現行ダイバーズウォッチの中から、ケース径40mm未満のモデルをピックアップし紹介する。小径ならではの取り回しやすさや控えめな佇まいは、アクティブシーンだけではなく、日常使いやビジネスにもぴったりだ。各社のアイコニックな意匠がちりばめられた名作たちを見ていこう。
Text by Tsubasa Nojima
[2024年4月28日公開記事]
抜群の汎用性を誇る小型ダイバーズウォッチを紹介
腕時計の中でも特に人気の高いジャンルが、ダイバーズウォッチだ。もともとは潜水士や軍のダイバーをはじめとする専門職向けに開発された時計だが、マリンスポーツのブームが到来するとともに一般市場でも普及。現代ではその高い実用性から、街中やビジネスシーンで着用されることも珍しくない。
ダイバーズウォッチは、一般的に大型のケースを採用することが多い。これは高い気密性と視認性を求められるためであり、その出自を考えれば至極当然のことであるが、陸上での使用をメインとするユーザーにとっては、取り回しや袖への収まり具合に懸念を感じることも少なくないだろう。
今回はそんなニーズに応えるべく、現行ダイバーズウォッチの中から、ケース径40mm未満のモデルを厳選し紹介したい。いずれのモデルもブランドのDNAを受け継いだ意匠を備えつつ、コンパクトさと実用性の高さを両立させている。
チューダー「ブラックベイ 58」
自動巻き(Cal.MT5402)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。200m防水。56万1000円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570
チューダーの中核を担う「ブラックベイ」コレクション。その中でも小ぶりなサイズ感で人気を集めているのが、「ブラックベイ 58」だ。
ブラックベイのデザインは、同社が過去に販売してきたダイバーズウォッチ、「オイスター プリンス サブマリーナー」の歴代モデルが持つ意匠を組み合わせたものだ。リュウズガードのないすっきりとしたケースラインやアルマイト加工を施したベゼルディスク、リベット風のブレスレット等、レトロな雰囲気に仕上がっている。
そんなデザインに反して、現行の実用時計としてトップクラスのスペックを備えている点も魅力だ。抜群の視認性を発揮するダイアルや200mの防水性に加え、約70時間のパワーリザーブと高い耐磁性を備えたマニュファクチュールキャリバーの搭載によって、日常生活から水中まで、幅広いシーンで活躍する。
ブラックベイ 58は、豊富なバリエーションが展開されているコレクションでもある。ダイアルの色違いの他、ケース素材はステンレススティール、18Kイエローゴールド、シルバー925、ブロンズ等、様々な選択肢から自分に合った1本を見つけることができる。
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300」
凝縮感のある36mmケースを採用した「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300」。コンパクトなサイズながらも、モデル名が示す通り300mもの防水性を誇る。
一見してダイバーズウォッチとしてオーソドックスなデザインだが、その細部にはアクアレーサーらしい要素がちりばめられている。セラミックス製の逆回転防止ベゼルとインデックスに取り入れられた12角形や、水平のラインが刻まれたダイアルは、その一例だ。
6時位置のデイト表示に設けられた拡大レンズや、ブルーとグリーンの2色に発光するスーパールミノバ、短く改められたラグ等、使いやすさを高めるための工夫も多く盛り込まれている。逆回転防止ベゼルは、内部の歯形を再設計することで、従来のモデルに比べてより静かでスムーズな操作感を実現している。
ステンレススティール製ブレスレットには、微調整機構が備えられており、工具を使うことなく手首回りに合わせてサイズ調整することが可能だ。信頼性の高い汎用機をベースとした機械式自動巻きムーブメント、Cal.5を搭載している。
ロンジン「ロンジン レジェンドダイバー」
自動巻き(Cal.L888.6)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.7mm)。300m防水。51万400円(税込み)。(問)ロンジン Tel.03-6254-7350
1959年に登場したロンジンの「Ref.7042」のデザインを受け継ぐダイバーズウォッチ。本作は一般的なダイバーズウォッチとは異なり、回転式のインナーベゼルによって経過時間を測定する。復刻モデルらしいレトロなデザインと相まって、過度なスポーティさを感じさせない点も本作の特徴である。
直径39mmのケースは、細く短いラグと、細身のベゼルを組み合わせることによって上品な印象に纏められている。2時位置のリュウズはインナーベゼルの操作、4時位置は時刻調整を司る。
ノンデイト仕様の端正なダイアルは、艶やかなラッカー仕上げのブラック。インデックスと時分針にはスーパールミノバが塗布され、暗所での視認性も確保されている。
ロンジン専用のエクスクルーシブムーブメント、Cal.L888.6を搭載しており、C.O.S.C.公認クロノメーターを取得した高精度、シリコン製ヒゲゼンマイによる高い耐磁性、約72時間のロングパワーリザーブ等、優れた実用性を備えている。
ISO 6425規格を満たす本格的なダイバーズウォッチでありながら、控えめなデザインがビジネスシーンでも活躍する1本だ。
オリス「アクイスデイト」
自動巻き(Cal.Oris733)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径36.5mm)。300m防水。40万7000円(税込み)。(問)オリスジャパン Tel.03-6260-6876
時計業界の新作見本市であるウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024でリニューアルが発表された、オリスの「アクイスデイト」。新作では、リュウズガードやデイト表示のフォント、インデックスと時分針の形状等、細部にわたって実用性を高めるためのアップデートが加えられた。
それらのアップデートに加え、よりエレガントなツールウォッチとしての進化を遂げたのが、コンパクトな36.5mmケースモデルだ。バータイプに統一されたセラミックス製の逆回転防止ベゼルの目盛りや、随所にポリッシュ仕上げを取り入れたケースとブレスレットは、41.5mmケースや43.5mmケースのアクイスデイトとは異なる印象に仕上げられている。
ブレスレットには、同社が特許を取得した微調整機構、クイックアジャストクラスプシステムが採用されており、体調や気候に合わせて簡単に手首回りに合わせた調整を行うことができる。
汎用ムーブメントをベースとしたCal.Oris733を搭載しており、同社を象徴するレッドローターをシースルーバックから鑑賞することが可能だ。
ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ ’57 ハイランズ カプセルコレクション」
自動巻き(Cal.10)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KRG×SSケース(直径38mm、厚さ9.3mm)。100m防水。86万3500円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
ブライトリングが1950年代に発売した、初代「スーパーオーシャン」のデザインを踏襲したモデル。直径38mmのコンパクトなケースには、細身のラグやすり鉢状のセラミックベゼルといった特徴が盛り込まれている。
本コレクションにはスコットランドのハイランド地方の自然から着想を得たカラーリングが与えられており、本作のブルーの他、ベージュ、グリーン、マスタードのバリエーションがラインナップする。ベゼルの枠には18Kレッドゴールドが採用されており、スポーティな雰囲気に華やかさをプラスしている。
レトロなデザインに合わせ、メッシュタイプのステンレススティール製ブレスレットが装着されている。加えてツイード風のファブリックストラップとバネ棒外しも付属し、気分に合わせて交換することが可能だ。
非ねじ込み式リュウズや両方向に回転するベゼル等、いわゆるダイバーズスタイルのモデルであるが、その分ケース厚は10mmを下回り、取り回しやすさに優れている。
搭載するムーブメントは、Cal.10。薄型の汎用ムーブメントをベースとしているが、ブライトリング内で調整を行い、C.O.S.C.公認クロノメーターを取得している。
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