オリエントスター「Mコレクションズ」“星”に込めたプライド

2024.10.10

オリエントスターが、その高価格ラインを再編したMコレクションズを始動させてから1年。この間、コンセプトに基づいた作品を順次投入したことで、オリエントスターが持つ時計製造技術やデザインセンスをも改めてアピールするかたちになった。それは今季の新作でも踏襲されており、各モデルともブランド名の由来である“輝ける星”にふさわしいクリエイションが確認できる。

岡村昌宏:写真
Photographs by Masahiro Okamura (CROSSOVER)
竹石祐三:編集・文
Edited & Text by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2024年11月号掲載記事]

Mコレクションズに宿る実用性と深淵な表情

M34 F8 スケルトン ハンドワインディング、M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン

(左)M34 F8 スケルトン ハンドワインディング
2022年に発売されたスケルトンモデルのデザインをアップデート。グレーを基調としたムーブメントと、ヘアライン、ポリッシュ仕上げを組み合わせた外装とのコンビネーションがモダンな雰囲気を漂わせる。手巻き(Cal.F8B61)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ10.8mm)。5気圧防水。日本限定200本。39万6000円(税込み)。
(右)M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン
オリエントのダイバーズウォッチ発売60周年を記念した限定バージョン。外装をチタン特有のグレーでまとめ、ダイアルは縦の筋目を施したチャコールグレーにゴールドの差し色を加えることで、ヴィンテージ感を強調した。自動巻き(Cal.F6N47)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径41mm、厚さ14.3mm)。200m防水。限定365本。19万2500円(税込み)。

 Mコレクションズがスタートしたのは1年前のこと。これは、オリエントスターがブランドの方向性を示す柱を明確にするべく、主に10万円以上のモデルをデザインテイスト別に再編したコレクション体系だ。3つに分類されたコレクションは、フランスの天文学者シャルル・メシエが作成した星雲、星団、銀河のカタログを参考にM45、M34、M42と命名。それぞれのカタログナンバーに関連するストーリーを与えて時計のデザインともリンクさせるなど、オリエントスターにふさわしいコンセプトが設定された。

M34 F8 スケルトン ハンドワインディング

M34は、ペルセウス座のメシエ番号が付与されたコレクションだ。星座の由来となったギリシャ神話の英雄ペルセウスをイメージした、力強いディテールを持つ先鋭的な腕時計をラインナップする。

 昨秋に発表された第1弾と今春の第2弾では、こうしたコンセプチュアルなデザインが徹底されているのはもちろんのこと、それを具現化するための技術もアピール。幻想的な情景を表現する白蝶貝ダイアルとグラデーション塗装とのコンビネーションや、ダイアルに奥行きを持たせるために用いられた光学多層膜など、オリエントスターを展開するエプソンの優れた文字盤製造技術によって、趣のある表情を作り上げたのだ。

M34 F8 スケルトン ハンドワインディング

スケルトンムーブメントを中心に、ダイアル外周には恒星の光をイメージしたブルーグラデーションのリング、ベゼルにはグレーIPを施す階層表現を取り入れたことで、Mコレクションズのコンセプトにふさわしい、深淵な宇宙空間を表している。

 こうしたクリエイションは今秋に発表された新作でも踏襲され、エプソンの技術とコンセプチュアルなデザインが融合した、オリエントスターらしい作風が確認できる。アナウンスされた新作は、M34コレクションから2ライン3モデルと、M42コレクションから1モデルの計4モデル。いずれも過去にリリースされたモデルのデザインをブラッシュアップした限定バージョンだが、ベースとなる時計に新たなニュアンスを添えることで、各コレクションのコンセプトを明確に表すこととなった。

 そのひとつが、新作のフラッグシップに位置付けられている「M34 F8 スケルトン ハンドワインディング」だ。2022年にリリースされたシャープな外装をまとうスケルトンモデルをベースに、ダイアルの外周をブルーグラデーション、ベゼルをグレーIPで仕上げたことで、深淵な宇宙の姿とペルセウス座のメシエナンバーが付与されたM34のイメージをより強く表現した。

M34 F8 スケルトン ハンドワインディング

ダイアル6時位置のスモールセコンドから微かに顔をのぞかせるのは、MEMS加工技術によって製作されたシリコン製のガンギ車。約70時間のパワーリザーブを確保するのみならず、天の川銀河をイメージした鮮やかなブルーと渦形状はデザインのアクセントにもなっている。

 また「M34 F7 メカニカルムーンフェイズ」と「M34 F7 セミスケルトン」は、白蝶貝ダイアルにグラデーション塗装を施すおなじみの技法を採用。

M34 F7 セミスケルトン、M34 F7 メカニカルムーンフェイズ

(左)M34 F7 セミスケルトン
白蝶貝ダイアルとグレーグラデーション塗装を組み合わせて夜明けのオーロラを表現したシリーズの、こちらはセミスケルトンモデル。ダイアル9時位置の小窓からテンプが動く様子を確認できる、オリエントスターおなじみの意匠を備える。自動巻き(Cal.F7F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。限定200本。15万9500円(税込み)。
(右)M34 F7 メカニカルムーンフェイズ
白蝶貝ダイアルに淡いグレーのグラデーションカラーを施し、夜明けのオーロラを思わせる幻想的な表情に。ムーンフェイズディスクに描かれた月と星のパターンも、本作のデザインとの好相性を見せている。自動巻き(Cal.F7M65)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径40mm、厚さ14.1mm)。10気圧防水。限定300本。24万2000円(税込み)。

 本作では新たに淡いグレーを基調とした縦方向のグラデーションで塗装することで、夜明けのオーロラと英雄ペルセウスが共演する、幻想的な表情を作り上げている。

M34 F7 セミスケルトン M34 F7 メカニカルムーンフェイズ

マザー・オブ・パールにグラデーションを施す文字盤表現は、今やオリエントスターの十八番だ。光の当たり方で表情を変えるこの手の文字盤は彩りが豊かながら、決して主張が強すぎることはないため、着用シーンを選ばない。

 一方のM42コレクションからは「M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト」の特別バージョンが発表された。M42、すなわち海神ポセイドンの子であるオリオンにちなんだダイバーズモデルの展開はそのままに、ゴールドのアクセントカラーを用いて、オリエントのダイバーズウォッチ誕生60周年を顕彰するとともに、ヴィンテージ感のある表情も生み出した。

M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト

海神ポセイドンの子であるオリオンに由来するM42の名が与えられるだけあり、同コレクションにラインナップされるのは本格的なダイバーズウォッチだ。限定モデルはツール感を強調した“硬派”なイメージを持つ。

 定評のある実用性に加え、ダイアル表現も追求した4モデルの新作。これらの時計からは単なるバリエーションにとどまらない、〝輝ける星〞を目指して創設されたオリエントスターのプライドも見て取れる。



Contact info:オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380


【着用レビュー】オリエントスター最新作「M34 F8 スケルトン ハンドワインディング リミテッド」は、名実ともに“輝ける星”を体現!

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