2024年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで、ベル&ロスが披露した新作時計を一挙に紹介する。「BR 05」、「BR-X5」、「BR 03」といったシリーズから豊富な新作が発表されたが、トピックのひとつはチタンやセラミックスといった新素材の採用だろう。航空産業に深い関わりを持つ素材の採用によって、より深いオマージュを見せるコレクションがそろっている。
BR 05 BLACK CERAMIC
航空産業やミリタリーからインスパイアされたモデルを、多く輩出してきたベル&ロス。中でも「BR 05」は、BRコレクションのアイコニックなデザイン性を継承しつつも、スタイリッシュなアーバンスタイルを提案するシリーズだ。この人気コレクションに、ブラックセラミックス製ケースを採用するオールブラックモデルが追加された。
自動巻き(BR-Cal.321-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(直径41mm、厚さ11.2mm)。100m防水。113万3000円(税込み)。
BR 05シリーズにおけるセラミックスの採用は、今回が初のことだ。軽量かつ高い耐傷性を備えるセラミックスは、近代の航空産業における重要な素材のひとつである。航空機のダッシュボード計器からインスピレーションを獲得してきたベル&ロスにとって、本作の登場は自然な流れと考えられるだろう。
ブランドは本作のケース製造にあたり、象徴的なカラーのひとつであるブラックを選択。同色のサンレイダイアルと合わせることで、BR 05を象徴する、ラグとブレスレットが流れるようなラインを描くシェイプを、トータルブラックカラーに染め上げた。
注目はそのケースサイズだ。ブラックは視覚効果によって、対象を小さく見せる特徴がある。この視覚的特性を補うために、本作のケースは従来モデルの40mm径から、41mm径へとサイズアップされているのである。
ラバーストラップのバリエーションも用意される。ストラップにはケースのサテン仕上げと同方向のストライプが施されており、スポーティな印象が強い。自動巻き(BR-Cal.321-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(直径41mm、厚さ11.2mm)。100m防水。99万円(税込み)。
セラミックスの使用がもたらす利点も本作の魅力となる。サテン仕上げを中心にポリッシュ仕上げでメリハリをつけたケースは、非常に軽やかかつその精悍さに見合ったタフネスを備えた。また、素材自体が染色されたセラミックケースは、衝撃等で色が剥がれる心配がない。活発なアーバンスタイルに寄り添う仕様のBR 05に仕上がっている。
ムーブメントには、ケースに合わせてブラックルテニウム仕上げを施したCal.BR 321-1を内蔵する。パワーリザーブは約54時間を備えており、トランスパレント仕様のケースバックからホイールを模したローターを鑑賞できる。
BR 05 SKELETON BLACK CERAMIC
ブラックセラミック製のケースを備えるBR 05からは、ふたつのスケルトンモデルも同時にリリースされた。
自動巻き(BR-Cal.322-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(直径41mm、厚さ11.2mm)。100m防水。146万3000円(税込み)。
シースルーの文字盤からはブラックルテニウム仕上げのCal.BR 322-1がのぞいており、トータルブラックカラーはそのままに内部機構を楽しめるようになっている。カレンダーとアラビアインデックスもオミットされているため、駆動する様子を広々と鑑賞できるだろう。
また、もうひとつのスケルトンモデルとして、BR 05 SKELETON BLACK LUM CERAMICもラインナップされる。針、インデックスに施された光沢のある蓄光塗料を特徴とする、500本限定モデルだ。
自動巻き(BR-Cal.322-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(直径41mm、厚さ11.2mm)。100m防水。世界限定500本。140万8000円(税込み)。
文字盤はブラックのスモークサファイアクリスタル製で、オールブラックカラーが追求されている。さらに、ケースとブレスレットの全面がマットに仕上げられており、レギュラーコレクションに加わる他の2モデルとの差別化が図られた。
BR-X5 BLACK TITANIUM
BR 05の上位コレクションに当たる「BR-X5」からは、グレード2チタンを採用した新作モデルが登場した。ラインナップはブレスレットモデルとラバーストラップモデルの2種だ。発売は24年6月を予定しており、先行で予約受付が開始している。
自動巻き(BR-Cal.323)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。Tiケース(直径41mm、厚さ12.8mm)。100m防水。150万7000円(税込み)。2024年6月発売予定。
自動巻き(BR-Cal.323)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。Tiケース(直径41mm、厚さ12.8mm)。100m防水。135万3000円(税込み)。2024年6月発売予定。
本作では、BR-X5独自の多層構造ケースが全てチタンで構築されている。このチタンも、航空技術の分野で広く採用されている素材のひとつだ。本作では純チタンとも呼ばれるグレード2チタンを採用することで、その航空工学へのオマージュをより強いものとしている。もちろんその素材特性も特筆すべきで、軽量さに加え、低刺激性、耐腐食性、非磁性を備えている。
