フランスの高級消費財グループLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が、2024年パリオリンピックにおいてソーシャルメディア上で圧倒的な存在感を示している。1億5000万ユーロ(約238億6050万円、1ユーロ=159.07円、2024年9月18日現在)という巨額な出資を拠出して、オリンピック最大の出資者グループに仲間入りしたことを足がかりに、聖火ランナーが掲げるトーチからメダルデザインまで、多角的な露出戦略を展開したのだ。結果、フランス語圏のSNSでの言及シェアでトップを獲得したと調査機関Onclusiveは伝えた。
LVMHの多角的な露出戦略
調査機関Onclusiveが発表した更新版Social Scan Paris 2024によると、オリンピック大会のプレミアムパートナーのひとつであるフランスの高級消費財グループLVMHが、ソーシャルメディアにおける最多の露出を獲得したことが分かった。
LVMHグループは、オリンピックに関連するさまざまな場面で戦略的に露出を図った。具体的には、以下のような多岐にわたる取り組みである。
露出した主要な場所
・開会式で登場したレディ・ガガや、セリーヌ・ディオンへの衣装協力
・聖火ランナーとして、ルイ・ヴィトンのメンズクリエイティブ・ディレクターであるファレル・ウィリアムスが起用されている(ただし、彼は常にリシャール・ミルの「ウルトラシン」を着用)
・メダルペアラー(メダルを運ぶボランティア)のユニフォームをLVMHがデザイン
・ルイ・ヴィトンのショーウィンドウで五輪をテーマにした展示を実施
・同じく、ルイ・ヴィトンがトーチケースを製作
・オリンピックおよびパラリンピック開会式におけるフランス選手団の公式ユニフォームを手がけている
・著名なアスリートをアンバサダーの中に、ラグビー選手のアントワーヌ・デュポン、水泳選手のレオン・マルシャン、車いすテニス選手のポーリーヌ・デロルドなどが含まれている
LVMHグループの出資額は1億5000万ユーロ
これらの多角的な露出戦略により、LVMHはオリンピックに関連する様々な場面で存在感を示すことに成功し、ソーシャルメディア上で多くの露出機会を得て、話題の中心となった。
結果、フランス語圏のソーシャルメディアにおける言及シェアでは、首位を獲得(LVMH:9.37%、カルフール:9.23%、フナック・ダルティ:7.98%、オフィシャル・タイムキーパーのオメガはわずか7.6%)。なお、この数字にはメディアでの露出は含まれていない。
またベルルッティ(LVMH)はフランス選手団のシューズを担当し、パリの宝飾メゾンであるショーメ(こちらもLVMH)が金、銀、銅メダルをデザインした。ちなみに、これらのメダルはパリ造幣局が製造を担当している。
パリオリンピック開催に先立つこと1年前の2023年7月、LVMHグループは、オランジュ、EDF、BPCE、サノフィ、カルフールといったオリンピック最大にして極めて限られた出資者グループに加わったことは注目に値する。その出資額は1億5000万ユーロ(約238億6050万円)に達したという。
他方、パリ2024のオフィシャル・タイムキーパーを務めたのは、もちろんオメガである。オメガにとっては、1932年以来、オリンピックのオフィシャル・タイムキーパーを務め続けており、今大会で31回目を数えるものとなった。この間、オメガは世界のトップアスリートたちの記録を確実に計測しながら、スポーツ界において革新的な計時技術を導入。そして今年7月、550人のタイムキーパーが350トンもの機器を携えてパリに入り、その任務を無事まっとうした。