2024年 H.モーザーの新作時計を一気読み!

2024.04.12

H.モーザーが2024年に発表した時計をまとめて紹介。今やH.モーザーを代表するコレクションにまで成長したストリームライナーの新作が、ウォッチズ&ワンダーズ2024ではメインとなった。最注目はトゥールビヨンをスケルトン化した「ストリームライナー・トゥールビヨン スケルトン」だ。

ストリームライナー・トゥールビヨン スケルトン

ストリームライナー・トゥールビヨン スケルトン

 H.モーザーのラグジュアリースポーツウォッチとして、2020年に発表されて以来高い人気を誇ってきた「ストリームライナー」に、満を持してスケルトンモデルが追加発表された。ムーブメントにはダブルヘアスプリングを備えたミニッツ フライング トゥールビヨンが搭載されており、中空で浮かんでいるような迫力ある駆動を堪能することができる。

H.モーザー ストリームライナー トゥールビヨン スケルトン

H.モーザー「ストリームライナー・トゥールビヨン スケルトン」Ref.6814-1200
自動巻き(Cal.HMC 814)。28石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm)。12気圧防水。予価1413万5000円(税込み)。

 H.モーザーがスケルトン仕様を手掛けたのは22年の「パイオニア・シリンドリカル トゥールビヨン スケルトン」からである。このモデルはミニッツ フライング トゥールビヨンを搭載したムーブメントとオフセンターのフュメ ダイアルを組み合わせたものであった。本作ではダイアルがすべて取り払われ、シースルームーブメントの全面が露わになっている。

 本作に搭載されるCal.HMC 814は、H.モーザー社の系列会社であるプレシジョン・エンジニアリング社で設計・製造されたダブルヘアスプリングを備える。このふたつのヒゲゼンマイにより、拡張時の各ゼンマイの重心の動きが補正、摩耗が軽減され、精度と等時性が大幅に向上する。

 また、香箱やローターまで、可能な限り肉抜きされている。しかしながら有機的で独特な有機的な描線や、左右の対称性、ラグを省き独創的なフォルムをした一体型ブレスレットなどの要素により、ミニマルな仕上げでありながらH.モーザーらしい個性とモダンさを感じさせる点が秀逸だ。

ストリームライナー・トゥールビヨン スケルトン

 アンスラサイトのメインプレートとブリッジには精密な面取りが施され、人間工学に基づいて設計されたケースはミドルケース部分にくぼみ、側面にはサテン仕上げ、ケース表面にはポリッシュ仕上げとブラシ仕上げが交互に施されている。トップとボトム部分はわずかにドーム型になったサファイアクリスタルで覆われている。

ストリームライナー・トゥールビヨン スケルトン

 インデックスはゴールドプレート仕上げだ。ふたつのパートに分かれた立体的な時針と分針には、スーパルミノバを混合したセラミックベースの素材であるグロボライト®のインサートが配されている。


ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード

 H.モーザーのアイコニックな「ストリームライナー」に、ジェード(翡翠)を組み合わせ、ブランドらしいミニマリストが光る個性とエレガンスを両立させる、世界で100本の限定モデルが登場した。

H.モーザー ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード

H.モーザー「ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード」Ref.6804-0406
自動巻き(Cal.HMC 804)。28石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KRGケース(直径40mm)。12気圧防水。世界限定100本。予価1950万3000円(税込み)。

 文字盤に用いられているジェードは、アメリカのワイオミング州で採掘された天然石がそのまま使われている。H.モーザーが選んだジェードは時計に深みを与える濃いオリーブカラーの、極めて希少なものだ。

 石本来の持ち味を生かす天然無処理を採用し、天然石ならではの美しさが保たれており、すべてのダイアルはふたつと存在しない。生成過程で自然に生じる繊細な柄や独特の色合いを持つジェードが構造に配慮しながらカットされ、組成が均一で卓越した純度を実現している。

 文字盤は、伝統的なクラフツマンシップと最先端の技術が融合した工程で製造される。まずは宝石細工職人による品質と美しさを兼ね備えたジェードの厳選から始まり、選ばれたジェードは CNC加工用切削液を使用して精密に切断され、厚さわずか1~1.2mmの薄板状に加工される。

ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード

 この薄板をジグの上に並べ、湿らせてからライトの下で確認し、ダイアル用に切り出すのに最適な位置が見極められる。金属板に接着した文字盤をCNCフライス加工で正確な形状に整えてから、所定の厚さに仕上げられる。この工程では、ジェードの均一な構造を損なわないようにするために高い精度が求められる。

 最後の仕上げは手作業による研磨で、欠けや傷が慎重に取り除かれ、自然な輝きが際立つ。ここから文字盤加工職人に引き継がれ、貼り合わせる真鍮が透けて見えないよう、またジェードの美しさを損なわないように、裏側に丹念に薄くニスを塗ってから文字盤が真鍮の土台に接着される。

 有機的な形状で構成されるケースと一体型ブレスレットには18Kレッドゴールドを採用。6時位置にはミニッツ フライング トゥールビヨンが配され、ジェードの力強さを際立たせている。

ストリームライナー・トゥールビヨン ワイオミングジェード

 搭載される自動巻きCal.HMC 804には、H.モーザーの系列会社であるプレシジョン エンジニアリング社で設計・製造された、精度と等時性を向上させるダブルヘアスプリングが使用されている。


ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー コンセプト スモークサーモン

 1年間の限定生産として発表された、パーペチュアルカレンダー搭載モデル。ヴィンテージ感漂うスモークサーモンカラーの文字盤に、時針、分針、秒針の他、月表示用の小さな針の4本のセンター針と、10時位置にロングパワーリザーブ用のインジケーター、そして4時位置にデイト表示を備える、非常にユニークな構造だ。

ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー コンセプト スモークサーモン

H.モーザー「ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー コンセプト スモークサーモン」Ref.6812-1201
手巻き(Cal.HMC 812)。33石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約168時間。SSケース(直径42.3mm、厚さ11.0mm)。12気圧防水。893万2000円(税込み)。1年間の限定生産。2024年5月頃発売予定。

 モデル名にも冠されている通り、本作はスモークサーモンカラーの文字盤が特徴だ。これはグリフェ仕上げ(仏語で「引っ掻く」の意味)を施すことでサテン状の質感が与えられたものであり、光によって印象を変え、手首の動きに合わせてチョコレートからゴールドへと色調を多彩に変化させる。

 サブダイアルやインデックス、ロゴを排したシンプルな文字盤には、スーパールミノバを混合したセラミックベースの素材であるグロボライト®のインサートが配された時針、分針などの針が視認性の良いコントラストを生み出す。月表示の赤・白の配色も文字盤によく映え、針は小さいながらに存在感がある。

ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー コンセプト スモークサーモン

 ムーブメントには約168時間のロングパワーリザーブを誇る、手巻きキャリバーHMC 812 を搭載。日付窓のある4時位置には、1から15と、16から31までの数字が記された2枚のディスクが組み込まれ、上下の層状になって交互に動作することにより日付が表示される。

 リュウズもこの位置に合わせた配置で、日付窓は数字を26°傾けるための角度に配置されている。日付は「フラッシュ・カレンダー」機能により、真夜中を過ぎると瞬時に日付を切り替わり、1日のいつでも前後に調整することができる。

ストリームライナー・パーペチュアルカレンダー コンセプト スモークサーモン

 機能面の最大の特徴は、複雑機構であるパーペチュアルカレンダーだ。閏年表示はサファイアクリスタルのケースバックから見えるムーブメント側に配置されている点も、いかにもミニマリズムを追求するH.モーザーらしい。

 ムーブメントのメインプレートはマイクロブラスト加工およびアンスラサイトのロジウムメッキ仕上げとなっており、ブリッジはダブルストライプの仕上げだ。テンプ、ブリッジ、輪列、香箱、脱進機にはアンスラサイトグレー PVD コーティングが施されている。


パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン

パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン

 驚くような展開で愛好家を楽しませてくれるH.モーザーらしい1本が発表された。「パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン」はその名の通り、パンチが効いたライムグリーンの文字盤が人目を引く腕時計だ。

パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン

H.モーザー「パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン」Ref.3201-1204
自動巻き(Cal.HMC 201)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径42.8mm、厚さ14.2mm)。12気圧防水。256万9000円(税込み)。

 この文字盤にはサンバースト仕上げが施されている。文字盤の外観が濃く、内側が薄いグラデーションを持つH.モーザーの代名詞のひとつであるフュメダイアルだ。時分秒針のみを配したシンプルな意匠により、色鮮やかな偏光デザインの文字盤のニュアンスを最大限に堪能できる。なお時分針の他、フランジにもスーパールミノバが塗布されており、暗所でもユニークに光を放つ。

パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン

 本作のプレスリリースも作風を映し、例えば「この時計はH.モーザーによる見事な『ディスり』でもあり、このブランドが誰にも屈しないことをあらためて証明しています」といった楽しげな文言が並ぶ。“外し”の1本としても食指が動く新作である。

パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン


パイオニア・センターセコンド コズミックグリーン

 色鮮やかなライムグリーンをまとった「パイオニア・センターセコンド コンセプト シトラスグリーン」と同時に発表されたのが、相反するような深く落ち着いた色味を持つ“コズミックグリーン”のフュメダイアルを備えた「パイオニア・センターセコンド コズミックグリーン」だ。

パイオニア・センターセコンド コズミックグリーン

 こちらは前者よりもやや小ぶりな直径40mmのケースサイズであり、文字盤には時分秒針の他、ファセット加工のインデックスが配されており、よりクラシックなスタイルだ。文字盤には透明なラッカー仕上げで「H. Moser & Cie.」のロゴがあしらわれている。

 ケースバックはサファイアクリスタルを採用したトランスパレント式だ。搭載される自動巻きCal.HMC 201のブリッジはダブルストライプで装飾されたアンスラサイト仕上げである。ラチェット式の両方向回転式ローターは肉抜きされており、ムーブメントの鑑賞をより充実させてくれる。

パイオニア・センターセコンド コズミックグリーン

H.モーザー「パイオニア・センターセコンド コズミックグリーン」Ref.3201-1201
手巻き(Cal. HMC 201)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40.0mm、厚さ12.0mm)。12気圧防水。256万9000円(税込み)。


Contact info: エグゼス Tel.03-6274-6120


H.モーザー 〝タイムレス〟を叶える引き算の美学

https://www.webchronos.net/features/105429/
H.モーザー「ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック」をバージョン2.0にアップデート

https://www.webchronos.net/news/97074/
永遠の定番。ブルーダイアルを持った腕時計ランキング 10

https://www.webchronos.net/ranking/90274/