腕時計選びをする際、装着感は重要な要素となる。そして実際に時計を着用できない場合、その判断基準をケースサイズとする場合が多いだろう。しかし人間の腕というのは、骨格タイプによって形が大きく異なる。そこで今回は「ストレート」「ウェーブ」「ナチュラル」に分類される骨格の特徴を解説。加えて、それぞれの骨格におすすめの時計をグランドセイコーを例に紹介しよう。
Photographs & Text by Mutsuyo Ito
[2024年5月10日公開記事]
ケース径以外にも時計の選び方はある!?
時計を選ぶときに「ケース径はどれくらい?」と聞いたことがある方は多いかもしれない。いくつか購入や試着をすることで、なんとなく自分の中でしっくりくるケースサイズが見えてくるからだ。
しかし、なぜそのケース径が自分の腕にしっくりくるのかが分からないという方も多いことだろう。そこで手首周りのサイズだけではなく、手首の断面の形状や骨・筋の見え方、手の特徴から、骨格別(骨格ストレート・ウェーブ・ナチュラル)にお勧めのケースサイズを、バリエーションが豊富なグランドセイコーで解説する。
骨格で選ぶには? あなたの骨格を知るための簡易骨格診断スタート!
骨格診断とは、持って生まれた骨格を「ストレート」「ウェーブ」「ナチュラル」に3分類し、その骨格に合った似合うアイテムのサイズ感やスタイリングのどこに重心を置くのかを導き出すことだ。
骨格ストレート場合、手のサイズが小さめで、手のひらにハリがあるのが特徴だ。
自分がどの骨格に該当するのか、最初はなかなか判断が付きづらいかもしれない。しかし、難しく考えるよりも、知人・友人と手を見せ合うと分かりやすいもの。手を見ただけでも骨格の違いがあることが分かるはずだ。
骨格ウェーブの手は標準的なサイズに楕円に近い形をしている。
簡易的ではあるが、骨格別特徴チェックシートで自身の骨格はどれに近いか自己診断していこう!
しっかりした骨格を持つナチュラルタイプは、サイズ大きめで、断面は長方形に近い。
サイズバリエーションが豊富なグランドセイコーで実践!
ここでケースの直径が異なる3モデルが、それぞれどの骨格にフィットするのかを解説していこう。なお、今回は手首のサイズが腕周り16.5~17cmを基準とした。
骨格ストレートタイプにお勧めのグランドセイコー:SGBA375
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R65)。30石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.5mm)。10気圧防水。70万4000円(税込み)。
骨格ストレートタイプにお勧めのケースサイズは手首に対してジャストで収まるサイズ。時計を腕にのせた時に、エンドピースとひとコマ目がしっかり見えるくらいのケースを選ぶと良い。コマ詰めは主流となっている、指1本入るくらいがベター。
骨格ウェーブタイプにお勧めのグランドセイコー:SBGW299
自動巻き(Cal.9S64)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径36.5mm、厚さ11.6mm)。10気圧防水。73万7000円(税込み)。
骨格ウェーブタイプにお勧めのサイズはジャストサイズよりも小さめ。骨が華奢なこのタイプは手首の骨格も細い方が多い。コマ詰めは指1本入るよりも大きめでもOK。
華奢ではあるが、手首のくるぶしで支えられる範囲であればしっくりくる。逆に腕に対してピッタリはまりすぎると、手首の細さを強調しすぎて全体のバランスが取れない事もあるため、全身鏡で確認することをお勧めしたい。
骨格ナチュラルタイプにお勧めのグランドセイコー:SBGJ237
自動巻き(Cal.9S86)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径44.2mm、厚さ14.4mm)。20気圧防水。94万6000円(税込み)。
骨格ナチュラルタイプにお勧めのサイズは大きめ。骨格がしっかりしているこのタイプは腕からはみ出るくらいの大きなサイズを違和感なく着けこなせる。コマ詰めはジャストサイズから大きめがベター。手のくるぶし・手全体の骨感が強いので、大きめをラフに着用しても、全身で見るとサマになる。モデル業に多いのがこのタイプ。
自身の骨格の特徴を知り「しっくりくる」時計探しに出かけてみよう
骨格という変化しない特徴を知ることで、自身に似合うタイプが分かる。「なるほど……だからこのタイプがしっくりきたのか……」と少しでも感じた方は、骨格診断を深堀して全身のスタイリングに取り入れてみると新しい世界が待っているかもしれない。新しい基準での時計探しを楽しんでみてはどうだろうか。
筆者プロフィール
伊藤むつよ
時計とジュエリーに特化した異色のコンサルタント。催事会場・ブティックでのコンサルティングや色彩セミナー開催に加えて、販売接客講師も務める。
時計メーカーの現役色彩監修者。J-color認定講師・カラーセラピスト・時計修理技能士2級など多くの資格を保有。(株)parakeITO代表取締役。
HP:https://www.mutsuyo-ito-parakeito.com/