オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」の魅力と希少性

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2024.04.13

オメガのスピードマスターにはバリエーションが多い。中でも個性を放つのが、鉄隕石を使用した「グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」だ。この特別なモデルにはどのような魅力があるのか、鉄隕石の希少性を踏まえて深掘りしていこう。

オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」


スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライトの魅力

オメガのフラッグシップコレクションであるスピードマスターには、メテオライト(隕石)が使われている腕時計「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」Ref.311.63.44.51.99.002がある。このモデルの特徴を知れば、同作が特別な腕時計であることが分かるだろう。


宇宙から飛来した隕石を文字盤に使用

Ref.311.63.44.51.99.001の文字盤には、ギベオン隕石が使われている。ギベオン隕石とは、鉄とニッケルを主成分とする鉄隕石(アイアンメテオライト)の固有名称だ。鉄隕石のうち、先史時代のナミビアに落ちたとされるものがギベオン隕石と呼ばれている。

オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」

オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」Ref.311.63.44.51.99.002
自動巻き(Cal.9300)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックケース(直径44.25mm、厚さ16.1mm)。5気圧防水。264万円(税込み)。

ギベオン隕石をはじめとした鉄隕石には、断面に酸で処理を施したときに現れる「ウィドマンシュテッテン構造」という幾何学模様がある。この模様が、スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライトの文字盤に独特な表情を与えているのだ。

燃え尽きずに大気圏を突破して、地上に落ちてくる隕石はそれ自体が少ない。さらにその中で文字盤に使えるサイズとなると、非常に稀である。そんな素材を文字盤に使用したスピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライトはまさに、稀少価値の高いモデルと言えるだろう。


唯一無二の模様と神秘的な輝き

Ref.311.63.44.51.99.002の文字盤に使われるメテオライトの幾何学模様は、その石によって違い、同じ模様の文字盤はふたつとない。1本1本が唯一無二のスピードマスターなのだ。

オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」

文字盤にはイベオン隕石を使用する。ウィドマンシュテッテン構造によって出来上がる模様は、その個体だけのものだ。

さらに18Kセドナゴールドのベゼルとインデックス、セラゴールドテクノロジーを採用したタキメーターベゼルなど、メテオライトの文字盤を引き立てる素材使いも秀逸である。なお、セドナゴールドもセラゴールドテクノロジーも、オメガ独自の素材や技術だ。


高性能なコーアクシャル ムーブメント

スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライトを動かすのはコーアクシャル脱進機を備えた自動巻きムーブメント、Cal.9300である。

コーアクシャル脱進機は同軸脱進機とも呼ばれ、ガンギ車とアンクルの接触面積が少ないため、摩擦が生じづらい。これにより油切れが起こりづらく、また摩耗もしずらいため、メンテナンスの頻度が抑えられる。

オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」

搭載されるCal.9800はコーアクシャル脱進機を持つ、自動巻きクロノグラフムーブメント。ツインバレルによって、約60時間のパワーリザーブを確保する。

また、コーアクシャル脱進機を備えたムーブメントは、精度が安定しているのが強みだ。一般的にムーブメントは振り角が高い(=主ゼンマイが巻き上がっている時)ほど精度が安定するが、拘束角(アンクルが左右に動く角度)が低いコーアクシャル脱進機は、振り角が低かった(=主ゼンマイが解けてきた状態)としても安定した時を刻める。


メテオライトの稀少製と価値

メテオライトがいかに珍しい素材かを知ることで、スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライトの魅力をより深く感じられる。ギベオン隕石を含む鉄隕石について、稀少価値の高い素材だと言える根拠をふたつ紹介しよう。


地球上のどの物質とも異なる組成

ギベオン隕石のような鉄隕石は、地球上にない成分が含まれている。地球上には、メテオライトと全く同じ組成のものはない。

鉄隕石は、地球上にある鉄とニッケルの合金とは磁気的な構造が違う。鉄が多く含まれるα相とニッケルを多く含むγ相の境界に、「テトラテーナイト」と呼ばれる薄い鉱物の層が確認されている

テトラテーナイトの特徴は、N極とN極が向き合って存在できるようになる磁気異方性を持つことだ。その機能性は、次世代の磁性材料として知られる鉄プラチナに匹敵するとまでいわれている。


約46億年かけて形成された幾何学模様

鉄隕石が持つウィドマンシュテッテン構造(幾何学模様)は、100万年に1°Cという非常に遅い速度で、鉄とニッケルの合金が冷却されることで形成される。100万年に1°Cのペースだとすると、ウィドマンシュテッテン構造が形成されるまでに約46億年もかかる計算だ。

オメガ「スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライト」

ギベオン隕石の文字盤に併せて、ケースはグレーセラミックス、ストラップもグレーのクロコダイルを組み合わせる。グレーを基調とした外装に、18Kセドナゴールドのメタライズが映える。

さらにウィドマンシュテッテン構造は、加熱によって壊れてしまう不可逆的なものである。同じ構造を人工的に作ろうと思っても、不可能なのだ。メテオライトのスピードマスターは、地球が刻んだ悠久の時をもって初めて誕生する、奇跡の1本と言えるだろう。


メテオライトの神秘を堪能できるスピードマスター

スピードマスター グレーサイド オブ ザ ムーン メテオライトRef.311.63.44.51.99.002は、ギベオン隕石を文字盤に採用した稀有な腕時計だ。鉄隕石特有の幾何学模様は1本1本違うため、自分だけのスピードマスターとして愛でられる。

特別な腕時計を探しているなら、地球誕生からの歴史を体感できるこのモデルを選択肢に入れてみてはどうだろうか。手に取ってみれば、メテオライトとオメガの技術が作り出す神秘に心を奪われるだろう。


Contact info: オメガ Tel.0570-000087


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