2024時計見本市4日目 グッとくるブツ多し! A.ランゲ&ゾーネ発、GS、ロレ、チューダー行き【ジュネーブ日記】

2024.04.13

4月9日(火)から15日(月)にかけて、スイスのジュネーブで開催されている時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024。この時計業界のビッグイベントをクロノス日本版編集長、広田雅将が日記形式でゆる〜くレポートする。地獄(!?)の様相を呈してきたフェア4日目は、A.ランゲ&ゾーネから始まり、グランドセイコー、エルメス、ロレックス、チューダー、ロジェ・デュブイなどの新作を取材した。

広田雅将(本誌):文・写真
Text & Photographs by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[2024年4月13日公開記事]
過去のレポートはこちらから!
「『クロノス日本版』編集長の広田雅将による、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024日記」


https://www.webchronos.net/blog/113426/


4月12日、さぁ地獄の4日目が始まりました!

 7時50分のバスで空港着。乗り換えて会場のパレクスポには8時5分着。プレスルームに顔を出す。自分を含めて全員ヨレヨレ。例外はDeployant創業者のピーター・チョンさん。いつも崩れないのよね。喫煙所でTHE RAKE CHINAのベンさんとも会う。一昨日朝3時まで飲んでたのに、今日はケロっとしている。「さらに酒を飲んだから今日は大丈夫なのだ」。

朝の通勤風景。空港発パレクスポ行き。運が良ければホテルから15分で空港に着く。

静寂の間こと、プレスルーム。静かな殺気が漂います。

常にスタイリッシュなピーター・チョン氏。ランゲの研究家として著名です。

 9時からA.ランゲ&ゾーネの撮影。顔を出して帰ろうと思ったら、ティノ・ボーベさんが呼び止める。ラーメン大好き小池さんに似てるけど、超絶エリート。「時間ある?新作の説明するよ」とのこと。わざわざ部屋を空けて、新作の話をしてくれた。「なんで25周年なのに色違いにしたんですか?」「ムーブメントが傑作でしょう、そもそもいじる必要がないと思った」。周年モデルとしては地味に感じたけど、説明を聞いて合点がいった。円が弱いから、価格は上がっちゃってますけどね。ちなみに僕はランゲに甘いです。だってしょうがないじゃん。

A.ランゲ&ゾーネ「ダトグラフ」のパペカレビヨン付き。そしてルーメン。もうこの完成度を見たらしょうがない。

ティノ・ボーベさん。暇じゃないのに説明してくれた。ちょっとラーメン大好き小池さんに似ている。


 その後、グランドセイコーの取材。手巻きのCal.9SA4「ホワイトバーチ」はヤバい。ヨーロッパ勢は新たに発表された「KODO」に注目するけど、アジア勢は手巻きムーブメントへの関心が高いらしい。確かに巻けば納得。パワーリザーブを付けるまで巻き止まりを設けなかったのは、好みは分かれるだろうが誠実さの表れか。この時計は良いし、好きです。その後、セイコーウオッチの内藤社長にも話をうかがう。

待望のGS手巻き。言うことございません。

待望のGS手巻き2。やっぱり言うことございません。


 今年のエルメスは10振動/秒3軸セントラルトゥールビヨンミニッツリピーター(!)の「アルソー デュック アトレ」をぶっ込んできた。ル・セルクル・デ・オルロジェとの共同開発ね。非常に興味深いけど、これには触れられず。直接見て好感を持ったのは「エルメス カット」だ。あらゆるディテールに女性の爪を痛めないという配慮が行き届いている。それに全長短いし。「H08」と似てるけど、目指すところが違います。エルメスは女性用を手がけると上手いよね。

エルメスの3軸ビヨンリピーター。とにかく意味不明すぎてすごい。ストーリー重視の同社が、あえてマスキュリンなものを出した理由は、驚きを与えたかったから、らしい。テクニックを自慢するためじゃない、と責任者のフィリップ・デロタルさんは語っていた。

