自動巻き腕時計が誕生して100年を迎えた2022年の11月号で、クロノス日本版編集部は、自動巻き機構と真剣に向き合った。そのページをwebChronosへと転載していく。今回は、ユーザーの「ワーキングスタイル別」おすすめの自動巻き時計を提案する。
Photographs by Yu Mitamura, Takafumi Okuda, Eiichi Okuyama, Masanori Yoshie
野島翼、クロノス日本版編集部(広田雅将、鈴木幸也、細田雄人、土井康希):取材・文
Text by Tsubasa Nojima, Chronos Japan Edition (Masayuki Hirota, Kouki Doi)
Edited & Text by Chronos Japan Edition (Yukiya Suzuki, Yuto Hosoda)
[クロノス日本版 2022年11月号掲載記事]
ワーキングスタイルで選ぶおすすめ自動巻き時計
「自動巻き機構、何が正解なのか?」を、巻き上げ方式に着目して、各自動巻きの特徴とそのメリット/デメリットに関して述べてきた。では実際に着用するとなるとこれら自動巻きはどういったシチュエーションで真価を発揮するのか。ワーキングスタイル別のおすすめウォッチを紹介しよう。
ここでは、それぞれの個性を踏まえた上で、その自動巻きがデスクワーク向きかアクティブワーク向きか分類してみた。
パテック フィリップとロジェ・デュブイの掲載モデルはデスクワーク向けの片方向巻き上げを採用するが、ローターの振動が小さいため、アクティブワーク向けに含めた。IWCは自動巻きの頑強さを考慮した結果。一番汎用性が高いのはチューダーで、デスクワークに向くのは、ずば抜けた巻き上げ効率を誇るグランドセイコーである。
なお、ラグジュアリー/エントリーの区分は、掲載モデルの価格を反映したものであり、メーカーの格を意味しているわけではない。
①グランドセイコー「エボリューション9 コレクション SLGA009」
SSケース(直径40mm、厚さ11.8mm)。10気圧防水。(問)グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617
セイコースタイルをベースとする新しいデザイン文法を取り入れたエボリューション9 コレクション。幅広のブレスレットや低重心のケースを採用し、装着感を向上させた。Cal.9RA2は、オフセットマジックレバーによる薄型化や、デュアルサイズバレルによるロングパワーリザーブを誇る。
スプリングドライブ。38石。パワーリザーブ約120時間。直径34.0mm、厚さ4.8mm。
②ユリス・ナルダン「マリーン トルピユール パンダ」
SSケース(直径42mm)。50m防水。世界限定300本。(問)ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791
海との深い関わりを持つ同社らしく、そのデザインは大航海時代に船長が携帯していたポケットクロノメーターに着想を得たもの。大型のスモールセコンドやローマ数字インデックスを配した古典的なデザインながら、Cal.UN-118には、同社が得意とするシリシウム製脱進機が採用されている。
50石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。直径31.6mm、厚さ6.18mm。
③ジャガー・ルクルト「マスター・コントロール・デイト」
SSケース(直径40mm、厚さ8.78mm)。50m防水。世界限定800本。(問)ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833
サンレイ仕上げのブルーダイアルをまとった限定モデル。初代モデルから続くクラシカルな意匠は、1950年代の機械式時計最盛期のデザインをモチーフとしたものだ。2020年に刷新されたCal.899はシリコン製脱進機と約70時間パワーリザーブを備え、弱点であった針飛びも解消された。
32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。直径26.6mm、厚さ3.3mm。
④オリス「ビッグクラウン ポインターデイト キャリバー403」
SSケース(直径38mm)。5気圧防水。(問)オリスジャパン Tel.03-6260-6876
1938年に誕生したオリスを代表するパイロットウォッチ「ビッグクラウン ポインターデイト」の現行モデル。オリジナルの流れをくむ大型のリュウズが、高い操作性をもたらしている。自社製ムーブメントを搭載した本作は、ペンシル型の時分針とポリッシュベゼルを採用することにより、モダンなデザインに仕上げられている。
24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。直径30mm、厚さ6mm。
⑤パテック フィリップ「年次カレンダー 5205」
18KRGケース(直径40mm、厚さ11.36mm)。3気圧防水。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109
オリーブグリーンダイアルと18KRGケースをまとった2022年モデル。弧を描くように配された曜日、日付、月の小窓がアイコニックな、パテック フィリップを代表する年次カレンダー搭載モデルだ。オープンワークを施したラグや凹型ベゼルといったモダンなデザインを持つ。
34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。直径32.6mm、厚さ5.78mm。
⑥ロジェ・デュブイ「エクスカリバー モノバランシエ ブラックセラミック」
ブラックセラミックケース(直径42mm)。10気圧防水。(問)ロジェ・デュブイ Tel.03-4461-8040
星形ブリッジをはじめとした、モダンなスケルトンダイアルが特徴的なモデル。大胆なデザインに目を奪われがちだが、そのムーブメントには、精度の安定化と衝撃への耐性を高めるためのフリースプラングテンプが採用され、マイクロローターには回転時のノイズを減らすための緩衝材が組み込まれている。
32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。直径36mm、厚さ5.95mm。
⑦IWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ43 スピットファイア」
Tiケース(直径43mm、厚さ14.4mm)。10気圧防水。(問)IWC Tel.0120-05-1868
昨年リニューアルされ、ケースの小径化と防水性の向上が図られた「ビッグ・パイロット・ウォッチ」。本作ではサンドブラスト仕上げのTiケースと、ベージュカラーの夜光がヴィンテージ感を高めている。外側に分と秒、内側に時間の目盛りを配したデザインは、偵察機のパイロットが着用した「Bウォッチ」に着想を得たものだ。
22石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。直径30mm、厚さ6.0mm。
⑧チューダー「ブラックベイ」
SSケース(直径41mm)。200m防水。(問)日本ロレックス/チューダー Tel.0120-929-570
往年のダイバーズウォッチを再解釈して誕生した「ブラックベイ」。アイコニックなスノーフレーク針や、リュウズガードのないすっきりとしたリュウズ周り、リベットタイプのブレスレットがクラシカルな印象を与える。チューダによって設立されたケニッシによるマニュファクチュールキャリバーを搭載する。
25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。直径31.8mm、厚さ6.52mm。