新潟を拠点とする時計販売店のスリークは特別注文の「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」を発表した。この腕時計の特徴は文字盤に爽やかなブルーが用いられているところにある。このブルーが採用された理由は、英語で「盟友」を指す慣用句、「トゥルー・ブルー・フレンド」からだ。スリークはユーザーにとっての盟友となるように想いを込めて、この腕時計をデザインした。
Edited & Text by Yousuke Ohashi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年7月号掲載記事]
タグ・ホイヤーを愛する正規販売店、スリーク特注デザインの「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」
タグ・ホイヤー カレラは1963年に登場した腕時計である。初代カレラは見返しリングに目盛りが配され、視認性に優れた文字盤が特徴的な腕時計だった。運転しながら腕時計を確認するモータースポーツのレーサーにとっては適した腕時計だろう。
そのモデル名も自動車レースから採られている。由来となったのはメキシコでかつて開催されていた自動車レース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」からだ。平地や山岳地帯といった変化に富んだメキシコの大地を北から南まで5日間かけて縦断するレースであり、そのコースの厳しい自然環境から、世界で最も過酷なレースと呼ばれていた。当時のタグ・ホイヤー社長のジャック・ホイヤーはこのレースに感銘を受け、「カレラ」をモデル名に採用した。
そんなタグ・ホイヤーカレラ クロノグラフの日本限定エディションが登場した。それもタグ・ホイヤーを扱い続けている時計販売店、スリークの限定エディションである。スリークは新潟を拠点とし、宮城、埼玉、大阪に店舗を構える時計の正規販売店だ。同店は、タグ・ホイヤーの腕時計を扱うことに関しては、並々ならぬ情熱を持っている。
「盟友」の想いが込められた、ブルーの文字盤
今作の特筆すべき点は、文字盤やリュウズ、クロノグラフ秒針に、“トゥルーブルー”とスリークが呼ぶ淡いブルーが用いられている点だ。このブルーはスリークのコーポレートカラーから採用された。だが、それだけがこの色が選ばれた理由ではない。
英語には「true-blue」という慣用句がある。「忠実な、信頼できる」という意味を持ち、盟友を「true-blue friend」と表す。「この腕時計がユーザーにとっての盟友になってほしい」という願いも込められて、“トゥルーブルー”は採用されたのだ。
本作の気になる特徴をひとつ挙げると、インデックスの下に配されたサークルだろう。このサークルの存在理由をスリークに確認したところ、“トゥルーブルー”が映える腕時計を実現させるための工夫のひとつとして、このサークルを入れたのだという。想いを込めた“トゥルーブルー”が映えるように、スリークは配色を含めて本作をデザインした。
また、文字盤の仕上げも注目に値する。あえて表面を荒らしたマットな質感を持つ。文字盤にツヤがあると光が反射して、時刻が読み取りづらい場合がある。だが、光沢が抑えられたマットな仕上げの文字盤ならばその心配はない。
スリークは正規代理店としてタグ・ホイヤーを扱ってきた実績を持つ。その間に蓄えられた審美眼が本作のデザインを可能としたのだろう。
両方向巻き上げ式自社開発ムーブメントCal.TH20-00を搭載
自社開発・製造のクロノグラフムーブメントCal.TH20-00を搭載している点も要注目だ。タグ・ホイヤーのムーブメントディレクターであるキャロル・カザピが、ローターの巻き上げ方式や一部の歯形に改良を施したムーブメントだ。自動巻きのローターは両方向巻き上げ式で、実用的な約80時間のパワーリザーブを誇る。ベースとなったムーブメント、Cal.ホイヤー02では片方向巻き上げ式だったが両方向巻き上げ式に変更された。なお、Cal.ホイヤー02も自社開発・製造のクロノグラフムーブメントであり、Cal.TH20-00はその改良版にあたる。
Cal.TH20-00を搭載したレギュラーモデルのタグ・ホイヤー カレラ クロノグラフは、タキメーターがボックス型のサファイアクリスタル製風防の内部にあり、見返しリングが山のように盛り上がったモデルである。初代カレラを思い起こさせる外観だ。
だが、このスリーク特注モデルは、黒いセラミックス製ベゼルが特徴的な腕時計である。レギュラーモデルにはないケースとムーブメントの組み合わせを楽しめるのだ。
控えめな色使いの本作は、日常での使用を含めたあらゆるシーンに合うことだろう。いつも傍らにいる親友のように、心を込めて愛用できる。限定100本であることが実に惜しい腕時計だ。
自動巻き(Cal.TH20-00)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。日本限定100本。84万1500円(税込み)。
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