またケースおよびブレスレットの全面には、微細なサンドブラスト加工が施されており、全体にマットな仕上げのグレートーンが与えられた。ダイアルはブランドを象徴するブラックカラーで、パワーリザーブ表示とカレンダー機構が配されている。
ムーブメントはCal.BR 323を搭載する。約70時間のパワーリザーブを備えており、その精度はスイス公認クロノメーター検定協会(C.O.S.C.)に公認されている。なお、ベル&ロスの国際保証期間は通常2年間だが、本作は5年保証だ。
BR 05 CHRONO GREY STEEL & GOLD
BR 05のアーバンスタイルを維持しつつ、クロノグラフ機能を搭載した「BR 05 クロノ」からは、ステンレススティールと18Kローズゴールドとのコンビネーションケースモデルが登場した。
自動巻き(BR-Cal.326)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×18KRGケース(直径42mm、厚さ14.25mm)。100m防水。201万3000円(税込み)。
ゴールドとスチールとのコンビネーションは、根強い人気を誇るスタイルだ。本作は、1970年代の時計をオマージュしつつ、都会的かつスポーティなBR 05にSS×18Kゴールドのスタイルを与え、モダンに仕上げている。
サテンとポリッシュ仕上げを組み合わせた、立体感のあるケース造形は従来モデルと同様で、シンメトリーに配置されたゴールドの質感が際立っている。モダンな印象は、サンレイグレールテニウムのダイアルと、いくつものラウンドとスクエアを組み合わせた幾何学的なフェイスによるものだろう。
ムーブメントはCal.BR 326を搭載する。パワーリザーブは約60時間だ。トランスパレントケースバックからは、スケルトン加工されたローターから垣間見えるクロノグラフの駆動を楽しめる。
BR 03 CYBER CERAMIC
ベル&ロスの定番スクエアウォッチコレクション「BR 03」のサイバー コレクションには、アヴァンギャルドな顔つきのセラミックケースモデルが加わった。500本のみの限定販売だ。
自動巻き(Cal.BR 383)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。セラミックケース(縦43.7mm✕横42mm)。50m防水。世界限定500本。199万1000円(税込み)。
トータルブラックカラーで、極めて前衛的な表情を見せる本作のモチーフは、航空産業における近未来の象徴とも言えるステルス航空機だ。スケルトンダイアルとケースに多くのファセットが盛り込まれており、インデックスもサファイアクリスタルの表面にあしらうなど、従来モデルとはデザインコードが一線を画していることが分かる。
ダイアルからのぞくムーブメントCal.BR 383は、主要部分に透かし彫りが施すことで、ステルス航空機の不可視性をオマージュしている。また、本作への搭載にあたってレイアウトが再構築されており、3次元を意識したスケルトナイズが行われた。
精悍なブラックセラミックケースにも注目だ。ラグを廃し、ラバーストラップのハウジングもカットすることで、一貫した造形を実現している。また、ダイヤモンドパウダーによる仕上げは歪みがなく、ボリューム感も強調された。
BR 03-92 DIVER BLACK & GREEN BRONZE
BR 03のダイバーズウォッチライン「BR 03-92」からは、ニューカラーモデルが登場した。1970年代を思わせる鮮やかなグリーンにブロンズ素材を組み合わせ、モダンクラシックテイストを漂わせるダイバーズウォッチだ。999本の限定生産となる。
自動巻き(Cal.BR 302)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。ブロンズケース(直径42mm)。300m防水。世界限定999本。74万8000円(税込み)。
ベル&ロスのダイバーズウォッチの歴史は、1997年に1万1100m防水の世界記録を樹立した「Hydromax」から始まった。そこからブランドはダイビングの世界へ本格的に参入し、2007年に1000m防水の「BR 02」、次いで「BR 03-92 ダイバー」を発表。着実なダイバーズウォッチラインの展開を進めてきた。
本作はそんな歴史を持つダイバーズモデルに、ブロンズケースとグリーンダイアルを採用し、ネオレトロと呼ぶべき一本に仕上げている。
時計製造の分野において、ブロンズは近年徐々に採用されることが増えつつある時計だが、まだ一般的とまでは呼べない。一方で、航海産業においては古くから普及していた素材であり、古典的なダイバーズヘルメットなどの装備で見られるものとなっている。ベル&ロスは、BR 03-92 ダイバーにこの素材を積極的に取り入れることで、潜水探検へのオマージュを表現してきた。
ブロンズの魅力は、経年による風合いの変化だ。特に本作のようなダイバーズウォッチにおいては、着用者のライフスタイルによって、それぞれ異なる度合いのエイジングが行われる。潮風に吹かれ、ブラウンやグリーンの色味を帯びる一方で、過酷な環境で磨き上げられ、ゴールドのような風合いを得る場合もあるだろう。表情豊かなグリーンダイアルとの組み合わせによって、ユニークなレトロ感を楽しめる一本と言える。
性能はプロダイバー仕様であり、300m防水と、アルミニウムリングでカバーされた逆回転防止ベゼルを備えている。また、ムーブメントには、セリタSW300-1をベースとするCal.BR 302を搭載する。従来のBR 03-92 ダイバーと同様のムーブメントで、約54時間のパワーリザーブを有する。
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