不安定な経済傾向に反し、フランスの時計宝飾業界は、コロナ禍が去って以来の活気を取り戻した。宝飾品の製造においては50億ユーロ、時計宝飾品の輸出においては100億ユーロを超え、象徴的な閾値を打ち破った。この状況について、フランスの時計、宝飾品、テーブルウェア産業の発展を担う業界団体「Francéclat(フランセクラ)」の情報を元に伝える。
好調なフランスの時計宝飾関連産業
フランスの宝飾業界は有機的な成長によって、時計業界は業界再編成の努力によって、時計部品産業はスイスブランドと歩調を合わせることによって、年々進歩しており、フランスでの生産は力強い成長を見せている。
ビジネスモデルは急速に変化している。絶えず変化する需要が、テリトリーの拡張(商品ラインナップの拡大や生産数の増加、ファッションブランドではショーアクセサリーを超えた新作の提案)や、新興ブランドの国内製造による差別化の追求を促し、フランス国内外におけるデジタル・旗艦店・物理的流通をまたいだ成長を支えている。
パリ2024夏季オリンピックが開催される年に、時計業界は時計(11%増)と部品(10%増)が牽引し、売上高4億1000万ユーロ(7%増)という新記録を打ち立てた。これらの業績は、フランスの時計分野のダイナミズムと、スイスブランドのフランスの生産能力に対する信頼を反映している。
宝飾業界は、2015年に始まった成長サイクルを継続しており、その間にフランスにおける生産量は3倍に増加した。2021年以降は明らかに加速し、2021年から2023年にかけての累積成長率は53%に達する。
2023年には54億ユーロ(17%増)となり、今年は7億5000万ユーロ以上がフランスにおける製造に上乗せされたことになる。この成長は雇用に反映されており、2019年から2023年の間に2500もの新規生産雇用が製造現場で創出され、これは約4分の1以上の増加(27%増)となった。
この成長には、事業所の拡大や、新たなエリアの開拓、新たな人材グループの育成といった産業構造の変革が伴う。10人から19人が在籍する規模の工房がより大きな影響を受け、35%増と最も強い伸びを示している。
100億ユーロを超える輸出
輸出事業も同じように活況を呈し、対外貿易は、時計製造と宝飾品の両方で8%増となる106億ユーロの輸出を記録した。
腕時計の輸出が主にヨーロッパ向け(スイス、イタリア、ドイツ、スペインで輸出額の3分の2を占める)であるのに対し、宝飾品の輸出はスイス、イタリア、米国、中国、香港という、より幅広い地域の5ヵ国が主な輸出先となっており、これらも全体の3分の2を占めている。
輸入も同じ割合で増加し、8%増の98億ユーロとなった。石と真珠は宝飾品の輸入額の4分の1を占め、フランスの生産量の増加に伴い17%増加した。
フランス市場の堅調な伸び
フランス市場も遅れを取っておらず、売上高は2022年比で3億ユーロ増(6%増)の58億ユーロとなる。コロナ危機(2020年から2023年にかけて60%増)を考慮すると、2023年のフランスにおける時計・宝飾品の売上高は2019年を27億ユーロ上回ることになる。
しかし、2021年から2022年にかけて(26%増)に比べれば、その勢いは弱まる。上半期がプラスに転じた後、トレンドは反転し、年末のホリデーシーズンに向けて回復していった。
依然として全体の80%近くを占める専門小売業は、市場全体とほぼ同じ成長率(+5%)を示している。時計・宝飾関連の店舗は、街中でもショッピングセンターでも同じ4%の伸びを示し、好調に推移している。
そのなかでは時計専門店のみが市場を上回り、13%の伸びを示した。2022年に128%の成長を遂げたヴァンドーム広場の専門店は、今年、フランスの平均成長率である6%増で一致している。
一方、非専門小売部門は、より複雑な様相を呈している。大型店舗の市場シェアは後退を見せ、3%減となった。
ヴァンドーム広場のメゾンのように、百貨店もまた5%増となっており、2022年の成長率を更新していない。2022年に8%減少した一般小売店のeコマース売上は、2023年には11%増と急加速している。
時計と宝飾品には共通点がある。機能性以上にアイデンティティや歴史、社会的地位を示すブランド力が備わっていることである。これらのブランドは、我々が何者であるか、世界に伝えたいイメージを語る上で手助けをしてくれるのだ。
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