「エルメス カット」のインターチェンジャブルは、指の腹だけで操作できる。女性に優しい時計よね。直径は36mmあるけど、全長が短いので取り回しはいいです。


 12時45分からはロレックス。コスメティックチェンジのみだが、相変わらずむかつくほど完成度が高い。ブレスまで無垢のディープシーは、重さが322gもある。普通に作ったらブレスが傷みそうだけど、ロレックスは貴金属ブレスのリンクに、セラミックスのチューブを埋め込んで耐久性を挙げている。だからこういう無茶ができる。

ロレックス「ディープシー」の金ブレス付き。見た目通り、重い時計です。重さで勝負。

ロレックス「ディープシー」重さは322gナリ。超重量級だけどフィットは悪くない。ヘッドとテールのバランスは、意外にも良し。

大きなお友達の大好物がロレックスの「GMTマスターII」だ。2024年モデルはベゼルがグレーとブラックのツートンね。個人的にはジュビリーのほうが装着感良くて好きだな。

デイトナのMOP文字盤ダイヤ入り。ダイヤモンドがめっちゃ上質なのに、石留めはあくまで実用的。つまり、爪を大きく立てている。良い意味でロレックスらしいよな。


 ピアジェで見たのは、極薄のトゥールビヨンの「アルティメット コンセプト トゥールビヨン 150周年記念モデル」。ケースを含めて厚さ2mm。ケースは剛性感がありそうで、気をつかえば普通に使えるかも。もっとも、買える人がいるとは思えず。ピアジェは長らく迷走を続けてきたけど、色石に活路を見出したんじゃないか。この路線はアリでしょう。

ピアジェの極薄トゥールビヨン、アルティメット コンセプト トゥールビヨン 150周年記念モデル。ケース厚2mmだけど触った感じ、意外と剛性がある。それと2気圧防水。


 チューダーは地味だけど、やっぱり良いです。「ブラックベイ 58 GMT」は、瞬時日送りがついているのに、単独で修正できる時針に連動して、日付は前と後ろに進められる。しかも、瞬時日送りをできるほどのトルクがないときは、日付はゆっくり変わる。GMT機能としては、グランドセイコーのCal.9F86に近い。控えめに言って、機械式時計が載せるGMTとしてはもっとも良いもののひとつに思える。しかもマスター クロノメーターだし。

チューダーの「ブラックベイ 58 GMT」。サイズや色を評価する人は多いけど、むしろ見るべきは中身かなあ。使い勝手はかなり良さそうです。

チューダーのブースで見かけたヨットレースのゲーム。めちゃくちゃ遊びたかった!!!


 ユリス・ナルダンでは、新作の「フリークS ノマド」を見て、責任者のジャン=クリストフ・サバティエ氏と話す。回転ディスクに重い素材を使い、さらにギヨシェを入れるという無茶をやってるが、低振動のムーブメントだからこそなせる技。操作系の滑らかさは、昔のフリークとは全く別物だ。キワモノ感のあるフリークだけど、良質なガジェット感は図抜けている。

おまけ。今年もナルダンはフリークイヤーだった。ポストカードをゲット。Yes I'm Freak!!!!!

 その間もいろんな人と話して疲弊。ここから先は体力勝負ですw


 ロジェ・デュブイはトゥールビヨン祭り。カルロス・ディアスの名前が普通に出てきたので驚いた。黒歴史になってそうなのに。超大作は気合いが入っているけど、個人的にはベーシックなエクスカリバー。ケースもブレスレットもチタンで軽い。

ロジェ・デュブイはトゥールビヨンに回帰。セントラルビヨンの「オルビス イン マキナ」は輪列に工夫を凝らすことで、サイズをかなり抑えている。

オルビス イン マキナの裏側。あえて受けを厚く作ったのは、見栄えのためとのこと。


 その後、某社の会食。非常にエライ皆さんがおられましたので緊張。飲みまくりたいけど自粛。やらかしたら失脚しそうだもん。ホテルに戻った後、すぐ就寝。水を飲み、寝たらどうにかなります(予定

会食で使われたレストランは、レマン湖に面していた。うーんプライベートで来たいのう。。。


2024年のロレックス新作時計を一気読み!

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2024年のチューダー新作時計を一気読み!

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2024年 グランドセイコーの新作時計を一気読み!

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