オメガ「コンステレーション」の歴史と歴代モデルを知ると、一層この時計が好きになる!

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2024.08.23

「コンステレーション」は、オメガを代表するコレクションのひとつだ。レディース向けのイメージが強いが、もともとは高精度のメンズウォッチとして人気を博してきた。コンステレーションの歴史を、歴代モデルとともに振り返る。

オメガ コンステレーション


オメガ コンステレーションの歴史【1950年代~1960年代】

初期のコンステレーションの歩みは、薄型化と多様なデザインを追求しながら進められていった。初代モデルの誕生から傑作「Cライン」ケースの登場までを見ていこう。


1952年に初代モデルが誕生

コンステレーションの初代モデルは1952年に誕生した。オメガの創立100周年記念モデルとしてリリースされた「センテナリー」の、いわば量産型として登場したコレクションである。センテナリー同様、コンステレーションも自動巻きを載せたクロノメーターだ。

コンステレーション初代モデルの大きな特徴は、パイ-パン ダイアルと呼ばれる12角のダイアルデザインである。パイを焼く皿に似ていることが愛称の由来とされており、時計史において最も美しいダイアルデザインのひとつといわれることもある。

また、裏蓋には高精度を示すジュネーブ天文台のモチーフと、コレクション名の由来となった星座が施された。初期の18Kゴールドモデルに限り、これらの模様は手作業で彫られている。

「センテナリー」の成功を受けて1952年に発売された、「コンステレーション」の初代モデル。クロノメーター認定を受けた自動巻きのCal.351を搭載し、ケースバックにはジュネーブ天文台のモチーフに加え、コンクールでの優勝や世界記録を樹立した実績を表す8つの星が刻印されている。


1960年代半ばからフラットダイアルを採用

初期のコンステレーションの歩みは、オメガ自動巻きの進化と同義である。薄型化に成功したCal.550系や日付表示を加えたCal.560系を備える1960年代初頭の「コンステレーションⅡ」をもって、実用時計としてひと通りの完成を見せたといえる。

以降、コンステレーションは多様なデザインを追求するようになる。1960年代半ばになると、ダイアルデザインはフラットダイアルに変更され、これによりバリエーションも豊富になっていく。


1964年に傑作“Cライン”ケースが登場

ムーブメントの薄型化を実現したコンステレーションⅡは、「シーマスター」から転用した、金属製の見返しリングで風防を支える防水構造を採用している。これにより、ケースの厚みを変えることなく防水性能を大幅に向上させることに成功した。

さらにケースをベゼルレスに進化させたのが、いわゆる「Cライン」ケースの「コンステレーションⅢ」だ。このモデルは傑作として世界中で支持を集め、現在もアンティークオメガの中で高い人気を誇っている。

1964年に登場したコンステレーションⅢでは、ラグとケースサイドが一体化され、ラグの先端を断ち落とすデザイン処理が施された。オメガは近年、「Cライン」ケースのデザインを担当したのがジェラルド・ジェンタ氏であったことを認めている。

1969年には、ケースと一体化したインテグレーテッドブレスレット採用モデルが登場する。いわゆるラグジュアリースポーツモデルの先駆けとなるブレスレットである。この頃のコンステレーションは、この他にもさまざまなデザインを時計に盛り込んでいる。


オメガ コンステレーションの歴史【1970年代~1990年代】

1960年代以降のコンステレーションは、「マンハッタン」の登場まで多くの試行錯誤を繰り返していた。クォーツの登場からマンハッタンに至るまでの歩みをたどる。


クォーツムーブメント搭載モデルが登場

1969年にセイコーがもたらしたクォーツ革命を受け、コンステレーションにもクォーツムーブメント搭載モデルが登場した。

1970年にリリースされたクォーツモデルには、厚みのあるクォーツムーブメント、ベータ21が搭載されている。立体的な風防でケースを薄く見せてはいたものの、傷が付きやすい立体的なプラスティック風防が好まれなくなっていたこともあり、このタイプは時代遅れとされつつあった。

