4月9日から15日までスイスで開催された、時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024。今回、この祭典で発表された新作時計の中から、読者に「傑作No.1」を選んでもらった。ここで選ばれた新作のうち、最も得票数の多かった上位5本を紹介する。
注目の結果発表!
4月9日から15日までスイスで開催された、時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024。旧SIHHから参加するカルティエ、ヴァシュロン・コンスタンタン、IWC、パネライ、A.ランゲ&ゾーネなどに加えて、旧バーゼルワールド勢のパテック フィリップやロレックス、チューダー、グランドセイコーなど多数のメーカーが加わって、54ブランドが新作時計を発表。また、一般客への公開も3日間用意され、盛況のうちに終わった。
今回、そんなウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された新作時計の中から、読者にそれぞれの「傑作No.1」を自由回答形式で選出してもらった。集計期間は2024年4月16日から4月21日まで。この投票をもとに、最も得票数の多かった新作時計TOP5を紹介する。
なお、同一コレクション内に複数のバリエーションが存在する新作時計に関しては、「ひとつのコレクション」としてまとめて集計した。
5位:パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」
自動巻き(Cal.240)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(縦39.5×横34.5mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。906万円(税込み)。
5位は、パテック フィリップの新作「ゴールデン・エリプス」。TOP5に“通好み”なモデルがランクインするところに、読者の時計オタクぶりを感じさせられる。
本作は現行コレクションにして、大きいケースサイズを持つRef.5738に、初めて加わったブレスレットモデルである。オールドウォッチに見られる、“ミラネーゼブレスレット”をほうふつとさせる意匠が特徴的だ。かつて、このミラネーゼブレスレットは、サイズ調整のためにはブレスレット自体をカットしなくてはならなかった。しかしパテック フィリップは新作モデルで、一見ミラネーゼに見えるこのチェーンブレスレットを、コマを外せる仕様とした。パテック フィリップは、この特許取得のブレスレット構造を開発するのに、15年の歳月をかけたという。
さらに、ブレスレットのパーツ数363個のうち、300個以上をリンクが占めており、それらのリンクはすべて手作業で組み立てられているという。
5.9mmとブランド最薄のケース厚と相まって、優れた装着感にも期待したいエレガントウォッチだ。
https://www.webchronos.net/features/113956/
4位:カルティエ「サントス ドゥ カルティエ デュアルタイム」
自動巻き。SSケース(縦47.5×横40.2mm、厚さ10.01mm)。10気圧防水。139万9200円(税込み)。2024年9月発売予定。
第4位は、カルティエの「サントス ドゥ カルティエ デュアルタイム」。同コレクションのアイコニックな角型ケースやベゼル、ブレスレットのビスモチーフはそのままに、文字盤6時位置にデュアルタイム表示が追加された。チャコールグレーの文字盤に調和したこの表示は、12時間で1周するため、直感的にホームタイムを判読することができるだろう。
これまでの同コレクションと同様、ブレスレットにはスマートリンクシステムが搭載されており、ユーザー自身でコマの取り外しが容易にできる。また、クイックチェンジシステムによって、ブレスレットとストラップの付け替えも工具なしで可能だ。
同率2位:チューダー「ブラックベイ 58 GMT」
自動巻き(Cal.MT5450-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.8mm)。200m防水。ブレスレットモデル:64万3500円(税込み)。ラバーストラップモデル:61万3800円(税込み)。
2位と3位は、得票数が同じだった。まず、チューダーの新作「ブラックベイ 58 GMT」を紹介する。
本作はコンパクトなサイズで人気の「ブラックベイ 58」のGMTモデルだ。もっとも、ただGMTを付加しただけではない。新型ムーブメントCal.MT5450-Uを搭載しており、マスター クロノメーター認定を取得したモデルなのだ。さらに、時針を単独で動かすことができるGMT機構を備えながらも、同機構としては珍しい日付の早送り機能を備えている。なお、日付を逆戻しした後、さらに針を進めて日付を変更しようとすると、クイックチェンジではなくゆっくりと日付が切り替わる仕組みにもなっている。
こういった機能に加えて、コンパクトなサイズや従来のブラックベイよりもアルミベゼルにツヤを与えて、かつダイビングスケールを、経年変化を思わせるようなブラウンがかった色調とすることで、かつてロレックスが製造していたGMTマスターをほうふつとさせる意匠になっていることも、本作の魅力を押し上げる。第2位という結果も納得だ。
https://www.webchronos.net/features/113471/
同率2位:IWC「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」
自動巻き(Cal.52640)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約7日間。Ptケース(直径44.4mm、厚さ15mm)。5気圧防水。要価格問い合わせ。
チューダー「ブラックベイ 58 GMT」と同率で第2位となったのは、IWC「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」だ。
4年に一度の閏年を判別し、時計が動き続けている限りは手動でのカレンダー修正が必要ないパーペチュアルカレンダー。とはいえ一般的には、100年に一度手動修正が必要になる。なぜなら西暦の末尾に0が2つ並び、かつ400で割り切れる年は例外的に閏年になるためだ。しかし本作は、この例外的な「閏年」も判別する、セキュラーカレンダーに仕上げられている。
さらに、12時位置のダブルムーン™表示は、4500万年に1日しか誤差を生じさせない超高精度を誇る。
IWCの技術が存分に発揮された、2024年の超大作といえるだろう。
1位:グランドセイコー「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」
手巻き(Cal.9SA4)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KPGケース(直径38.6mm、厚さ9.95mm)。3気圧防水。世界限定80本(うち国内50本)。605万円(税込み)。2024年8月9日(金)発売予定。
2位以下と2倍以上の得票差をつけてトップにランクインしたのは、グランドセイコーの新しい手巻きムーブメントCal.9SA4が搭載された、「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」だ。「手巻き式時計」という、現在の時計市場ではニッチなジャンルによる新作モデルだが、注目度の高さは今回のランキングの結果からも伝わってくる。
そう、本作の最大の特徴は、搭載するムーブメントにある。このCal.9SA4は2020年に同ブランドの新世代ムーブメントとして発表されたCal.9SA5をベースとしている。そのため3万6000振動/時の高い振動数に約80時間のパワーリザーブと、ハイスペックはそのまま引き継がれつつ、「手で主ゼンマイを巻き上げる時の音や、巻き心地のよさ」が追求されているのだ。
この巻き上げのためにコハゼとコハゼバネが改良されており、さらにコハゼの形状が岩手県にあるグランドセイコースタジオ雫石の敷地内にも現れる鳥、セキレイをモチーフとしている。
“白樺”として親しまれる文字盤の型打ちパターンや「エボリューション9スタイル」にのっとった優美な外装など、意匠にも見どころの多いグランドセイコー最新作だ。
たくさんの投票ありがとうございました!
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