高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社代表と元社員が、総額19億円相当といわれる腕時計をオーナーに返却しないままアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに出国し、不法滞在のまま逃亡を続けているとされる事件。この前代未聞のニュースは、海外でも大きく報道された。今回はフランスの時計メディア、Montres De Luxeが2024年3月11日に報じた記事を紹介する。
[2024年5月16日公開記事]
総額19億円相当の腕時計が消えた「トケマッチ」事件
高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社「ネオリバース」代表、福原敬済(42歳)が、オーナーから預かった腕時計を返却せずにドバイへ逃亡した。
日本では起こりそうもないような出来事だ。しかし、日出ずる国でこのテレビドラマのようなシナリオが展開されたのだ。
日本のさまざまなメディアの報道によると、約19億円相当の時計がトケマッチの破綻とともに消え失せ、運営会社の社長はドバイへ逃亡したというのだ。
トケマッチはロレックスやオメガ、パテック フィリップ、オーデマ ピゲなどの時計を所有者から借り受け、顧客に貸し出し、所有者は時計の貸出費用の一部を受け取るというシステムだった。しかしその運営終了に伴い、900本近い時計が消滅。2023年8月時点で、トケマッチがインターネット上のサイトに貸し出し用として掲示していた時計は1500本にも上る。
2024年1月31日にサービスの運営終了を発表した際、トケマッチは手元にあった高級腕時計を元の所有者たちに返却すると約束していたが、一部の時計(現在確認されているのは70本)はオンライン上の販売サイトで出品が確認され、所有者たちが警察に被害届を出した。被害に遭ったのは、現在のところ190人と見られている。
トケマッチ運営会社社長の福原敬済は、会社の破産が発表されたその日に同社の元社員とともに、成田空港からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ逃亡。出国直前には、大阪の中古時計販売店で顧客から預かっていたロレックスを約65万円で売り払ったと報じられている。
時事通信によると、日本の警察は福原らに対し、業務上横領容疑の逮捕状を取得。国際指名手配したという。
シェアリング・ビジネスは日本でも急成長しており、この市場の状況を調査している機関によると、昨年度の市場規模は2兆6000億円と推定されている。
同機関によると、所有者から被害届けの提出により一般社団法人「シェアリングエコノミー協会」の名簿から、トケマッチの名は削除されたとのことである。
フランスでは過去20年の間に、多くの企業が高級腕時計貸出市場に参入しているが、このコンセプトのビジネスがうまくいったことはない。
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