時計ブランドも日本人トップドライバーに注目! チューダーからあの角田裕毅も着用のF1コラボモデル登場!!

FEATURE役に立つ!? 時計業界雑談通信
2024.08.24

オリンピックのような国際的な競技大会を観戦すれば一目瞭然のことだが、どんなスポーツにも競技中の種々の時間を計測する時計は欠かせない。なかでもモータースポーツは時計と特別な関係にある。今回は、そんなモータースポーツと時計に関わる、ちょっとうれしくて楽しみな話。

©Yasuhito Shibuya 2024
2024年春に開催された「WATCHES AND WONDERS GENEVA 2024」のチューダー・ブースに飾られていたコラボレーションモデル。この時点では発売予定はアナウンスされていなかった。
渋谷ヤスヒト:取材・文 Text by Yasuhito Shibuya
[2024年8月24日掲載記事]


スポーツに不可欠な「時計」と「計時」

 オリンピックのような大規模な国際競技大会をテレビなどで観戦していると分かるが、スポーツと時計は“切っても切れない”関係にある。どんなスポーツでも試合時間やタイムの計測が正確に行えなければ、競技自体が成り立たない。

 実際、より精密なタイム計測が必要になるたびにクロノグラフ機構は進化してきた。1/8秒、1/10秒から1/100秒。機械式ではもはや計測不能な1/1000秒の世界を正確に測るためにスリットカメラや電子計時システムが開発され、今はさまざまなスポーツで広く使われている。そして、あらゆるスポーツの中でもモータースポーツほど時計と密接な競技はない。マシンの高速化に伴って、両者は一緒に発展してきた。電子計時システムに切り替わったことで、技術的な関係性は希薄になったが、ビジネス面では両者はさらに親密な関係にある。

 特にクロノグラフを主力製品とするスポーツウォッチブランドにとって、モータースポーツのイメージはブランドや製品のプロモーションには欠かせない。そのため、ドライバーやライダー、チームのスポンサーを務めるばかりでなく、レース全体の計時(公式計時)を担当するというかたちでモータースポーツに関わる時計ブランドは多い。

 このコラムでも「ロレックス」が、世界モータースポーツ連盟(FIM)が主催するモータースポーツの最高峰レース「Formula 1(フォーミュラワン/略称F1)」と、プロトタイプスポーツカーによる耐久レース「World Endurance Championship(ワールド・エンデュランス・チャンピオンシップ/略称WEC)」の主要なレース(デイトナ24時間レース、ル・マン24時間レース)の公式計時を務めていることを紹介した。


ファンには見逃せない「コラボモデル」

 そして、こうした時計ブランドとモータースポーツの密接な関係から生まれる特別な製品が、チームやドライバーとのコラボレーションモデルだ。その多くが限定モデルで、ドライバーやチームが着用するものと同じか同等のモデルが購入できるのだから、ファンには見逃せない。

 そして2024年7月、いまスイス時計界で一番注目されているスポーツウォッチブランド「チューダー」から、F1チームとの魅力的なコラボモデルが登場した。「ブラックベイ セラミック“ブルー”」だ。コラボの相手はモータースポーツの最高峰「F1」の中堅チームで、現在日本人で唯一の、しかもF1界で最も注目されている24歳の若手ドライバー・角田裕毅(つのだ・ゆうき)選手が在籍する通称「VCARB(ブイカーブ)」、正式名「Visa Cash App RB Formula One Team(ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ・ワン・チーム)」だ。

角田裕毅選手は2005年、神奈川県相模原市生まれ。2021年からF1にフル参戦している。

 角田選手は、今年参戦4年目でレースごとに評価が高まっている。F1ファンの間では「日本人として初のF1レース優勝が期待できる」期待の新星だ。速さではトップ5チームに劣るマシンを抜群のブレーキングとタイヤマネジメントで粘り強くドライブし、着実にポイントを獲得している。その角田選手や同僚のダニエル・リカルド選手、チームスタッフがサーキットで着用しているものとほぼ同じモデルを手にすることができるのだ。

チューダー「ブラックベイ セラミック“ブルー”」

チューダー「ブラックベイ セラミック“ブルー”」Ref.M79210CNU-0007
自動巻き(Cal.MT5602-1U)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。セラミックケース(直径41mm、厚さ14.4mm)。200m防水。71万8300円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570

 モデル名から分かるように、ベースモデルは、2021年春から発売中の「ブラックベイ セラミック」。この腕時計はチューダーの誇るマニュファクチュールムーブメントをセラミックケースに搭載するばかりでなく、スイス連邦計量・認定局(METAS)が行う「マスター クロノメーター」認定に合格した、チューダーの中でもNo.1と言っていいハイスペック&ハイコストパフォーマンスモデルだ。F1や角田選手のファンを魅了するだけでなく、チューダーファンにとっても待望のブルーダイアル仕様の「ブラックベイ セラミック」でもある。その意味でも見逃せないし、また、交換用のファブリックストラップが付属しているというのもうれしい限りだ。

 実は、チューダーは2024年2月に同チームとのパートナーシップを発表。これに伴ってチューダーは、ふたりのF1ドライバーとチームスタッフのために、「ブラックベイ セラミック」をベースにしたスペシャルウォッチを製作。それが冒頭の写真だ。この春にジュネーブで開催されたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024のブースに飾られていた”あの時計“であった。この夏、それが正式に製品化されたのだ。


出るか?「フランク ミュラー」待望のコラボモデル

 またこの先、日本人トップドライバーとのコラボモデルが期待される時計ブランドもある。それが、日本人で唯一、ラリーの世界最高峰「World Rally Championship(略称WRC)」にトヨタチームのレギュラードライバーとして参戦している勝田貴元(かつた・たかもと)選手とアンバサダー契約を結んだ「フランク ミュラー」だ。

勝田貴元選手とWRCで常にトップを争うワークスマシン「トヨタ・GRヤリス ラリー1」。アンバサダー契約はこの春に開催されたWPHH会場で行われたという。

 勝田選手は31歳。トヨタのワークスチームでトヨタ・GRヤリス ラリー1をドライブし、2024年の第3戦「サファリ・ラリー・ケニア」では、2021年に続き総合2位表彰台を獲得している。いつWRC初優勝を飾ってもおかしくない、将来は日本人初のWRCチャンピオンが期待されるトップドライバーである。

 トヨタのワークスドライバーとしてWRC全戦に参戦しながら、今年から自身で立ち上げたラリーチーム「TK motorsport」で若手育成に向けた活動も開始している。

 現時点でコラボモデルは発表されていないが、モータースポーツのコラボモデルがこれまでほとんどないブランドだけに、個人的にはぜひコラボモデルの登場を期待したい。


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