このような時代背景を受けて登場したのが、1972年発表の「コンステレーション メガクォーツ」だ。風防には割れにくいサファイアクリスタルを採用し、ケースはベゼルのない2ピース構造となっている。

1977年には、独自の薄型クォーツ「Cal.1340系」を搭載したモデル「コンステレーションクロノメーター クォーツ クリスタル」が登場した。クォーツムーブメントの薄型化に成功したことで、コンステレーションのデザインの自由度が再び高まることになる。

ラウンドケースに8角形のベゼルを組み合わせ、1977年に発表された「コンステレーション クリスタル」。ムーブメントには、オメガが開発した薄型クォーツのCal.1340系が搭載された。


ベゼルの爪が特徴的な「マンハッタン」

1982年には、ベゼルを留める特徴的な4本の爪を持つ「マンハッタン」が発表された。1977年登場のコンステレーション クリスタルの実質的な後継機である。より薄型のケースを備え、1969年に採用されたインテグレーテッドブレスレットも使用されている。

1995年に登場した第2世代のマンハッタンは、クォーツだけでなく自動巻きも搭載するようになった。ベゼルと風防は立体的になり、防水性能も50mに向上している。

なおマンハッタンの4本の爪は、防水性能を確保するためにサファイアクリスタル風防を支えるという、実用上の理由で加えられたとされている。

コレクションのターニングポイントに位置付けられるのが、1982年に発表された「コンステレーション“マンハッタン”」。コンステレーションの代名詞となった4つの爪を備えるのみならず、ケースの上下両サイドに設けられたハーフムーンファセットによってブレスレットとケースに一体感がもたらされ、洗練されたルックスを実現した。


オメガ コンステレーションの歴史【2000年代~現在】

2000年代以降のコンステレーションは、マンハッタンの進化とともに歩んでいくことになる。ダブルイーグルの登場から現在の第5世代に至るまでの過程を紹介する。


コーアクシャル脱進機を搭載した「ダブルイーグル」

2003年に登場した第3世代のマンハッタンには、コーアクシャル脱進機のCal.2500系が搭載された。機械式時計として再び脚光を浴びることになったこのモデルは、通称「ダブルイーグル」と呼ばれている。

平らで幅広いデザインの爪は、ベゼルになじむように設計された。この誇張された爪やベゼルのデザインは、第4世代のマンハッタンにも受け継がれることになる。

素材やサイズに関して幅広いバリエーションが用意されたダブルイーグルは、年齢や世代を問わず多くの時計愛好家から人気を集めた。

2003年に発表されたコンステレーションの第3世代“ダブルイーグル”。コーアクシャル脱進機を備えたCal.2500系を搭載し、外装においてはベゼルと爪のデザインが強調された。


初代モデルの意匠を受け継いだ「グローブマスター」

グローブマスターは、2015年に発表されたコンステレーションの新しいラインだ。このモデルは、1952年に誕生した初期のコンステレーションのデザインを現代的に再解釈している。

グローブマスターの特徴的なデザインには、中央が12角形に盛り上がった文字盤(パイ-パン ダイアル)、6時位置に配置された星、フルーテッドベゼルなどが含まれる。これらの要素は、初期のコンステレーションから受け継がれたものだ。

一方、マンハッタンシリーズは別のラインとして存在し、1982年に登場した後、複数の世代を経て進化してきた。最新の第5世代マンハッタンは2020年に発表され、男性向けのコレクションも充実させている。

マンハッタンシリーズは、24mm、27mm、31mm、35mmなど多様なケースサイズを提供し、特に女性向けのモデルが豊富である。これにより、幅広い顧客層のニーズに応えている。


マスター クロノメーター認定を受けた「マンハッタン」第5世代

現代のオメガを象徴する第5世代のマンハッタンは、2019~2020年にかけて順次リリースされ、ムーブメントはマスター クロノメーター認定を受けたモデルだ。

女性向けの25mm、28mm、29mmに加え、男性向けの36mm、39mm、41mmも増やし、再び男性向けのコレクションを充実させている。

ベゼルとローマ数字は細身になり、立体感を強調するためにベゼルとケースの間にタメを持たせている。加工精度の向上により、4本の爪とケースのフィット感も増した。なお、今や4本の爪に実用上の理由はなく、コンステレーションのアイコンとして残されている。


