ジュネーブ日記6日目 おまえはすでに死んでいる。ベルトゥー発中華料理屋経由ヨーロッパスター行き【ジュネーブ日記】

2024.04.15

4月9日(火)から15日(月)にかけて、スイスのジュネーブで開催されている時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024。この時計業界のビッグイベントをクロノス日本版編集長、広田雅将が日記形式でゆる〜くレポートする。6日目は同じジュネーブ市内で開催されていた別イベントの取材や、ヨーロッパスター編集長にして広田の友人であるセルジュ・メイラードとの会食などをお伝えする。

広田雅将(本誌):文・写真
Text & Photographs by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[2024年4月15日公開記事]

レストランは旧市街の一等地にある。市議会の建物を見つつ、レストランに向かう。
過去のレポートはこちらから!
「『クロノス日本版』編集長の広田雅将による、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024日記」


https://www.webchronos.net/blog/113426/


4月14日。もうひとつの見本市、タイムトゥーウォッチに行ってからW&W会場へ

 朝けだるく起床。ヨーグルトはほぼ食い切ったが、さすがに飽きてきた。日記をまとめて、ご褒美にカップ焼きそばを食べる。控えめに言って最高です。

ジュネーブは快晴。みんな休みを楽しんでいる。広田は仕事。

 10時に人と会い、11時からクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーに行く。ディレクターの女性はめちゃくちゃ時計に詳しい。こういう人がいるブランドは強いと思った。

フェルディナント・ベルトゥーの新作。仕上げは相変わらず素晴らしい。風防が一部すりガラスのようになっているのは、曇っているだけ。

 新作はカスタマイズが可能で、仕上げは相変わらず傑出している。昔の懐中時計とは違うけど、今でしか実現できない仕上げだよね。金持ちならベルトゥーのコレクターになってたかも。

ベルトゥーのムーブメント。一見目立たないけど、ものすごく手が込んでいる。ブラスト仕上げに手作業の面取りは、最も手の込んだものといっていい。

 12時からまた人と会う。半分私用のような、仕事のような。本当は書きたいけど当面は無理だろう。

 ボーリガールが気に入ったので、ブースを再訪して撮影とインタビュー。ベースムーブメントはアンドレアス・ストレーラー、仕上げはフィリップ・ナベル、文字盤側のモジュールはヴィアネイ・ハルターとめちゃくちゃ豪華だ。

ボーリガールは、石を圧入だけで留めている。結構大変なテクニックだ。

 ボーリガールさん曰く、文字盤にあしらった石は、圧入だけで固定するとのこと。ついでに彼の始めたグミベアというジュエリーも見せてもらう。ヘッド部分のみで約1700スイスフラン。くまちゃんの好きな女性に贈るのはアリかも。

ボーリガールはカワイイアクセサリーも作っている。グミベアはヘッド部分のみで約1700スイスフラン。アリでしょ。

 その後、コルナバン駅にシャトルバスで向かい、駅近くのホンキーで中華料理を、というよりも酸辣湯を食べる。クロノス編集部御用達の店で、新橋で店を構えたら結構流行るんじゃないかぐらいには食べられる。

 ちなみに10年ほど前、ホンキーとボッキーというジュネーブの2大中華屋(ということにしておく)で壮大な引き抜き合戦があり、勝者はホンキーだったらしい。味の落ちたボッキーは謎のアジアレストランに変わり、ホンキーは駅近くの一等地(ということにしておく)にデカい店を構えた。

ホンキーで食べた酸辣湯。9.95スイスフランは安くないけどやむなし。

 食事中、ベトナム出身の謎の女性(オバハン)に声をかけられる。着物が欲しいから送ってくれ、お金は払うからとのこと。うーんどうしようかなあ。

フェアモントホテルでは、オートジュエルジュネーブなる、超高級ジュエリーの展示会が開催されていた。見たいけど時間なし。

 薬を買った後、フェアモントホテルに移動。ここでは、オートジュエリー展なるイベントが開かれている。ドルチェ&ガッバーナで、旧知のフィリポさんと会う。「すぐそばなのにウォッチズ&ワンダーズに行く時間がない」とぼやいていた。


