシリーズにラインナップされ、3時位置に12時間積算計と60分積算計、9時位置にはスモールセコンドとポインターデイトを搭載。ケース素材やカラーが異なる多彩なバリエーションを展開しているのも魅力だ。写真はステンレススティール製ケースにサンブラッシュ仕上げのブルーダイアルを組み合わせたRef.304.33.44.52.03.001。自動巻き(Cal.9904)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径44.25mm、厚さ16.9mm)。10気圧防水。172万7000円(税込み)。
月とオメガの歴史を感じるデザイン
「スピードマスター ムーンフェイズ」の魅力は、オメガと月の関係や歩みを強く感じられる作りだ。ベースとなるスピードマスターは、宇宙開発競争時代にNASAの認定を受けている。その後、第4世代のスピードマスターがアポロ11号の月面着陸に携行された。
スピードマスター ムーンフェイズのケースは、第4世代のスピードマスターと同じ造形である。リュウズガード付きのシャープなケースが全体をまとまりよく見せているため、ケースの厚みを感じさせない。
一部のモデルでは、文字盤のムーンフェイズに宇宙飛行士の足跡が付いた緻密な月の姿がある。ムーンフェイズモデルは、人間が月に届く瞬間を見届けたスピードマスターを受け継いだ、月とのつながりをより強く感じさせる時計と言えるだろう。
愛好家をうならせる機能性
スピードマスターのムーンフェイズモデルは、オメガの時計らしく高い機能性を備えている。ムーブメントには、C.O.S.C.(スイス公式クロノメーター検定協会)の認定を受けたCal.9904、Cal.9905が搭載されている。
オメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)が共同開発したテストをクリアし、マスター クロノメーターとして認定されているため、高精度で耐久性の高い、スピードマスターの魅力をムーンフェイズモデルでも味わえる。しかもこのムーンフェイズは、一般的な輪列では実現が困難な月齢約29.5日の周期に対応し、より正確性を高めている。
素材別スピードマスター ムーンフェイズの注目モデル
スピードマスター ムーンフェイズには、複数のケース素材が用意されている。素材によって魅力が異なるため、好み合った1本を選ぶためにも、ケース素材に注目してみよう。ステンレススティールとゴールド、セラミックス、プラチナの4素材から、それぞれおすすめの1本を紹介する。
ステンレススティール Ref. 304.30.44.52.01.001
自動巻き(Cal.9904)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径44.25mm、厚さ16.9mm)。10気圧防水。178万2000円(税込み)。
ステンレススティールケースのスピードマスター ムーンフェイズからは、サンブラッシュ仕上げが施されたブラック文字盤のRef. 304.30.44.52.01.001をピックアップする。直径44.25mmと第4世代のスピードマスターより大きく、存在感がある1本だ。
ステンレススティールは、さびにくく硬い。本来ステンレススティールは光沢がある素材だが、本作のケースとブレスレットは、大部分にサテン仕上げを施して落ち着いた表情に仕上げられている。
タキメーター付きのベゼルは、ブラックセラミックス製だ。6時位置に配置されたリアルな月が、スポーティーなフェイスのアクセントとなっている。
ステンレススティール - セドナゴールド Ref. 304.23.44.52.13.001
自動巻き(Cal.9904)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×18Kセドナゴールドケース(直径44.25mm、厚さ16.9mm)。10気圧防水。240万9000円(税込み)。
ステンレススティールを他の素材と組み合わせると、時計の印象は一変する。その一例がRef. 304.23.44.52.13.001で、ケースにステンレススティールとオメガの独自素材であるセドナゴールドを用いた、実にエレガンスを感じさせるムーンフェイズモデルだ。
セドナゴールドの特徴は、18Kゴールドが持つ輝きはそのまま、経年変化に強い点である。ゴールドが持つ色合いや輝きを長く楽しめるのは、愛好家にとって大きな魅力だ。
本作は、ブラウンセラミックスのベゼルに、オメガ独自の「セラゴールド」技術でセドナゴールドの目盛りが刻まれている。文字盤とレザーストラップも、ベゼルと同じブラウンだ。緻密な月の姿も相まって、クラシカルな雰囲気を醸し出している。
ブルーセラミックス Ref. 304.93.44.52.03.001
自動巻き(Cal.9904)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックケース(直径44.25mm、厚さ17mm)。10気圧防水。214万5000円(税込み)。
スピードマスター ムーンフェイズには、セラミックケースのモデルもラインナップされている。
中でもブルーセラミックスをケースに使用し、「ブルーサイド オブ ザ ムーン」とネーミングされたRef. 304.93.44.52.03.001は、ダークブルーの夜空をイメージして製作された1本だ。
本作ではケースはもとより、ダイアルやムーンフェイズディスクにもブルーセラミックスを採用し、ムーンフェイズの月の姿はリキッドメタルで繊細に描かれている。ストラップにも深みのあるブルーのアリゲーターを用いており、吸い込まれそうなダークブルーの空の色を見事に表現している。
プラチナ Ref. 304.93.44.52.99.001
自動巻き(Cal.9905)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径44.25mm、厚さ17.1mm)。10気圧防水。619万3000円(税込み)。
デザインや機能はそのままに、より品格のある表情を求めるなら、プラチナ製のスピードマスター ムーンフェイズにも注目したい。プラチナはゴールドよりも希少で重厚感があり、耐食性に強い利点も備える素材だ。
世界限定57本のRef. 304.93.44.52.99.001は、ケースと文字盤にプラチナ950を使用したスピードマスター ムーンフェイズである。レッドアルミナ製のムーンフェイズディスクに浮かぶふたつの月は、プラチナ リキッドメタルで表現された。
バーガンディのレザーストラップやレッドアルミナ製のベゼルリングも、深い色合いで、実に上品な雰囲気を放っている。特別感な1本を探しているなら、ぜひ1度手に取ってみてほしい。
月の満ち欠けをスピードマスターで味わおう
月相を文字盤で確認できるムーンフェイズモデルは、月とのつながりが深いオメガのスピードマスターにふさわしい複雑機構だ。丁寧に作り込まれたディテールや高い性能を体感すれば、ブランドの歴史と技術力に圧倒されるはずだ。
スピードマスター ムーンフェイズには、ステンレススティールからゴールド、セラミックス、プラチナまで、素材の選択肢も多い。好みの素材から、気に入った1本を選んでみるのも面白いだろう。
参考サイト:https://www.omegawatches.jp/
https://www.webchronos.net/features/107319/
https://www.webchronos.net/features/94246/
https://www.webchronos.net/features/112146/