セイコーのクロノグラフがかっこいい! スピードタイマーやプレザージュから5モデルを紹介

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2024.05.09

セイコーが成し遂げてきた数々の技術革新の中で忘れてはならないのがクロノグラフだ。現在のセイコーは、伝統に根差したメカニカルクロノグラフのほか、高機能なGPSソーラーウォッチにクロノグラフ機能を加えたモデル、1/100秒が計測可能なクォーツクロノグラフ、気軽にクロノグラフのメカニズムを楽しむことができるソーラー発電クォーツクロノグラフなど、さまざまなラインナップを抱える。今回は、セイコーのクロノグラフモデルの中で5モデルをピックアップして紹介しよう。

セイコー プロスペックス「スピードタイマー ソーラークロノグラフ 1/100秒計測」

佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
[2024年5月9日公開記事]


セイコーのクロノグラフモデルを一挙紹介!

 さまざまな技術革新を成し遂げてきたセイコー。その技術革新を語るうえで欠くことができないのがクロノグラフだ。1964年、東京五輪のため、正確な秒計測が可能なストップウォッチを開発したことにはじまり、69年に世界に先駆けて量産された機械式自動巻きクロノグラフ「スピードタイマー」は、垂直クラッチを搭載したエポックメイキングなモデルであった。その後も技術向上が続けられ、現在でも多彩なクロノグラフムーブメントを抱え、それぞれに魅力的なモデルを並べている。今回は、そんなセイコーのクロノグラフモデルの中で、5モデルをピックアップして紹介する。


セイコー伝統の機構を備えるメカニカルクロノグラフモデル

セイコー プロスペックス「スピードタイマー メカニカルクロノグラフ」Ref.SBEC021
自動巻き(Cal.8R48)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.6mm)。10気圧防水。35万2000円(税込み)。

 セイコーの機械式クロノグラフの系譜を色濃く引き継ぐのが、「プロスペックス スピードタイマー メカニカルクロノグラフ SBEC021」である。「スピードタイマー」は1964年発表の国産初のクロノグラフ搭載腕時計「クラウン クロノグラフ」や、69年発表の、現代の自動巻きクロノグラフに大きな影響を与えた垂直クラッチ式自動巻きクロノグラフムーブメントCal.6139を搭載した「スピードタイマー」から系譜を引くコレクションだ。ラインナップには、過去の傑作を引用したモデルに加えて、現代的なアレンジの効いたモデルも並ぶ。

 そんなラインナップの中でSBEC021は、72年発売のCal.6138搭載クロノグラフモデルにインスピレーションを得たデザインに、当時ラインナップされたカラーリングを組み合わせたモデルだ。ややダークな色調を感じるシルバーをベースに、ブルーグレーのダイアルリングおよびインダイアル、各針の先端には彩度を抑えたオレンジが施されている。スポーティーで、どこかノスタルジックな配色と、ツールウォッチとしてのスピードタイマーの歴史を感じさせる緻密なスケールが本作の魅力である。

 ムーブメントは3時位置にスモールセコンド、4時半位置にデイト表示、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計を備えるCal.8R48で、垂直クラッチとコラムホイールを採用したクロノグラフ機構に、高効率自動巻きを支えるマジックレバーが組み合わされた構成である。この構成は69年発表のCal.6139を受け継ぐもので、垂直クラッチとコラムホイールの組み合わせは、後の自動巻きクロノグラフムーブメントの設計に大きな影響を与えた。


クロノグラフを気軽に楽しむことができるソーラー発電クォーツクロノグラフ

セイコー プロスペックス「スピードタイマー ソーラークロノグラフ」Ref.SBDL097
光発電クォーツ(Cal.V192)。パワーリザーブ約6ヵ月。SSケース(直径41.4mm、厚さ13mm)。10気圧防水。9万2400円(税込み)。

 スピードタイマーには機械式のほか、ソーラー発電クォーツムーブメントを採用したモデルも用意される。「プロスペックス スピードタイマーSBDL097」は、モダンなデザインにまとめられたクォーツモデルで、彩度の高いネイビーダイアルにネイビーとレッドのツートンカラーのベゼルインサートが組み合わされる。

 クォーツ式を採用することで時計の仕上がり厚さは13mmに抑えられており、価格もアンダー10万円としながら外装も上々な仕上がりとなっている。クォーツ式ならではの利点として、クロノグラフのスタート・ストップ、リセットに関わる操作の禁止事項がなく、機械式なら複雑機構に分類されるスプリットセコンド機能を実現していることが挙げられる。

 クォーツ式であってもノーメンテナンスは推奨されるものではないが、フル充電状態で約6ヵ月間稼働することを踏まえると、機械式よりも気兼ねなく付き合うことができる点は魅力のひとつだ。軽快なクリック感とスケールの上にピッタリと止まるクロノグラフ秒針によって、クロノグラフを所有する楽しみも十分に感じ取れるモデルとなっている。


異彩を放つ「独立多眼式」の「1/100秒計測」クロノグラフ

セイコー プロスペックス「スピードタイマー ソーラークロノグラフ 1/100秒計測」Ref.SBER001
光発電クォーツ(Cal.8A50)。パワーリザーブ フル充電時約6ヶ月間。SSケース(直径42.0mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。12万1000円(税込み)。