これこそ、ドルチェ&ガッバーナです。疲れも吹っ飛ぶ豪奢さだ。

 素材違いの新作2点。そして、目もくらむようなジュエリーを見せてもらった。眼福。

ドルチェ&ガッバーナの新作。手作業感が残っていて、個人的にはかなり好きだ。

 そのあと、ジュネーブのHEADで開かれているタイムトゥーウォッチをチェック。ジンやラコ、ポール・ピコやシミエールも加わって、ちょっとしたバーゼル ワールドになっている。驚いたのは、マラソンがブースを構えていたこと。

ジュネーブのもうひとつの見本市が、タイムトゥーウォッチズ。昔のバーゼルっぽくて好きです。

 新作はジープとのコラボレーションで、アメリカ圏では売れそうだ。「マラソン知ってるか」「もちろん、マルチパーパスウォッチは最高だ」と伝えたところ、全員大喜びしていた。いぇあ!

マラソンとジープのコラボモデル。マルチパーパスウォッチがベースだけど、直径は41mmに拡大された。

マラソン軍団。右の兄さんが着ているTシャツはめっちゃ欲しい。

 タイムトゥーウォッチからのシャトルバスで、がたいのデカいオッサンと乗り合わせた。腕に面白い時計を着けている。話を聞いたところ、なんとアイソトープウォッチの創業者だった。

たまたまシャトルバスで、アイソトープウォッチの創業者と乗り合わせた。レボリューション限定はかっこいいよね。

 腕に巻いていたのは、レボリューションとのコラボモデル。「ジェンタのジャンピングアワーが欲しかった。でも金がないから会社を興したのさ」と大笑いしていた。

ウォッチズ&ワンダーズの会場内で、ショパールとレボリューションのコラボのデルを見せてもらった。これはケシカランよね。

 ウォッチズ&ワンダーズの会場に戻った後、ヨーロッパスターの取材を受ける。発行人たるセルジュ・メイラードさん自ら参上。日本の時計業界について、めちゃくちゃ長く話す。「今、スイスの時計産業は、とりわけラグジュアリーのセグメントで敵がいない。競争は必要で、日本やドイツ、フランスなどはコンペティターになり得るだろう」と伝えた。

会場内のLABでは、3Dプリンターの展示もあった。会場内のブランドも使っているとのこと。

 終わった後、セルジュさんと食事。といってもほぼプライベート。弊社からは副編集長の鈴木が参加。彼はなぜかフォンデュを、広田と鈴木はビールで煮込んだブタを食べる。おいしいが腹一杯。

ヨーロッパスターの発行人であるセルジュ・メイラードさん。真面目にインタビューに答えましたとさ。

 セルジュさんは明日、ウォッチズ&ワンダーズの会場でキーノート講演をするらしい。「月曜だからどうせ聞く人いないっしょ」とめちゃくちゃ楽観視している。酒を飲んで大笑い。

ヨーロッパスターは、旧市街の一等地に事務所を構えている。実に羨ましい。セルジュさん曰く「昔はここの2階に住んでたよ」。

 しかし、いよいよ湯船に浸かりたい。その日の晩はドーミーインに泊まる夢を見た。大浴場をのぞき、よし風呂だと思ったところで起床。合掌。

スイスワインはおいしいです。コレも買って帰ろうと思ったほど。

 というわけで、広田のジュネーブ日記はこれでおしまいです。まだ1週間ほど滞在しますが、個別取材につき詳細は書けず。皆さん、長々とお付き合いくださり、ありがとうございました!


おまけ:タイムトゥーウォッチズの会場内

4月10日〜14日にジュネーブのHEADで開催されていたもうひとつの時計見本市タイムトゥーウォッチズ。その模様を写真で少しだけご紹介。

タイムトゥーウォッチズの一等地には、ジンが出展していた。見始めたら止まらないので早々に退散。

タイムトゥーウォッチズで見たイェマの新作。小気味よいですね。

タイムトゥーウォッチズには昔からの時計屋であるベルネイも出展していた。これは懐中時計の新作。ユニタスを使ってお値段控えめ。


2024年、各ブランドがリリースした新作時計を一気読み!

https://www.webchronos.net/features/113370/
2024年新作のうち、傑作コンプリケーションウォッチ(複雑時計)5本を選ぶ

https://www.webchronos.net/features/113598/
注目のクロノグラフ5選。2024年新作から特筆すべきモデルを紹介

https://www.webchronos.net/features/113538/