4月9日(火)から15日(月)にかけて、スイスのジュネーブで開催される時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024。『クロノス日本版』およびwebChronosのチームは、取材のためにひと足早く現地に到着した。この時計業界のビッグイベントが始まる前に訪れた見本市会場や、その後のジェイコブの取材で目の当たりにした“大作”を、編集長の広田雅将が「見本市0日目」としてレポートする。
Text & Photographs by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[2024年4月9日公開記事]
「『クロノス日本版』編集長の広田雅将による、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024日記」
https://www.webchronos.net/blog/113426/
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024 取材前夜
スイスのジュネーブで開催される時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024。webChronosでは、この見本市はもちろん、周辺で開催される見本市も取材の予定だ。本誌編集長の広田が、取材メモを不定期で連載する。(予定
4月7日 イベント2日前
4月7日、夜の23時にジュネーブ着。フランクフルト乗り換えだったが、相変わらず地獄。ミュンヘンのほうがいい。荷物を引っ張って歩き、空港近くのホテルに泊まる。9泊って、何すりゃいいんですか。現地で両替をしようと思ったら、なんと1万円で50フランにしかならない。節約を決めて、翌朝ヨーグルトを買い込んだ。ちょっとゴージャスなのが1.80CHF、プレーンなやつは500gで1.25CHF。やすくて最高です。ついでに痩せたらいいなあ。ヨーグルト美味しい。
4月8日 イベント1日前
4月8日、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024に参加するにはバッジが必要だ。開催前日だが、会場を訪れて、事前にバッジをもらおうと思った。当日の朝はものすごく混むから、バッジをもらうだけでも長時間並ばねばならない。受付に尋ねたところ「メディアはeバッジのみです」という。わざわざ来る必要なかったのかあ。
昨年までは会場内へは事前に入れたけど、今年からはなくなった。情報のリークを恐れてだろう。ついでに会場の入り口も変わっている。W&Wの初日は混乱するんじゃないかね。空港で、中国の大コレクターであるデイヴィッド氏と会う。
16時から、ジェイコブの取材に行く。場所はホテル・デ・ベルグ。道ばたでアンデルセンのCEOであるアッシェリマン氏、イタリアのインフルエンサーと会う。後者は昔のアンデルセン・ワールドタイマーを付けていた。羨ましいなあ。そして、ジュネーブのブライトリングブティック前で「オービター」の実物を発見。めちゃくちゃ興奮する。
何があったのか、ここ数年のジェイコブは、ものすごく面白いプロダクトをバンバン出すようになった。2024年の大作は「アストロノミア レギュレーター」。トゥールビヨンと時針、分針が回るだけでなく、なんと、巨大なディスク状のプレートが1分間に1回転して、秒針の役目を果たす。説明してくれたのは、開発責任者の某氏(クロノス日本版本誌では名前を書くかもしれない)。ジェイコブ躍進の影には彼の存在がある。
「1分間に6回作動するルモントワールを載せたおかげで、秒ディスクの挙動が安定する」とのこと。確かに聞けば納得だが、巨大なディスクがぐりぐり回る様は圧巻だ。コレはヤバい。ちなみにジェイコブの複雑系は、基本的にコンセプト社が設計・製造している。コンセプトというとETA7750、セリタSW500の代替機を作っているってイメージがあるけど、本筋はこちらです。ちなみにアストロノミアの設計・製造もコンセプト。
そのほか、新しい「ビリオネア」も発表された。ハンズオン決めまくり。同席していたヨーロッパの女性ジャーナリストたちが満面の笑みを浮かべている。「お似合いですよ、1本いかがですか?」「あら、パトロンを探そうかしら」。
創業者のジェイコブ・アラボ氏も全面ダイヤモンドのビリオネアを巻いている。ポーズを決めてもらったが、まんざらではなさそうだ。
どさくさに紛れて、モデルさんたちのリストショットを撮った。会場内の様子を撮らないのは、ガチのVIPがいる場合があるから。超富裕層は、基本的に顔バレを嫌います。
ジェイコブの会場内でデイヴィッド氏の友人に中国製のトゥールビヨンを見せてもらう。文字盤のエナメルは、途方もなく出来がいい。「北京に遊びに来なよ」とのこと。
ジェイコブ後、市街地で夕食。おなじみのイタリア料理屋で、ピザはかなり美味しい。しかも高くはない。フォトグラファーの三田村氏、奥田氏、コントリの鈴木裕之氏、司令塔である副編集長の鈴木幸也。ランブルスコがあったので飲みまくる。1本36CHF。結構結構。食事をしながら、会期中の打ち合わせ。というわけで、会期0日目はオシマイです!(広田雅将)