何を買うべきか迷ったら。IWC「ポルトギーゼ」の歴史と代表モデルを知ろう

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2024.08.16

1868年創業の老舗時計ブランドIWCは、不動の人気コレクション「ポルトギーゼ」を展開している。IWCにおいて最も歴史が古いポルトギーゼは、不遇の時代を経て華麗なる復活を遂げたコレクションでもある。そこで、ポルトギーゼの歴史や選び方、近年の代表的なモデルを紹介する。これから高級腕時計を購入しようと思っているユーザーは、このポルトギーゼを知ることで、ひとつの選択肢を手にすることができるだろう。

IWC ポルトギーゼ・エターナルカレンダー


ポルトギーゼの歴史

今でこそIWCのフラッグシップモデルとして高い評価を得ているポルトギーゼだが、初期モデルの誕生当時は日の目を見ない時期があった。長い沈黙を経て、見事に復活したポルトギーゼの足取りをたどる。

誕生から不遇の時代まで

ポルトギーゼが初めて登場したのは1939年とされている。ふたりのポルトガル人商人に「船長が使う航海用時計」を依頼され、要求に応える形でオリジナルが誕生した。

IWC ポルトギーゼ

船舶用デッキウォッチにインスピレーションを得て、ポルトギーゼは1939年に誕生した。

精度を高めるために大型の懐中時計用ムーブメントを組み込み、ダイアルも大きくしたが、船長が使うことを念頭に置いたのか外装は端正なデザインに仕上げられている。

その後、ポルトギーゼは市販化されたものの、ケース径42mmという大型ケースが当時は受け入れられず、1958年に一旦生産が終了した。

ポルトギーゼ・クロノグラフの大ヒット

IWCの創業125周年に当たる1993年、ポルトギーゼに転機が訪れる。懐中時計用のムーブメントを搭載した「ポルトギーゼ・ジュビリー」を、記念モデルとしてリリースしたのだ。

時計愛好家が歴史的モデルの復活を歓迎し、ポルトギーゼ・ジュビリーはスマッシュヒットした。これを受けて手巻き式の「ポルトギーゼ・クロノグラフ・ラトラパンテ」を発表し、続いて98年にリリースした「ポルトギーゼ・クロノグラフ」が大ヒットを飛ばす。

ポルトギーゼ・クロノグラフが広く受け入れられたのは、クロノグラフでありながらオリジナルのデザインコードを受け継いだことが理由だ。大型かつシンプルな要素は残しつつ、より洗練されたテイストを与えたのである。

IWC「ポルトギーゼ・クロノグラフ」その完全な歴史 (1996年~2021年)

https://www.webchronos.net/features/73440/

自社製ムーブメントの復活

IWCは1970年代に自社製ムーブメントの製造を一旦中止している。しかし、2000年に登場したポルトギーゼ・オートマティック限定モデルによって、時計ファンが心待ちにした自社製ムーブメントが復活した。

時代が大型の腕時計を好むトレンドに流れていたこともあり、ポルトギーゼ・オートマティックも大きな成功を挙げ、2004年にはレギュラー化を成し遂げる。

2020年には「ポルトギーゼ・オートマティック 40」を発表した。ポルトギーゼ誕生時のオリジナルの価値を受け継ぐ、複雑機構なしの時計だ。以来、現在までポルトギーゼはIWCのブランドを代表する主力モデルとして君臨している。


ポルトギーゼを選ぶ際に見るべきポイント

ポルトギーゼのラインナップには、さまざまなタイプのモデルが並んでいる。搭載されている機構や素材・ダイアルデザインに着目して選べば、自分好みの1本を探しやすくなるだろう。

搭載されている機構

ポルトギーゼは多くのモデルで複雑機構を搭載している。どの機構が組み込まれているのかは、モデル名からある程度判断が可能だ。

ポルトギーゼに搭載されている代表的な複雑機構としては、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、トゥールビヨンが挙げられる。機構の種類により価格に大きな差が出るため、時計に何を求めるのか慎重に考慮しよう。

