2023年のスイス時計産業に関するモルガン・スタンレーの新しい調査結果が発表され、周知の事実が確認された。つまりロレックスは高級時計ブランドとして他の追随をまったく許さないトップの位置を占め、その売り上げは想像を絶する100億ドル以上であり、市場全体の3分の1のシェアを誇っているということだ。その他のブランドの状況も50位までを伝える。
[2024年4月30日公開記事]
2023年、スイスの時計ブランド8社が10億ドル以上の売り上げを記録
時計愛好家にとって、時計産業に関する調査結果は常に振り子時計の時刻を合わせるかのような興味深いものである。誰がトップの位置を占めるのか、年産本数はどれくらいなのか、売り上げはどのくらいなのか、などが取り上げられる。
もちろん、こういった数字は予測ではあるが、専門家によって算出されたものであり、信憑性のあるものとなっている。
2023年2月28日、モルガン・スタンレーの新しい報告が発表され、スイスの時計ブランド8社(2021年には7社)が10億ドル以上の売り上げを記録したと告げられた。ロレックスはその中でも約124万本の時計を売り上げ、売上高は100億ドル以上となり、他を大きく引き離した。
これは市場シェアの約30%に相当し、実質的に高級時計販売の3分の1を占める。時計愛好家として有名なファブリス・ルキーニが言うように、まさに「巨大」である。王冠のマークを持ち、トップの位置を享受するロレックスの栄冠を不思議に思う者は誰もいない。
そしてカルティエがこれに続く。年間販売数は約66万本、売り上げは約31億ドルで、2021年にはすでにオメガ(年間販売数約57万本、売り上げ約26億ドル)のポジションを奪っていた。
オメガは長らくロレックスに次いで2位であったが、カルティエが2021年に2位の座を奪ったことで、スイスには激震が走った。カルティエはタンク、サントス、パンテールなどのアイコニックモデルの数々で成功を収め、その地位を確固たるものとした。
第4位は変わらずオーデマ ピゲ(年間販売数約5万1000本、売り上げ約26億ドル)であり、2021年にはすでにパテック フィリップ(年間販売数約7万本、売り上げ約20億ドル)の前に付け、リシャール・ミル(第6位、年間販売数約5600本、売り上げ約15億ドル)の上となっている。オーデマ ピゲはパテック フィリップの約7万本より少ない約5万1000本の販売本数で、より多くの売り上げ数字を叩き出している。
上記の3つのブランドのフラッグシップモデルの多くは、ほとんどが自社ブティックの店頭で見ることはできない状態にあり、グレーマーケットでの価格は下方傾向にあるとはいえ、依然として二次市場では高値で販売されていることを忘れてはならない。
ロンジンは7位に後退し、年間販売数は約160万本で、売り上げは約11億ドルとなった。このブランドは価格を大きく引き上げ、スウォッチ グループの「駆動エンジン」の座を保持しつつも、2021年と比較して年産本数を20万本落としている。
最後の10億超えブランドは、もちろんヴァシュロン・コンスタンタンである。ヴァシュロン・コンスタンタンは安定した高い需要を維持し、年間販売数は約3万5000本、売り上げは約10億9000万ドルとしている。
今回のレポートでその他の突出した点は、ブライトリングの目覚ましい成長である。年間販売数は約17万8000本、売り上げは約8億7000万ドルで、11位から9位へ浮上した。スウォッチ グループのもうひとつの「原動力」であるティソ(年間販売数約310万本、売り上げ約8億2500万ドル)を追い落としている。
ブライトリングの業績は、ジョージ・カーンとそのチームの素晴らしい仕事を裏付けている。ブライトリングはまた、ユニバーサル・ジュネーブを買収したばかりであり、エントリーレベルのセグメントで、ブライトリングよりも低価格の、もうひとつのビッグネームを探していたと伝えられている。
IWCは順位をふたつ落として11位(年間販売数約13万7000本、売り上げ約7億2600万ドル)であり、リシュモン グループの売り上げ順位では3位となっている。12位はウブロ(年間販売数約5万2000本、売り上げ約6億7000万ドル)で、順位を維持すると同時にLVMH グループの中では1位となっており、(2021年に10位だった)15位のタグ・ホイヤー(年間販売数約39万本、売り上げ約6億1500万ドル)の前につけている。
ジャガー・ルクルトは年間販売数約9万7000本、売り上げ約6億4100万を示し、14位を維持している。エルメスが時計分野で素晴らしい成長を見せ、16位へと上がってきている(2021年には19位)。チューダーは17位で、2021年に比べると2ポイントのダウン。パネライも同様で、18位となっている。
ブルガリとショパールは(ジュエリーを除いて)それぞれ19位と20位につけた。このふたつのブランドは近年、優れた作品、例えばオクト フィニッシモやアルパイン イーグルを世に送り出しており、トップ20に入るに十分値する。
21位はヴァン クリーフ&アーペルで、2021年に比べ1ポイントダウンし、トップ20から転落している。シャネル(22位)はブランパン(23位)の前につけ、スウォッチ グループの大輪のひとつであるブレゲは残念ながら2021年に比べ6ポイントを落として、26位となっている。
ピアジェとA.ランゲ&ゾーネはそれぞれ24位と25位で、フランス市場で復活を果たしたフランク ミュラーは2021年に対して2ポイント上げて26位だ。モンブラン(29位)は良い順位を確保し、ハミルトン(30位)、ミドー(31位)を大きく引き離しながら前につけ、コストパフォーマンスの高い商品を提供し続けている。
ゼニスは約3万5000本を売り上げ34位にあるが、並外れた作品を世に送り出し続ける32位のルイ・ヴィトンとジェイコブ(33位、約2750本)に大きく後れを取っている。2021年の50位から37位へと素晴らしい成長を遂げたF.P.ジュルヌも特筆に値し、売り上げは約9800万ドルである。
ソーウィンド傘下のジラール・ペルゴは40位、ユリス・ナルダンは41位となり、想定年産数はそれぞれ約9500本と約7000本である。
独立系時計ブランドのオリスは43位へと落とし、ボーム&メルシエ(42位)の下となっている。パルミジャーニ・フルリエは素晴らしい伸びを見せ46位となっており、近年のチームの素晴らしい努力が報われた感じだ。
当然、ベル&ロスもトップ50位以内の49位(約1万3600本で2ポイント下降)を占め、50位にはグルーベル・フォルセイが約255本でランクインしている。
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