ロシアの独立時計職人コンスタンチン・チャイキンは、2024年8月29日から9月2日まで開催されているジュネーブ・ウォッチ・デイズにて、「ThinKing」を披露した。まだプロトタイプながら、特許を取得した新技術を駆使し、わずか1.65mmという厚みのケースを実現した、超薄型機械式腕時計だ。なお、開発は現在進行中である。
わずか1.65mmの「ThinKing」とは?
ユニークかつ革新的な機械式時計を多く輩出してきたコンスタンチン・チャイキン。その代表作のひとつ、「リストモン」コレクションの新作にあたる、開発進行中の超薄型機械式腕時計だ。「ThinKing」と名付けられた本作は、2024年度のジュネーブ・ウォッチ・デイズにて、初めてそのプロトタイプが披露された。
名前は、“思考から生まれた時計(ThinKing)”と、“薄型時計の王(The King of Thin Watches)”のダブルミーニングだ。自動巻き・手巻き(Cal.K.23-0)。SSケース(直径40mm、厚さ1.65mm)。開発中のため価格未定。
わずか1.65mmという厚みを実現した本作のデザインは、コンスタンチン・チャイキンの「ジョーカー」がベースとなっている。中央左側に時刻表示、右側に分表示を配置し、下部にアーチ状のブランドロゴを刻むことで、キャラクターが笑っているように見える、ユニークな盤面が表現された。
本作およびそのムーブメントCal.K.23-0の設計にあたり、コンスタンチン・チャイキンは、超薄型巻き上げ香箱、ダブルバランスホイール、専用ストラップのそれぞれに関する、3つの特許を取得したという。香箱とバランスホイールについては、ムーブメントの厚みの削減に大きく貢献する技術であり、専用ストラップは実際に着用するにあたり、安全性の確保に役立つものだ。なお、このストラップはチタン製のサポートと弾性インサートが組み込まれており、ショックや曲げによるダメージを最小限に抑えられるものとなっている。
中でもダブルバランスホイールは、他の超薄型時計ではなかなか見られない、コンスタンチン・チャイキンの独創性が際立つ発明と言える。ふたつのバランスホイールに対し、一方にヒゲゼンマイを取り付け、もう一方をレバーと連動させる構造によって、各種機能の分散を行い、調速機自体のコンパクト化を叶える技術となっているのだ。
主ゼンマイの巻き上げは、「PalanKing」と呼ばれる、厚さ5.4mmの外部ケースによって行われる。
なお、本作の制作プロジェクトは現在進行中であり、さらなる技術的な改良が期待されている。時計製造の限界に挑戦し続ける、コンスタンチン・チャイキンの今後の展開に注目が集まる。