オメガが新たなクロノメーター検定機関「ラボラトワール・ドゥ・プレシジョン」を設立

FEATUREWatchTime
2024.06.27

オメガは新たなクロノメーター検定機関である「ラボラトワール・ドゥ・プレシジョン」を設立した。オメガにより設立、運営される組織ではあるが、公正、中立の立場から他のブランドのムーブメントの試験も行う。

Originally published on Montres De Luxe
[2024年6月27日公開記事]


オメガが設立、運営するクロノメーター検定機関「ラボラトワール・ドゥ・プレシジョン」

 過去50年間にわたり、クロノメーターとしての精度試験を受けるスイス製のムーブメントは、ほとんどがスイス公式クロノメーター検定機関(C.O.S.C.)で審査されてきた。オメガの設立した新しい検定機関である「ラボラトワール・ドゥ・プレシジョン」は、スイス認定サービス(SAS)から正式に認可された、C.O.S.C.と同様に機能する組織だ。

 オメガによって設立・運営されてはいるものの、この新しい検定機関は完全に中立かつ独立した立場を表明している。すべてのブランドとムーブメントメーカーに対してクロノメーター検定を受け付けている。

 なお2014年12月、オメガはスイス連邦計量・認定局と組み「マスター クロノメーター」という、C.O.S.C.よりも厳格な試験を行う認定制度を立ち上げた。チューダーも2021年からこの制度を利用している。

スイス認定サービスにより保証された中立性、独立性

 ラボラトワール・ドゥ・プレシジョンは、SASからその中立性と独立性を、試験所・校正機関の実務能力を証明する国際規格であるISO/IEC17025:2017に基づき認定されている。つまり、この検定機関が認証したムーブメントは、腕時計愛好家にとって公正な試験を受けた安心できるものであるということだ。

業界標準を超えた厳しい試験を行う

 国際的な試験規格であるISO 3159「テンプ式腕クロノメーター」に準拠し、ラボラトワール・ドゥ・プレシジョンはムーブメントの検定を行う。この検定方法は業界で標準的に行われる試験とは異なる、大変厳しい規格に基づいたものだ。

 時計業界の標準的な試験では24時間ごとに精度を測定するが、この試験では15日間にわたって継続的に測定し、ムーブメントのすべての振動を測定した上で評価される。この測定精度は業界標準の約10倍である。

 数ある腕時計のブランドやムーブメントのメーカーは、この試験のおかげで以前に比べて、より深く自社のムーブメントの性能を知ることができるようになった。この試験では工業的な手法とビッグデータ分析を通じて、膨大なデータを集めることができるからだ。

オメガ製ムーブメントの精度向上に貢献

 オメガにとって、この新しい検定機関の設立は自社の精度基準を大きく飛躍させた。新しい緩急調整機構のスピレート™システムは、時計製造技術を発展させただけでなく、測定システムの技術的な要求も引き上げた。

Cal.9920

オメガ製ムーブメントのCal.9920。緩急針とフリースプラングテンプのいいとこ取りをしたスピレート™システムを搭載したムーブメントだ。

 膨大なデータと技術的な情報にアクセスできるようになったため、スイスのビール/ビエンヌに拠点を置くオメガは今後、自社のムーブメントを分析したうえで改良し、時計ブランドとしての評価をより高めることができるようになった。

 スウォッチグループの一員であるオメガにとって、自社の流通網にクロノメーター検定試験を上手く組み込めたのは非常に重要なことだ。

 なお、ラボラトワール・ドゥ・プレシジョンはスイスのビエンヌとヴィルレに拠点を構え、クロノメーター試験専用の1000㎡を超えるスペースを確保している。



Contact info: オメガ Tel.0570-000087


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