独立系時計ブランドのウルベルクは、独自のサテライト式時刻表示や天文に関する表示を搭載するUR-100Vシリーズより、太陽光が8つの惑星に到達するまでの所要時間を示す機能を備えた「UR-100V ライトスピード」を発表した。本作はカーボン製のケースを備え、自動巻きムーブメントのCal.UR12.02を搭載している。
自動巻き(Cal.UR-12.02)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。カーボンケース(縦51.7×43mm、厚さ14.55mm)。5気圧防水。1303万5000円(税込み)。
[2024年5月2日公開記事]
ウルベルク独自の時刻表示を行う、UR-100Vシリーズから登場した新作
光の速さは、秒速29万9792.458kmとされる。現実とSFが融合する現代において、この数字は普遍的で永遠的な特徴を持っている。
「これは、古典力学の物理理論にも、アシモフのファンタジーの世界にも関係する神秘的な数字である」と、ウルベルクは「UR-100V ライトスピード」のプレスリリースの中で述べている。
この数字はアインシュタインの相対性理論とともに、『スターウォーズ』のジェダイや『スタートレック』の無敵のキャプテンたちが冒険する、遠い銀河の未来的なイメージを想起させる。
この速度を制御するということは、ワープに身を委ね、物理法則を無視し、宇宙の多次元を移動することである。『スターゲイト』に登場するゴアウルドの戦術家から、『デューン』に出てくるスペースギルドの航海士など、偉大な探検家にふさわしい冒険の世界だ。
こういったSFや未来への言及はすべて、「時間、空間、光をひとつの場所に集めるという夢の実現」とされる、UR-100V ライトスピードを紹介するために使われている。
ウルベルクのアーティスティックディレクターであり共同創業者でもあるマーティン・フライは、「このクリエイションを身につけることは、宇宙の一部を手首につけるようなものであり、宇宙の縮図を人間的なスケールで見るようなものだ」と話す。
UR-100V ライトスピードには、太陽系の8つの天体、つまり8つの基準点が描かれた3次元プラネタリウムが搭載されている。「太陽から出発した光が、それぞれの惑星に到達する時間を計算し、図に表しました」とフライは説明している。
「太陽光線が地球に到達するのに8.3分かかるのに対し、同じ光線が木星の表面に到達するのはその35分後です。光を媒体とした、もっとも不思議な時空の旅です」
ウルベルクのマスター・ウォッチメーカーであり、共同創設者であるフェリックス・バウムガルトナーは「私たちが子どもの頃から聞かされてきた物語です」と付け加える。「これは、自分が地球にいることの意味、宇宙の壮大さ、今という瞬間から離れた関係性を教えてくれます。星の光は私たちのもとに到達しますが、その時、それよりずっと前にその星はすでに自らの輝きを終えていることも考えられます。今目にしているものが、私たちに過ぎ去った時間というものを気づかせてくれるのです」。
これは事実だ。太陽光が、太陽系内の各惑星に到達する時間を計測すると、宇宙の広さに目が回りそうになる。我々が今目にする光は過去の残響であり、宇宙の時間の中で凍結された一瞬なのである。
我々の時空において、太陽光は水星に3.2分、金星には6分、地球には8.3分、火星には12.6分、木星には43.2分、土星には79.3分、天王星には159.6分、海王星には4.1時間で到達する。これがUR-100V ライトスピードの全体的なアイデアであり、自動巻きムーブメントのローターは太陽から着想を得ている。
「光は私たちと宇宙をつなぐ基本的な架け橋です。光は伝達可能なエネルギーの最小単位であり、私たちの目は電磁放射を捉えるのに驚くほどよく適応しています。光を視覚化し、解釈するこの能力は、私たちの世界認識を再構築します」とマーティン・フライは付け加える。
「私たちが遠い星を観察していようと、顕微鏡で極小の世界を観察していようと、光は私たちに重要な情報を伝達し、現実に対する私たちの理解を形成します。光は常に、広大で複雑な宇宙に対する私たちの知識と理解を広げてくれています」
UR-100V ライトスピードは、惑星間の距離を表示するだけでなく、針を省いた時分表示というウルベルクらしい特徴を備える。
時分表示は、アワーサテライトとレトログラード式分針を組み合わせたディスプレイで行われる。分針は、120度に広がる扇状の分目盛りの上を移動しながら時刻を刻む。59分を過ぎた瞬間、瞬時に分目盛りの0分地点に移動してきた次のアワーサテライトが現われる。
この時間表示方法は、17世紀に製作された振り子時計からインスピレーションを得たものだ。ウルベルクはこの表示を、腕時計という限られたスペースの中で、創造的によみがえらせてみせたのだ。
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