IWC「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 デザイン」は時計全体が光る！　新素材を採用したコンセプトウォッチを紹介

IWCはコンセプトウォッチ「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 デザイン」を発表した。本作の特徴は、セラミックスにスーパールミノバを混ぜた新素材Ceralumeをケースに採用している点にある。文字盤とストラップにもスーパールミノバを使用し、時計全体が発光するこのモデルについて紹介しよう。

発光する新素材、Ceralumeを採用したコンセプトウォッチ

　1980年代以来、セラミックスを得意な技術のひとつとするIWCは、「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 デザイン」というコンセプトウォッチを発表した。この腕時計のケースには新しく開発された素材、Ceralumeが採用されている。この素材はセラミックスに蓄光性素材であるスーパールミノバを混ぜ合わせたものである。

　スイス・シャフハウゼンを拠点とするIWCが開発したCeralumeは、十分に蓄光された状態ならば暗所で24時間以上光り続ける。蓄光さえさせれば、何度でも光らせることができるのも特徴だ。ちなみに、文字盤とストラップにもスーパールミノバが使用されているため、ケースだけではなく、腕時計全体が発光する。

　時計愛好家なら「ドバイ ウォッチ ウィーク 2023」でベル&ロスが発表した、ケース全体が発光する「BR-X5 グリーンラム」を覚えていることだろう。今回IWCから発表されたパイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 デザインは、この腕時計のコンセプトに近いモデルだと言える。

　新しいセラミック素材であるCeralumeを用いた本作は、ラドーやシャネル、パネライ、オメガ、オーデマ ピゲといったブランドのように、セラミックスを得意とするブランドとして、市場での地位を強化したい狙いがあると思われる。

　なお、パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 デザインはプロトタイプモデルであり、実際に販売されているものではないということは注意が必要だ。

夜光塗料の進化と歴史

　時計の誕生以来、時計ブランドはさまざまな条件下での視認性の向上に努めてきた。特に、夜間や暗所でも時刻を読み取れるよう、努力と改良を重ねてきたのである。

　時分針やインデックスを光らせるための夜光塗料は、20世紀初頭に初めて登場した。この時使われていたのは、放射性物質であるラジウムだ。しかし、工場の従業員たちに健康被害が出たことや、経年劣化により比較的短期間で発光しなくなるなどの問題を抱えていた。

　そのため、その後数十年のあいだに夜光塗料は改良されていき、1993年に今も使われているスーパールミノバが登場した。より長時間、より明るく光る蓄光塗料であるスーパールミノバは、数多くのブランドで採用されている。

文字盤やケースが光る時計たち

　いくつかの時計ブランドでは、蓄光塗料の利用をさらに押し進めた。針とインデックスに塗布するだけではなく、文字盤そのものが発光するモデルも登場するようになった。

　このようなコンセプトの腕時計は、2017年以降のベル&ロスに見受けられる。さらにはエレガントなF.P.ジュルヌの腕時計や、ペルレの「タービン」にも同様のモデルがある。もちろんこれらのモデルがすべてではなく、このほかにもさまざまな“光る”腕時計が登場している。

　今回紹介したIWCのパイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 デザインも、こうした蓄光塗料を活用した腕時計のひとつだ。セラミックスとスーパールミノバを組み合わせた独自素材Ceralumeが、今後どのように使われていくのか注目したい。