男性に人気のIWC。確かにそのラインナップはメンズがメインとなるものの、しかし、女性の手首にエレガントに装えるような、レディースモデルもリリースしている。今回は、そんなIWCのレディースモデルを5本選んだ。初めて高級腕時計を購入する女性は、ぜひ参考にしてみてほしい。
IWCってどんな時計ブランド?
IWCは1868年、アメリカ人時計師のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが27歳でスイスに渡り、創業したブランドだ。スイス人の職人であるヨハン・ハインリッヒ・モーザーの協力を得て、シャフハウゼンでブランドをスタートしたのだ。
創業した際の企業名が、International Watch Company(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)。その頭文字と、ブランドの創業地シャフハウゼンを入れたのが、現在知られている名称「IWC シャフハウゼン」である。
創業当時はアメリカ市場向けに高品質なムーブメントと時計部品を製造しており、その後、1915年に腕時計製造も本格的に着手。パイロット用腕時計「Mark Ⅸ」やポルトガル商人からの要望で製作した「ポルトギーゼ」、永久カレンダーとクロノグラフを搭載した「ダ・ヴィンチ」など、現在にも続くコレクションの数々を展開し、時計市場でのプレゼンスを高めていった。
また、IWCは “Engineering beyond time” を標榜しており、その一例として、手厚く長い期間の修理を提供している。時計を保有すると実感するのが、定期的なメンテナンスの必要性や、状態保持の難しさだ。「せっかく良い時計を買うなら、その後も大切にしたい」という、高級時計を買う際に誰もが思う気持ち。それを尊重してくれるブランドというのは、大いに選ぶ価値がある。
女性にお勧めしたいIWCの腕時計
このように、独自の歴史とブランドアイデンティティを持ったIWCから、女性にお勧めしたい腕時計を5本、紹介する。
「ポートフィノ・オートマティック 34」Ref.IW357413
自動巻き(Cal.35100)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径34mm、厚さ8.6mm)。3気圧防水。92万4000円(税込み)。
誕生から40年、男女問わずに長く愛される、IWCのドレッシーなコレクションが「ポートフィノ」だ。イタリアの海辺にある高級リゾート地「ポートフィノ」に由来する。地中海式の余裕のあるライフスタイルと、控え目でありながら気品のあるセンスを体現したコレクションである。1984年に発売開始されたこのコレクションは、当時小径モデルも発売しており、ケース径34mmのRef.IW357413は、その原点に立ち返ったモデルとも言える。
SSケースにロジウムメッキのインデックス、6時位置と12時位置のローマ数字、スレンダーなリーフ針が、ディープブルーの文字盤と美しいコントラストを成している。ダイアルは12個のホワイトダイヤモンドがアワーマーカーとしてきらめきを放ち、上質な5連リンクのSS製ブレスレットによりフィット感のある着け心地を実現した。
直径34mmのケースにコンパクトにまとまったタイムピースは、どんなスタイルも邪魔せず、洗練された女性の手元をさらに引き立ててくれる。
「ポートフィノ・オートマティック 37」Ref.IW458602
自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径37mm、厚さ9.4mm)。5気圧防水。103万9500円(税込み)。
Ref.IW458602は、Ref.IW357413よりも一回り大きい37mmケースを備えている。さらに、本作のスペックの高さにも注目したい。というのも、約120時間のパワーリザーブを備えたムーブメント、Cal.32111を備えているのだ。小ぶりの腕時計はパワーリザーブが短いモデルも多く、この主ゼンマイの“持ち”は、ユーザーにとってありがたい(前述したRef.IW357413も、約50時間と十分なパワーリザーブではあるが)。
さらにサファイアガラスのシースルーバックを通して、ゴールドメッキを施したローターとブルースティール製ビスを持つムーブメントを鑑賞できる。IWCのCal.32000シリーズはIWCで初めてシリコン製部品を使用たムーブメントで、耐磁性能を備えるとともに、双方向爪巻上げ機構と併せて、高効率に主ゼンマイが巻き上げられるまた、ガンギ車とアンクルレバーも摩耗に強い素材で作られていることも、特筆すべき点だ。
本作はそんな高性能ムーブメントを搭載しながらも、ケース厚さは9.4mmと抑えられており、37mm径のケースは決して小さくはないものの、手首に収まりのいいサイズ感だ。また、グリーンの文字盤はブルーに次いで各ブランドでも定番化されつつあるカラーで、落ち着いた色味ながらも人と差をつけれるので、おすすめだ。
「ポートフィノ・オートマティック・ムーンフェイズ 37」Ref.IW659601