 スピードタイマーにラインナップされるモデルの中で異彩を放つのが、セイコー プロスペックスの「スピードタイマー ソーラークロノグラフ 1/100秒計測 SBER001」である。このモデルは、モデル名が示すように1/100秒まで計測可能なクォーツクロノグラフだ。本作は、セイコーのクロノグラフの歴史につながるストップウォッチを参考にし、ラウンドケースと、そこから飛び出たポンプ型のプッシュボタンのシルエットが与えられている。さらに、クロノグラフ機能を時分ダイアルと独立したインダイアルに配置して、視認性を高めたデザインが特徴である。

 1/100秒測定機能は90年代のクォーツクロノグラフムーブメントCal.7T52等に採用されていたもので、セイコーの高精度への挑戦を象徴するような機能であった。本作に搭載されるムーブメントは新開発のCal.8A50。1/100秒計測機能を搭載したアナログクロノグラフとしては久しぶりの新作ムーブメントとなる。切り口を変えると、セイコーはそんなムーブメントを使って、インダイアルなど想定した配置にて設計することで、本作のような多眼で異彩を放つデザインを実現したといえる。

 本作のプレスリリースには明記されていなかったが、本作は明らかに99年発表の「セイコー スポーチュラ SBXZ001」の「独立多眼式」を引用したデザインであり、本作発表に際してはニヤリとした好事家もいたことだろう。SBXZ001は、既存の確立されたスタイルを捨て、視認性を最大限に高めるためにデザインされた経緯があり、そのコンセプトも本作と関連性が見出せる。

 スポーチュラは、自動巻きによる発電機構「キネティック」による独自ムーブメントによって成立していたコレクションとの側面もあり、キネティックのラインナップ縮小に伴って現在では残念ながら生産終了している。本作およびCal.8A50の投入は、視認性を追求した独立多眼式デザインをもう1度世に問うという背景もあるのかもしれない。


クラシカルな印象を生み出す琺瑯ダイアルが魅力のメカニカルクロノグラフ

セイコー プレザージュ「クラフツマンシップシリーズ」Ref.SARK013
自動巻き(Cal.8R48)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.9mm)。10気圧防水。27万5000円(税込み)。

 ここまではいずれもスピードタイマーコレクションに属するモデルであった。ここからは、それ以外のコレクションに属する2モデルを紹介しよう。まずは、セイコーのドレスおよびインフォーマルウォッチを支えるプレザージュから「クラフツマンシップシリーズ SARK013」を取り上げる。

 SARK013は、プレザージュが得意とする琺瑯ダイアルを採用したモデルだ。特徴となる琺瑯とは、金属の地板の上に釉薬を塗って焼成する技法であり、古来よりダイアル製造に用いられてきたエナメルと広義では同じものを指す。独特の濡れたような艶のある質感や、柔らかな風合いが特徴であり、セイコーはこのような独自の魅力のある琺瑯ダイアルを、長年にわたってラインナップしてきた。

 本作はホワイトをベースに、細く繊細なローマンインデックスと緻密なクロノグラフスケールを描いたダイアルを備え、ローマンインデックスとケースシルエット、ポンプ型のプッシャースイッチなどによってクラシカルな印象にまとめられている点が特徴のモデルだ。搭載されるのは先に紹介したSBEC021と同じCal.8R48と、性能や機構面でも魅力のある仕上がりとなっている。セイコーのクロノグラフモデルはスポーティーさを基軸にしたものがほとんどであるため、クラシックテイストを求めるユーザーに好適なモデルである。


アクティブな次世代のリーダーに捧げるGPSソーラークロノグラフ

セイコー アストロン「ネクスター」Ref.SBXC151
GPSソーラー発電クォーツ(Cal.5X83)。パワーリザーブ約6ヵ月。Tiケース(直径43.3mm、厚さ13.4mm)。10気圧防水。28万6000円(税込み)。

 本記事最後として取り上げるのは、セイコーの高機能モデルを受け持つ伝統あるブランド「アストロン」に属する、「ネクスター SBXC151」である。アストロンは、1969年発表の世界初の量産型クォーツ式腕時計「クォーツ アストロン」を起源とし、2012年にユーザーの位置情報と現地時刻を取得して自動時刻修正を行う世界初のGPSソーラーウォッチ「セイコー アストロン」を発表したことを機に、現在のポジションに再定義されている。

 その中でネクスターは、GPSソーラーウォッチ誕生10周年にあたって22年に加わったラインナップで、「これからの未来を見据え、次世代リーダーたちの活躍を後押しする新デザインシリーズ」と定義されたコレクションだ。このコレクションには、直線を基調としてエッジの立ったデザインと、ケースサイドからブレスレットにつながるラインを持つシルエットを備え、アストロンの機能性を継承したモデルが並ぶ。

 SBXC151は、センタークロノグラフ秒針と12時位置に1/20秒の計測ダイアル、6時位置の時分表示によって11時間59分59秒95までの積算時間を指し示すクロノグラフ機能を有する。6時位置のインダイアルは、クロノグラフ非作動時はワールドタイム機能と連動したデュアルタイム表示として機能し、GPSによる自動時刻調整とパーペチュアルカレンダーと相まって高い実用性を実現している。また、ネクスターはチタン製のケースとブレスレットを採用しており、軽量化によって着用感も高められている。ビジネスシーンに限れば「全部入り」とも言える機能性と、良好な着用感によって、多忙でアクティブな次世代リーダーを支えるモデルと言える仕上がりだ。


Contact info: セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012


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