グランドセイコーのクロノグラフウォッチで、スポーティなデザインと精密な計測を楽しむ

グランドセイコーのクロノグラフウォッチより、おすすめモデル4本をピックアップ。セイコーが培ってきたクロノグラフ製造技術と、グランドセイコーが追い求めてきた高い精度と審美性が融合したクロノグラフウォッチ。本記事では、現行モデルとともに、洗練されたデザインや計測機器としての機能性などといった、その魅力を紹介する。

ブランドの技術力が光る、グランドセイコーのクロノグラフウォッチ

　国産最高峰時計ブランドの1つ、グランドセイコー。1960年の誕生以来、グランドセイコーは精度や堅牢性、審美性を高いレベルで共存させた、数多くのモデルを世に送り出してきた。特に1967年に発売された「44GS」は、日本特有の美意識を体現したデザイン文法「セイコースタイル」を確立したマイルストーンとして、その後のセイコーおよびグランドセイコーに多大な影響を与えてきた。

　グランドセイコーには、長らく複雑機構を搭載したモデルがラインナップしていなかったが、2002年にGMT機能を搭載した機械式モデルが登場し、高機能化への道を歩み始める。さらに、2007年にクロノグラフを搭載したスプリングドライブムーブメントCal.9R86を、2022年に待望の機械式クロノグラフムーブメントのCal.9SC5を発表した。一貫して高精度化を図ってきたグランドセイコーにとって、その性能を余すところなく発揮できる最高の舞台であるクロノグラフ。その登場は、機能面のみならずデザインの多様化を生み、よりスポーティな時計を好む愛好家から注目を集めることにもつながった。

　今回は、そんなグランドセイコーのクロノグラフ搭載モデルから4本をピックアップし紹介する。いずれも独創的なデザインと耐久性に優れたクロノグラフ機構を備え、ブランドの哲学が反映された傑作ぞろいだ。

グランドセイコーのクロノグラフウォッチ

　現行モデルの中から、特筆すべきグランドセイコーのクロノグラフモデルを紹介する。

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション テンタグラフ」Ref.SLGC001

　グランドセイコー史上初の機械式クロノグラフ。「テンタグラフ（TENTAGRAPH）」の名称には、毎秒10振動（Ten beats per second）、3日間パワーリザーブ（Three days）、自動巻きクロノグラフ（Automatic chronograph）の意味が込められている。
　深みのあるブルーダイアルには、グランドセイコースタジオ雫石から望む雄大な岩手山にインスピレーションを得た型打ちが施され、3時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計が配されている。タキメーターが配されたベゼルはセラミックス製。

　ボリューム感のあるケースだが、素材にブライトチタンを採用することで軽量に仕上げ、独自のデザイン文法であるエボリューション9スタイルに則ったデザインによって、装着感を高めている。

　本作が搭載するCal.9SC5のベースとなったのは、デュアルインパルス脱進機やフリースプラングテンプ、ツインバレルを特徴とするCal.9SA5。その高い実用性を受け継ぎつつ、コラムホイールと垂直クラッチ、確実なリセットを約束する三叉ハンマーによるクロノグラフ機構を追加している。

グランドセイコー「スポーツコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」Ref.SBGC275

　主ゼンマイから生み出される動力をICと水晶振動子で制御するセイコー独自のムーブメント、それがスプリングドライブだ。本作は、グランドセイコー専用スプリングドライブムーブメントCal.9Rの誕生20周年を記念して誕生した数量限定モデルである。

　ダイアルの鮮やかな赤は、太陽の光が穂高連峰の山頂を照らす夏の朝のひと時をモチーフとしており、そこに施された力強い型打ち模様は、ライオンのたてがみをイメージしたものだ。本作にはクロノグラフとGMT機能が搭載されており、2時位置と4時位置に積算計が、サファイアクリスタルで覆われたベゼルには24時間表記が配されている。

　平面を主体に構成されたボリュームのあるケースは、力強い印象を与えつつもブライトチタンを用いることで軽量に仕上げている。特徴的なラグのデザインは、獅子の前足から着想を得たものだ。

　Cal.9R96は、自動巻きスプリングドライブのCal.9R86に特別調整を施した高精度ムーブメントだ。その証として、自動巻きローターには18Kイエローゴールド製のメダリオンがセットされている。

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション クロノグラフGMT」Ref.SBGC251

　グランドセイコーのデザインを規定するセイコースタイルをベースとして、審美性、視認性、装着性の面で進化を遂げた独自のデザイン文法、エボリューション9スタイルを採用したスポーティなGMT機能搭載モデル。

　クロノグラフとGMT、パワーリザーブインジケーター、デイト表示を搭載しながらも、ダイアルは煩雑になっておらず、求める表示を即座に確認できる判読性の高さを備えている。GMT針は水色に彩られ、他の針との混同を避けるとともに6時位置に配された“GMT”の文字の色とも統一されている。ダイアル外周の24時間表記と回転ベゼルを用いることで、最大3つのタイムゾーンの時刻を同時に表示することが可能だ。

　ブライトチタン製のケースは、シャープなラインを描き、控えめなリュウズガードが備えられている。背が低く太めのプッシュボタンは衣服などへの引っ掛かりを防ぎつつ、指先との接地面積を確保することで操作性を高めている。

　Cal.9R86は、約72時間のパワーリザーブを備える自動巻きスプリングドライブムーブメントだ。平均月差±15秒の高精度で稼働し、秒針は流れるようなスイープ運針を見せる。

グランドセイコー「スポーツコレクション」Ref.SBGC201

　グランドセイコーらしい落ち着きのあるシンプルなケースに、大型のプッシュボタンを配したデザインは、グランドセイコー初のクロノグラフとして2007年に誕生したものだ。スポーツ計時で用いられていたストップウォッチを想起させるプッシュボタンには、精密な計測機器らしい雰囲気が感じ取れる。ボタンはねじ込み式となっており、万一の誤動作を防ぐことができるよう配慮されている。

　シャンパンカラーのダイアルには、2時位置に30分積算計、4時位置に12時間積算計が配されており、袖口からでも計測結果を簡単に読み取れるレイアウトに纏められている。先端の赤い針はGMT針であり、ダイアル外周の24時間表示と合わせ、第二時間帯の時刻を示す。

　Cal.9R86のクロノグラフは、作動の確実性に寄与するコラムホイールと針飛びのない垂直クラッチによって制御され、プッシュボタンを押下した際の計測誤差を最小限にとどめるREADY／STARTモードが搭載されている。本作は、計測する楽しさを存分に味わうことが可能な、グランドセイコーのクロノグラフを代表する1本だと言えるだろう。