素材やダイアルデザイン

ポルトギーゼの素材に関しては、ステンレススティールケースとシルバーメッキダイアルが基本である。ゴールド製のケースを選べば、ステータスを高められるだろう。

現行モデルのインデックスは、エンボス加工からより視認性の高い植字に変更されている。エンボス加工に魅力を感じているなら、現行モデル以外から探す必要がある。

ポルトギーゼを選ぶ際に悩みがちなのが、青針と金針の選択だ。ビジネスやフォーマルには金針、カジュアルには伝統的なブルースチール由来の青針がおすすめだ。


ポルトギーゼの代表モデル

ポルトギーゼの現行モデルは、クロノグラフモデルとポルトギーゼ・オートマティック40、それに複雑機構搭載モデルがほとんどを占めている。その中から代表的なモデルを、それぞれの魅力とともに紹介する。

ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ

ポルトギーゼの「ヨットクラブ」は、強靭さと高い防水性が特徴的なシリーズだ。1977年に登場した「ヨットクラブII」のデザインは、オーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラスを生み出した伝説的なウォッチデザイナー、ジェラルド・ジェンタが手掛けている。

Ref.IW390702のムーブメントには、自社製ムーブメントであるCal.89361が搭載されている。フライバック機構を搭載した、約68時間のパワーリザーブを有するムーブメントだ。

ポルトギーゼが持つレザーストラップのイメージを一新し、Ref.IW390702ではブレスレットの素材にステンレススティールが採用された。ただし、分目盛りやアプライドインデックスには、ポルトギーゼ特有のヴィンテージ感の高いデザインを用いている。

IWC「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ」REf.IW390702
自動巻き(Cal.89361)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。SSケース(直径44.6mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。191万9500円(税込み)。

ポルトギーゼ・オートマティック40

「ポルトギーゼ・オートマティック40」は、初作から一貫して受け継がれてきた、シンプルですっきりとした雰囲気と表情をまとうコレクションである。モデル名の“40”はケースサイズ40mmを示し、より現代的なサイズ感を実現している。

約60時間のパワーリザーブを蓄える自社製ムーブメントCal.82200は、トランスパレント仕様の裏蓋から眺めて楽しむことが可能だ。

ブラックのアリゲーター・ストラップには、より快適な装着感を実現するバタフライ・フォールディング・クラスプが備えられている。

IWC「ポルトギーゼ・オートマティック40」Ref.IW358303
自動巻き(Cal.82200)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40.4mm、厚さ12.3mm)。3気圧防水。107万2500円(税込み)。

ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー

IWCが誇る天才時計技術者、クルト・クラウスが初めて永久カレンダー機構を搭載した「ダ・ヴィンチ」。その偉業にオマージュを捧げ、さらに磨き上げたモデルが本作「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」だ。

400年間に1回だけの閏年調整で済むセキュラーカレンダーに加え、約4500万年に1日しか誤差が生じない超高精度のダブルムーンフェイズを搭載している。

ポルトギーゼ エターナル・カレンダー

新開発の自社製ムーブメントCal.52640は、ペラトン式自動巻き機構を採用。ふたつの香箱で7日間のパワーリザーブを誇る。

2024年6月に「最も精密なムーンフェイズの腕時計」としてギネス世界記録に認定された。

IWC「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」Ref.IW505701
自動巻き(Cal.52640)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約168時間。Ptケース(直径44.4mm、厚さ14.9mm)。5気圧防水。要価格問い合わせ。


歴史を知ることでポルトギーゼの魅力が引き立つ

実用時計の傑作ポルトギーゼは、IWCが誇るフラッグシップコレクションだ。かつては不遇の時代も経験しているが、クロノグラフモデルで華麗なる復活を遂げている。

歴史を知ったうえでポルトギーゼを手に取れば、愛機への愛着もより増していくだろう。


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