自動巻き(Cal.32800)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径37.1mmm、厚さ11.3mm)。5気圧防水。207万9000円(税込み)。
シンプルな時計機能だけでは物足りなかったら、ムーンフェイズを搭載したモデルもお勧めだ。時を知る概念のルーツは天体だったことを鑑みると、これほどロマンチックな機能はないだろう。
Ref.IW659601はシルバーメッキの文字盤に、ゴールドメッキの針とアプライドインデックスを採用。さらにアワーマーカーとして12個のダイヤモンドを、ケースの周りには60個のダイアモンドをセッティングした。全部で72個(総量1.12ct)のダイアモンドを大胆に使い、より多くの光を反射させるように、セッティングの位置まで細かくデザインされているので、そのきらめきは目にとまらざるを得ない。
ムーブメントはCal.32800だ。Cal.32000シリーズでは初めてムーンフェイズモジュールを組み込んだムーブメントである。12時位置のムーンフェイズディスクは優れた精度を備えており、実際の月軌道との誤差は122年でたった1日までに抑えられている。また、本作も、サファイアガラスのシースルーバックを通して、ムーブメントの意匠を楽しむことができる。
ストラップはソフトな質感のブルーのスイス産カーフレザーで、ムーンフェイズのブルーカラーと一貫性が生まれ、よりデザインの優美さが際立つ。
「パイロット・ウォッチ・オートマティック 36」Ref. IW324010
自動巻き(Cal.35111)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径36mm、厚さ10.4mm)。6気圧防水。83万6000円(税込み)。
IWCを象徴するとも言えるのが、パイロットウォッチだ。パイロットウォッチの需要が高まっていた1936年に、IWCは「スペシャル・パイロット・ウォッチ」という耐磁性と視認性に優れ、急激な温度変化にも対応するタフで革新的なモデルをリリースしたのが始まりである。その後もドイツ空軍や英国空軍に供給をし続け、1948年には軍用時計の最高傑作のひとつとも言われる、伝説的な「マーク11」を生み出した。そんな歴史の深いIWCのパイロットウォッチは現在も、原点にある屈強な機能を備えながらも現代的に進化をし続けている。
Ref.IW324010は3針と日付表示のみという、シンプルな顔立ちを備えている。その意匠に無駄はなく、パイロットウォッチに大切な視認性に優れている。エレガントな3針デザインは、アワーマーカー部分に設けられたわずかな段差を伴い、文字盤はより立体的に見える。
パワーリザーブ約50時間のムーブメント Cal.35111を包み込む軟鉄製のインナーケースにより、耐磁性を備えており、6気圧防水も維持されている。
シンプルでベーシックな本作は、スーツにもカジュアルな服装にも合う1本である。
「ポルトギーゼ・オートマティック」Ref.IW358313
自動巻き(Cal.82200)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40.4mm、厚さ12.3mm)。3気圧防水。107万2500円(税込み)。
ポルトギーゼもまた、IWCを象徴するコレクションだ。1930年代にふたりのポルトガル人実業家が、「マリンクロノメーターの精度と正確さを備えた、ステンレススティール製の現代的な腕時計の製造」を依頼したことが始まりだった。当時、彼らの要望に応える完璧な視認性と最高の精度を実現するには、ポケットウォッチのムーブメントを使用するしか選択肢がなかった。
そして生まれた43mmのポルトギーゼは、当時アールデコの影響を受けて一般的だった33mm以下の小径腕時計に比べると、巨大なサイズであった。そんな歴史や背景も含め、ポルトギーゼは女性でも大きめに着けるのが、かっこいい。
Ref.IW358313は、サーモンカラーの文字盤が目を引くモデルだ。6時位置にスモールセコンドを備え、すっきりと整った文字盤ながら、ひと目でポルトギーゼだと分かる、アイコニックなデザインとなっている。
ムーブメントはIWC自社製Cal.82200搭載。耐摩耗性に優れたセラミックス製のパーツをペラトン自動巻き機構に使用し、約60時間のパワーリザーブを蓄えた、堅牢で高品質なムーブメントだ。直径40.4mmのケースは少し大きめで存在感があり、時代を超えても色褪せないタイムピースとなっており、装いにアクセントをプラスしてくれる。
クイック交換システムと、トレーサビリティ
今回紹介したIWCウォッチについて、ブレスレットやストラップは、全モデルクイック交換システムを採用しており、同梱される工具を使用して自身で交換が可能だ。
さらにIWCは製品製造の透明性も重要視している。レザーストラップはすべてコードが付いており、これをIWCアプリに入力すると、レザーの調達源について詳しく知ることができるのだ。これは、自身の持つものに責任を持つという価値観からも、個人の意識を高めるきっかけとしても、画期的な取り組みだ。
150年以上の歴史を誇るIWCは名作が多く、魅力的なモデルがたくさんある。時計好きからも評価の高いモデルたちを、女性にこそぜひ、着けて欲しい。