オメガ コンステレーションのおすすめ現行モデル

オメガ コンステレーションの現行モデルは、いずれもコレクションの歴史を感じさせるものばかりだ。男性向けのおすすめ現行モデル4選を紹介する。


オメガ「コンステレーション」36mmモデル

オメガ コンステレーション

オメガ「コンステレーション」Ref.131.10.36.20.02.001
自動巻き(Cal.8800)。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径36mm、厚さ11.7mm)。5気圧防水。94万6000円(税込み)。

オメガ コンステレーションの36mmモデルには、マスタークロノメーターCal.8800が搭載されている。パワーリザーブは約55時間、1万5000ガウス以上の優れた耐磁性能を誇る。

ケースとブレスレットには316Lステンレススティールを、針やブランドロゴ、コンステレーションの「星」、インデックスにはいずれも18Kホワイトゴールドを使用している。

4本の爪とハーフムーンデザイン、ローマ数字が刻印されたベゼルも印象的だ。サンブラッシュ仕上げのシルバーダイアルには、日付窓が6時位置に配されている。


オメガ「コンステレーション グローブマスター」39mmモデル

オメガ コンステレーション

オメガ「コンステレーション グローブマスター」Ref.130.30.39.21.03.001
自動巻き(Cal.8900)。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.6mm)。10気圧防水。121万円(税込み)。

コンステレーションのグローブマスター 39mmモデルは、マンハッタンの第4世代に当たるモデルである。初代モデルを想起させる裏蓋の天文台と12角のダイアルデザインが印象的だ。

ステンレススティール製の3連ブレスレットは、やや湾曲した中央のリンクを特徴に持つ。傷の付きにくいフルーテッドベゼルを採用し、ダイアルにはロジウム仕上げのコンステレーションの「星」が施されている。

約60時間のパワーリザーブを発揮するマスタークロノメーターCal.8900には、ロジウムプレート加工が施されたローターとブリッジが備わっている。


オメガ「コンステレーション」39mmモデル

オメガ コンステレーション

オメガ「コンステレーション」Ref.131.13.39.20.06.002
自動巻き(Cal.8800)。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.4mm)。5気圧防水。99万円(税込み)。

ベゼルにブルーのローマ数字が施されたコンステレーション 39mmモデルには、耐磁性に優れたマスタークロノメーターCal.8800が搭載されている。

横方向のサテン仕上げを施したルテニウム製のグレーダイアルには、ブルーの針、ブランドロゴ、星、インデックスを組み合わせ、軽快な雰囲気に仕上げている。

ブルーのレザーストラップは、表面がアリゲーターレザー、裏面がノングレインカーフレザーのデザインだ。


オメガ「コンステレーション メテオライト」41mmモデル

オメガ コンステレーション

オメガ「コンステレーション メテオライト」Ref.131.30.41.21.99.003
自動巻き(Cal.8900)。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.5mm)。5気圧防水。144万1000円(税込み)。

「コンステレーション メテオライト」は、オメガの24年新作である。チタン製ベゼルにブルーのコーティングが施されたダイアルを持つ。

ダイアルは本物のメテオライト(隕石)から作られており、モデルにより模様が異なる。ひとつとして同じものはない。

搭載されているCal.8900は、裏蓋から鑑賞することが可能だ。コンステレーション メテオライトは5種類のダイアルバリエーションがあるため、他のモデルもチェックしておこう。


オメガ コンステレーションの輝かしい歴史を振り返ろう

コンステレーションはレディースウォッチとしての印象が強いコレクションだったが、もともとは高精度メンズ時計として誕生し、精度の高さや技術力を象徴する時計として評価を受けてきた。

コレクションの輝かしい歴史を知った上でお気に入りのモデルを手に取れば、より愛着の湧く1本として長く使い続けられるだろう。


Contact info: オメガ Tel.0570-000087
参考サイト:https://www.omegawatches.jp/


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