ルイ・エラール 同一フォーマットを差別化する巧みな手腕

ルイ・エラールを象徴するレギュレーターコレクションにセドリック・ジョナーとのコラボレーションモデルと、グランフー エナメルダイアルを備えるモデルが追加。いずれもルイ・エラールの手腕が光る。

ルイ・エラールのアイコニックなコレクション「レギュレーター」

　ルイ・エラールを象徴するレギュレーター。同社のアイコニックなコレクションだけあり、特に限定モデルへの力の入れようは目を見張るものがある。それを端的に表すのが、今回紹介する2モデルだ。

「レギュレーター ルイ・エラール X セドリック・ジョナー」はウォッチメーカーでありジュエラーのセドリック・ジョナーとのコラボレーションである。本作は、オーダーメイドでの作品製作を行ってきたジョナーの芸術性を発揮しながら、より多くの人々にその作品を提供することをコンセプトとしている。ラウンドケースにヘキサゴナル型ダイアルを組み合わせ、コンケーブ型サブダイアルを配する。

　放射状の緻密な凹凸を与えたダイアルのベース部分は、ブルーとグレーがかった紫色のモーヴの2種類で展開される。時間を示すローマンインデックスはジョナーの代表作である「アビス」を引用したものだ。さらに自動巻きローターにはジョナーが得意とする精巧なビーズ装飾が施され、特別な本作を彩っている。

「レギュレーター グランフー エナメル」はドンツェ・カドランによるグラン フーエナメル製のアイボリーカラーダイアルを用いたモデルである。高温で何度も釉薬を焼結する伝統的な手法が用いられており、文字盤表面の滑らかで均一なテクスチャーが見どころだ。薄いグレーによるインダイアルの縁取りや丸みを帯びたアラビアインデックスの組み合わせにより、伝統的手法を用いながらモダンなデザインに仕立て上げた点が本作の特徴だ。

　レギュレーターというひとつのフォーマットを、モデルによって全く異なった印象にまとめ上げる。その手腕が確かなことは、ケースもムーブメントも同じ2モデルのキャラクターと、それぞれの完成度を見れば明らかだ。