早くも「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」の開催日程が決定! シャネル、エルメス、そしてLVMHも理事会入り!

FEATURE役に立つ!? 時計業界雑談通信
2024.07.13

2024年6月25日、今や世界最大となった時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」から、ふたつの重大な発表があった。時計業界関係者は言うまでもなく、時計好きならば、ぜひ知っておきたい、そのふたつの事項とその背景についてお伝えしよう。

© Yasuhito Shibuya 2024
渋谷ヤスヒト:取材・文 Text by Yasuhito Shibuya
[2024年7月13日公開記事]


「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」は2025年4月1日から7日まで!

 時計業界関係者にとって絶対に見逃せない、世界最大・唯一無二の時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(以下W&WG)」。今年2024年の開催日発表は開催より約4カ月前の2023年11月だったが、次回2025年の開催日程が早くも発表された。2025年春の会期は4月1日(火曜日)から4月7日(月曜日)だ。

© KEYSTONE/Valentin Flauraud

 火曜日始まりで土日をはさみ、月曜日が最終日で開催期間は1週間というスケジュールは2024年と同じ。今年と同様に終盤の土・日・月、つまり4月5日(土)、6日(日)、7日(月)が一般公開日として設定されている。

 2024年のW&WGは、このコラムの3月16日の記事でも予測した通り、「時計業界のプロのためのクローズドなイベント」から「スイス時計発祥の地で開催される、プロに加えて時計好きも参加できる観光イベント」へという新戦略が本格的に発動した記念すべき年になった。

© Yasuhito Shibuya 2024
W&WGの本部が置かれるポート・ド・マシーヌ橋の前に設けられた特設テント。

 2025年もサロンイベントに加えて、有名時計ブランドのブティックが見学を受け入れたり、パテック フィリップ・ミュージアムなど市内の時計関連施設の見学ツアーや、W&WGの事務局があるローヌ川にかかる「マシーヌ橋」に時計師体験などができる特設テントが設けられたり、まだ発表されていないが、おそらくこうしたシティイベントの充実が期待できる。

© Yasuhito Shibuya 2024
特設会場内で開催された時計組立教室。


シャネル、エルメス、LVMHが理事会メンバーに!

 そして、もうひとつ今回の発表で見逃せないのが、W&WGを主催する財団・WWGF(The Watches and Wonders Geneva Foundation)の理事会メンバーに、新たにシャネル、エルメス、LVMHが参加したことだ。

© Yasuhito Shibuya 2024
2024年のW&WGのブースの中でも、最もインパクトのあったタグ・ホイヤーのブース。巨大な3Dスクリーンから新作のスプリットセコンドクロノグラフが飛び出して来るという演出は素晴らしかった。

 2022年9月にW&WGのために設立されたこの理事会は、これまでロレックス、リシュモン、パテック フィリップの3社のメンバーで構成されていた。そこにシャネル、エルメス、LVMHが参加することで、W&WGは「世界最大最高&唯一無二」の時計業界を代表する時計フェアとして、さらに盤石な体制を整えたことになる。

 なかでも注目は、複数ブランドを擁するLVMHの参加だろう。LVMHの時計部門は総帥ベルナール・アルノー氏の三男フレデリック・アルノー氏が率い、四男ジャン・アルノー氏もルイ・ヴィトンの枠を超えて時計事業に意欲的な取り組みを行っている。個人的には「ジェラルド・ジェンタ」や「ダニエル・ロート」の出展をぜひ期待したいところだ。

 また7月1日から理事会の議長が、ロレックスCEOのジャン-フレデリック・デュフール氏からカルティエ インターナショナル プレジデント兼CEOのシリル・ヴィニュロン氏に交代する。ただ、デュフール氏は会計責任者として引き続き留まる。そして副議長はパテック フィリップのCEOであるクロード・ペニー氏が務めるという体制になる。

 依然として、十数ブランドを擁する世界最大の時計コングロマリットの動向は不明で、その動向には引き続き注目する必要があるだろう。また、2019年を最後に消えた「バーゼルワールド」と比較すると出展ブランドはまだ1/10にも及ばない。だが、W&WGはスイス時計業界の中で、着実に地固めを進めていて、もはやその座は揺らぐことはないだろう。


出展ブランドは54からさらに増える

 また今回のプレスリリースでは触れられていないが、2025年の出展ブランドは、2024年の54ブランドからさらに増えることは確実だ。2024年のW&WGに来場した方なら、2階フロアが拡張され、新しいブランドの展示会場になったことをご存じだろう。

 この2階フロアはまだまだ拡張できるはずだし、パレクスポには拡張に対応できる充分なスペースがある。

 今後、改めてインタビューを掲載するつもりだが、W&WGのCEOを務めるマシュー・ユメア氏も会期中に筆者が行ったインタビューで「出展ブランドの拡大」を今後の方針として認めていた。また先日来日した、W&WGに出展している「クロノスイス」のCEO、オリバー・エブシュテイン氏と6月26日に次回のW&WGについて話す機会があったが、氏も「次回はさらに出展ブランドが増える」と断言されていた。だから、来年ブランド数が増えることは間違いないだろう。

© Yasuhito Shibuya 2024
上図のいちばん左が、2024年に新設された2階の展示フロア。オーディトリアムとプレスセンターもこの2階フロアに移動した。

 ただ、今年2024年は54ブランドでも、プレスの取材対象日が4日間(実質3日間)に限定されている状況では、取材できないブランドが増えるばかり。せめて一般公開日の初日の土曜日だけでも「プレス取材も可能な体制」にしていただくことを願うばかりだ。


「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024」で魅力的だった腕時計を『WatchTime』ドイツ版編集部が選ぶ!

https://www.webchronos.net/features/118714/
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024はシティイベントに注目! 時計都市ジュネーブの“大時計祭り”へ

https://www.webchronos.net/features/111149/
2024年、各ブランドがリリースした新作時計をピックアップ

https://www.webchronos.net/features/113370/