クロノメーターの精度認定でお馴染み、ブザンソン天文台が140周年を祝う

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2024.09.04

フランス、ブザンソンにある1884年8月16日に設立されたブザンソン天文台は、気象学、天文学、計時学に貢献することを目的とし、正確な時刻を提供するとともに、時計や精密時計(クロノメーター)の精度検証を使命とした。今日、天文台は、その目的を忠実に追求し続け、時間測定の分野におけるその役割を果たし続けている。

Originally published on Montres De Luxe
Edited by Takashi Tsuchida
[2024年9月4日公開記事]

創立140周年を迎えたブザンソン天文台の外観。石造りの円筒形のドームと、隣接する歴史的な建物が、緑豊かな敷地内に調和している。

宇宙を見つめて時を測る。 歴史が息づく天文台

 1884年、緑豊かな環境の中で開設されたフランスのブザンソン天文台は、今では歴史的建造物として登録され、20世紀の遺産として認定されている。そしてガイド付きツアーと新たな展示スペースを用意して、時計愛好家たちを迎えているのだ。ここでは天文台の黎明期から現在の最先端の研究まで、140年にわたる天文学の歴史を巡ることができる。また天体望遠鏡、高度方位儀、写真天体儀など、展示されている機器にはそれぞれ解説が添えられている。

 ブザンソン天文台内の展示スペースは、5つの大きなテーマに分けられている。

時の回廊:入口付近には天文台の歴史における重要なポイントを記した年表が展開され、その変遷を捉えることができる。

1905年のシスティエルナ:最初の展示室において、見学者は20世紀初頭の科学的使命の真っ只中へと誘われる。当時の天文学における手法と課題がイラストで展示される。

グルィ氏の旅:この展示では、天文台創立者ルイ-ジュール・グルィが1881年から1883年にかけて行なったヨーロッパ視察旅行について、その足跡と天文台創設への影響をたどることができる。

子午線:子午儀が設置された展示室。このセクションでは、天体観測の最新状況を体験できる。パネル展示では、現在進行中の研究とその将来的な展望について紹介している。

記憶のギャラリー:ここでは、1882年から1930年にかけて撮影された印象的な写真コレクションが展示されており、天文台の豊かな歴史を振り返ることができる。

 天文台のガイド付きツアーは通常料金8ユーロ、割引料金6ユーロである。なお、12歳未満は無料だ。

 ブザンソン天文台は、1878年に時計産業の要請により、ブザンソン市公教育省の主導で設立され、天文学、精密時計学、気象学という3つの使命を担っていた。建築的には、天文観測に適した建物の正確な方位配置と、各観測機器のために独立したパビリオンを設けていることがポイントである。

 木々の生い茂った広大な敷地内には、大子午環望遠鏡を収容する開閉式屋根を備えたパビリオン、赤道儀望遠鏡を備えたパビリオン、音叉時計のパビリオン、振動台を備えた施設、天体望遠鏡が設置されたドーム、図書館、その他の施設が点在している。

 天文台は、一点物を含む、豊富な歴史的価値のある科学機器のコレクションを所蔵している。所蔵品には、ゴーティエの大型子午儀(1885年)、ダンジョンのアストロラーベ(1958年)、難破船から回収されたルロワのマリンクロノメーター(1867年)、複数の原子時計などが含まれる。



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