オタクとして知られる石破茂新総裁が着用する腕時計は、国産のグランドセイコー!

新たに自民党総裁に選出された石破茂。"ゲル総裁"の愛称で親しまれる彼の独特な個性と、おそらくグランドセイコーの「SBGX351」と思われる愛用中の腕時計が、今、世間の注目を集めている。卓越した技術力と日本の精緻な美学を体現するこの時計は、「納得と共感の政治」を掲げる石破の政治姿勢と見事に呼応しているかのようだ。国内外から熱い視線を浴びる石破。そして彼が身に着ける日本製腕時計もまた、新たな関心の的となっているのは間違いない。

沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2024年10月6日掲載記事]


オタク気質の政治家として海外でも知られる“ゲル総裁”

写真:毎日新聞社/アフロ
2024年6月21日に衆院憲法審査会に臨む石破茂。 左腕に見える時計はグランドセイコーの「SBGX351」ではないだろうか。石破内閣は10月1日に発足したばかりだが、10月9日には衆院を解散すると表明。10月27日に投開票の日程で総選挙が行われるため、この後の彼の動向が注視される。

 政界入りのきっかけは、1981年に父・二朗が死去し、父の友人であった田中角栄元首相が「おまえが(親父のあとに)出ろ」と薦めたことだった。就職していた三井銀行を退職し、田中派の政治事務局木曜クラブに勤務、1986年に衆議院議員総選挙に初当選した。

 石破茂にとって今回は5度目の挑戦となる自民党総裁選だったが、初回の投票で過半数を得た候補がなく、高市早苗との決選投票に。結果、215票を得て第28代自由民主党総裁に選出された。鳥取県出の国会議員としては初めてのことである。

 名前の茂の部分からとって“ゲル長官”、自民党総裁となった今では“ゲル総裁”という愛称でも呼ばれる石破茂。父は元鳥取県知事、母は国語教員で両親ともに教育熱心な人物だったそうだ。本人は政界屈指のアイドル通、漫画やアニメ、鉄道に非常に詳しいと知られており、ミリタリー系プラモデルの愛好家でもあるオタク気質だという。

 静岡ホビーショーにおける自衛隊車輛展示も、石破茂の働きかけによって実現したものである。現在も戦闘機や戦車のプラモデルを収集する趣味があるそうで、防衛庁長官時代には、ロシア国防大臣が訪日した際に大臣を喜ばせようと、2日間徹夜して空母アドミラル・クズネツォフの模型を組み上げたというエピソードを持つ。

 テレビ・雑誌への出演で、こういった親近感が湧く柔らかな話が提供されてきたが、そうした内面が今後どのように政治手腕に現れてくるのか、期待と注目が集まる。


「納得と共感の政治」を目指す石破茂が選んだ時計はグランドセイコー

グランドセイコー「SBGX351」
クォーツ(Cal.9F62)。SSケース(直径37mm、厚さ10mm)。10気圧防水。31万9000円(税込み)。

 着用しているモデルは2021年10月に発売された「SBGX351」であるように思われる。SBGXはグランドセイコーの中でも、比較的コンパクトなムーブメントCal.9F62を搭載するシリーズだ。この9Fシリーズのクォーツ式ムーブメントは、グランドセイコーが目指す時計の本質である正確さ、美しさ、見やすさ、長く愛用できて使いやすいことを徹底的に追求してたどり着いたものだ。

左腕に見受けられるのはグランドセイコーの「SBGX351」だろう。写真の時計部分ははっきりとは見えないが、ロゴの位置、秒針の色がブルーに見えることからそう推測される。9時位置などのバーインデックスが台形であることも、このモデルであることの証拠となるだろう。

 SBGX351は、太い針でクラシカルなフェイス、非の打ちどころのない安定感のあるたたずまいを備えたモデルだ。加えて、袖口に収まりやすい絶妙なサイズが特徴的である。外装はステンレススティール製で、ケースサイズは37mm、厚さは10mmであるため、主張しすぎることがない。SBGXシリーズはグランドセイコーの中でも王道を行くコレクションである。

 Cal.9F62は日回し歯車と連動する瞬間日送りカムと、その動きで作動する瞬間日送りレバーを採用している。日回し歯車の回転に従って、瞬間日送りレバーのばねを次第にたわめて力を蓄え、カムの回転がある位置に来ると、ばねが瞬間的に開放され、日付表示が瞬時に切り替わる仕組みだ。トルクの強い機械式時計では前例のある瞬間日送りカレンダーだが、クォーツ式時計への搭載を実現したのはグランドセイコーが初めてだ。

 さらにグランドセイコーの9Fクオーツは手作業によって組み上げられる。ダイアル側、ムーブメント側、それぞれの組み立てを異なる2名の職人が担い、高い精度が実現されているという。

 SBGX351はグランドセイコーショップオリジナルモデルで、スプリングドライブを採用したクォーツ駆動のムーブメントを搭載した他のグランドセイコーと同様に、信州の山並みや湖に囲まれた信州 時の匠工房にて造られた。ムーブメントの開発・設計・製造をはじめ、ケース、第ある、インデックス、針などのパーツ製造から組立調整までが一貫して行われている。特徴的なブルースティール秒針、厚銀放射ダイアルも同工房にて作られている。


オーセンティックで確かな品質の時計コレクション

 石破茂は上記のグランドセイコーSBGX351以外にもシチズンの「エクシード」などを着用している姿が確認されている。人前に立つ際にはオーセンティックなものを選択しているようだ。確認する限り、国産を愛好しているように見えるところも、「納得と共感の政治」を目指す政治家としての気遣いが感じられる。

 今後、総裁としてのメディア露出が増え、海外からの注目度も急上昇していく石破茂。彼が着用しているグランドセイコーをはじめ、日本製腕時計がますます世界から注目されていくのではないだろうか。



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