2024年に発表されたパルミジャーニ・フルリエの新作時計を一挙紹介。ブランド創設当時のコレクションである「トリック」が、現代のエレガンスを再定義して取り込んだコレクションとして復活した。また、「トンダ」の新バリエーションにも、要注目である。
トリック プティ・セコンド
パルミジャーニ・フルリエのコレクションの名に「トリック」が復活する。トリックは、1996年のメゾン創設当時のコレクションのひとつで、コンサバティブでクラシカルなモデルが並べられていた。今回の復活で、クラシカルなシルエットは踏襲するものの、単純なリメイクに留まらず、現在のパルミジャーニ・フルリエの持つモダンさが発揮されたコレクションとなっている。
手巻き(Cal.780)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KRGあるいはPt950(直径40.6mm、厚さ8.8mm)。18KRGモデル:709万5000円。Pt950モデル:820万6000円(いずれも税込み)。
復活に際し、エレガンスの再定義が行われた。ムーブメントとダイアル、インデックスと時分針に至るまでゴールド、そしてケースはゴールドとプラチナ製という組み合わせに限定し、最高級の素材が生み出す光沢や色調をトリックに取り込んでいる。ムーブメントは手巻きに限定し、上質な仕上げを施すことで、古典的な時計文化の魅力を備えたものとしている。ムーブメントのデザインは古典とモダンが融合した印象を受け、これも再定義されたエレガンスに基づくものであろう。
カラーは、純粋主義の巨匠ル・コルビュジェが設定したカラーパレットから、大地と自然の色を引用し、純粋性と優美さが自然に溶け合うような新たなビジョンをトリックに持ち込んでいる。このカラーパレットに従うダイアルは、古典技術によって手作業でグレイン仕上げが施され、ヌバック加工されたアリゲーターストラップと組み合わされ、各モデルが構成されている。
「トリック プティ・セコンド」はスモールセコンドを備える3針モデルで、サンドゴールドカラーのダイアルに18KRGケースの組み合わせと、セラドン グリーンカラーのダイアルにプラチナケースの組み合わせの2種類が用意される。搭載されるCal.PF780は、ふたつの香箱とテンプ、コート・ド・フルリエと呼ぶ装飾が施された大きなプレートが見えるだけという外観を持つ。パワーリザーブは約60時間。ケース径は40.6mmで、厚さは8.8mmに抑えられており、これもエレガンスに必要な要素と定義されているのだろう。
トリック クロノグラフ ラトラパンテ
手巻き(Cal.PF361)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRG(直径42.5mm、厚さ14.4mm)。50m防水。2128万5000円(税込み)。
「トリック クロノグラフ ラトラパンテ」は、2つの時間を同時に測定可能なラトラパンテ機能を有するCal.PF361を搭載する。これを制御するダブルコラムホイールが組み込まれ、アラベスクのようなスケルトン構造が与えられていることで、シースルーバックから各パーツの動きが鑑賞できる。
クロノグラフムーブメントなどの作動部分の多いムーブメントをゴールドのような柔らかい素材で、しかも精度高く製作することは難易度が高く、それを実現することに古典的な時計技術の美学やエレガンスが感じられる仕上がりである。
トンダ PF マイクロローター
パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF マイクロローター」に、ノンデイトモデルが登場した。「至上の純粋主義者」に向けて開発されたという本作は、シンプルさと同社らしさが共存したミニマルなデザインが特徴だ。
自動巻き(Cal.PF703)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。Pt×SSケース(直径40mm、厚さ7.8mm)。100m防水。要価格問合せ。
ダイアルは、気品と穏やかな雰囲気を持つゴールデン・シエナカラー。縞状のモアレ効果を持つ色合いを用いることで、大地の持つ自然らしいニュアンスを表現することに成功している。一面に施されているのは、同社ではおなじみのバーリーコーンのギヨシェ装飾だ。これによって、12個のインデックスと2本の針、12時位置のブランドロゴで構成されたシンプルなデザインが際立っている。
ケースとブレスレットは、堅牢なステンレススティール製。プラチナ製のベゼルには、ローレット加工が施されている。100m防水を備えながらもケースの厚さは約7.8mmに抑えられ、日常使いにも適している。ケースからブレスレットはシームレスにつながり、バックルに向かって流れるようなラインを楽しむことができる。
シースルーバックからは、マイクロローター式自動巻きムーブメント、Cal.PF703を鑑賞することが可能だ。職人の手作業による仕上げを存分に眺めることができる。
トンダ PF スケルトン
パルミジャーニ・フルリエの知名度を大きく押し上げた「トンダ」。そのスケルトンモデルである「トンダ PF スケルトン」にプラチナ製モデルが追加された。2022年発表のトンダ PF スケルトンは、スケルトン化という伝統的な技術を再考した上で、現代的な手法で再アプローチして生み出されたものであった。
自動巻き(Cal.PF777)。29石。2万8800振動/時。Ptケース(直径40mm、厚さ8.5mm)。100m防水。1844万7000円(税込み)。
基本は、ムーブメントを可能な限り開き、内部機構を可視化させつつ、構造的な強度を十分に確保した設計が取られている。さらに、光の入射と影、奥行きや、現代建築にて語られる“抜け感”を考えてデザインされた。
本作のデザインの魅力を高めるのが各所の仕上げである。手作業で慎重に面取りが施され、ALDミラノブルーに染められている。このムーブメントが、プラチナの輝きと、繊細にスケルトン化された時分針と組み合わって、トンダのデザインコードを備えたスケルトンモデルが構成されている。
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