さまざまなジャンルの有名人が愛用する時計に着目して紹介する「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、それを面白おかしく書く」をモットーし、個性溢れる探検旅行記をまとめた著書で人気を誇るノンフィクション作家の高野秀行が、探検の相棒として選んだカシオの「プロトレック」に着目した。
Text by Yukaco Numamoto
[2024年5月12日掲載記事]
植村直己冒険賞を受賞した辺境ノンフィクション作家の高野秀行
先日訪れたイラク・クルディスタンで買ったクルドの民族衣装を着て友人夫妻の結婚披露宴に参加。年配の参列者からは「アラファト?」「PLO?」と訊かれたけど、別に戦闘服ではない。クルディスタンの町ではこんな格好の人がまだけっこういる。 pic.twitter.com/wOe3pKVDs5
— 高野秀行 (@daruma1021) April 29, 2024
高野秀行は早稲田大学出身であり、在学中に大学の探検部に所属し、その時の探検行記をまとめた『幻の怪獣・ムベンベを追え』でデビューした。本作はエンターテイメント性の高いノンフィクションというジャンルを確立し、反響を呼んだ。
簡単には行くことのできない世界中の土地を取材した諸作品には定評があり、多くのファンの心をつかんでいる。中でも2002年に『西南シルクロードは密林に消える』の取材で、出国スタンプのないまま中国を出国し、国境検問所を一切通らずにミャンマー北部のゲリラ支配エリアを横断して、インドに入国したというエピソードは、探検に憧れる読者の心をつかんだ。またこれにより入国管理局のブラックリストに載せられたため、インドへの入国はできなくなってしまったという逸話の持ち主である。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、それを面白おかしく書く」というモットーの通り、ただ訪れるだけではなく、ゴリラの肉を食べたり、猿のジャーキーを食べたり、謎の怪魚を生で食べたり、と文化交流へのチャレンジ精神も旺盛な性格である。高野秀行の多くの著書は探検を時系列で追った作品であるが、食体験のみを集めた『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』といった著書も存在する。
高野秀行には語学マスターとしての側面もある。フランス語やスペイン語のみならず、アフリカ中央部のコンゴ民主共和国周辺で話されているリンガラ語や、ミャンマー、中国、タイにまたがり分布する少数民族ワ族の言語等も含めて、25以上の言語を駆使し、現地の人々とコミュニケーションを取れるのだ。タイのチェンマイ大学で日本語講師を務めていた経験もある。
高野秀行の腕時計は、カシオの「プロトレック」
現在は腰の脇につけるウェストバッグに進化しておりますw https://t.co/9bShFDmC65 pic.twitter.com/UYLr9TpOBP
— 高野秀行 (@daruma1021) December 14, 2023
高野秀行がX(旧twitter)で2024年4月29日に投稿した写真を見てみると、カシオの「プロトレック」と思われる腕時計が写っていた。リファレンスはPRW3100と推察される。トリプルセンサーVer.3、マルチバンド6電波ソーラーなどの多機能を搭載しつつ薄型化を実現した本格アウトドアウォッチだ。
トリプルセンサーVer.3では高度計測、気圧、温度計測、方位計測を計測することができる。気圧の急降下や急上昇など、注意すべき変化があった時はアラームで知らせてくれるほか、周囲の明暗を完治し、一定角度以上に腕を傾けるだけでLEDライトが自動点灯する。明るい場所では作動することなく、無駄な電力消費を抑えてくれる。指定した日の日の出・日の入り時刻を表示する機能もあり、登山やキャンプ時に役立つ。
高野秀行のように世界中を飛び回る生活を送る際に役立つのが、マルチバンド6電波ソーラーだ。わずかな光を動力に変え、各機能を安定駆動させると同時に、世界6局の標準電波を受信して時刻を自動修正してくれる。
探検家が使うにふさわしい機能として、防水機能は10気圧を誇り、リバートレッキングなどのアクティビティでずぶ濡れになったとしても、問題なく使用することができる。ワールドタイム機能はネパール・カトマンズを含む世界主要都市の時刻を表示することができる仕様だ。
複雑な機能を使いこなしやすいように、機能別のアイコンを採用しており、直観的な操作をすることができる。大型のダイレクトボタンはワンプッシュで方位、気圧や温度、高度計測が可能で滑り止め加工が施され、操作性は高い。
アウトドア向けのデザインを気に入り、街中でアウトドアウォッチを着用する人は多いだろう。リアルな探検家である高野秀行とともに、世界中を飛び回っているこのプロトレックは、持ち前の機能を最大限発揮できている幸せな個体だといえる。
なお、紹介したPRW3100モデルはすでに生産終了モデルであるが、最新後継機「PRW-35」はバイオマスプラスチックを採用した、より小さく軽いモデルとして、PRW3100の魅力を受け継いでいる。
タフソーラー。樹脂ケース(直径44.6mm、厚さ13mm)。10気圧防水。生産終了。
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