無限記号を連想させる表示機構を備えたトリローブの新作は、光と影がテーマ

フランスの時計ブランド、トリローブは白文字盤と黒文字盤の新作を発表した。アーティストのジャン・デュビュッフェにインスパイアされたこの新作は、光と影の対比を巧みに取り入れ、独自の回転ディスク式時間表示と革新的な自社製ムーブメントを融合。時計製造の伝統と革新の融合を体現する意欲作だ。

芸術の反逆者からインスピレーションを得た時計美学

　フランスの革新的な時計ブランド、トリローブが「ニュイ・ファンタスティック オンブル・エ・リュミエール」を発表した。このモデルは、同ブランドの特徴的な時間表示方式を踏襲しつつ、さらなる進化を遂げたものである。明暗のコントラストからインスピレーションを得たふたつのモデルは、時間認識に驚異的な新体験をもたらすだろう。

　トリローブはこの白文字盤と黒文字盤のモデルを、斬新なアートの先駆者であった、ジャン・デュビュッフェからインスピレーションを得たと説明する。彼は、規範を超越し、古典的な表現に挑戦し、20世紀当時の文化に一石を投じることを好んだ。並置された色彩の相互作用を通じて、作品に緊張感とエネルギーを生み出し「影から光を浮かび上がらせる」ことで構図に動きをもたらすことに成功した。

　トリローブは、コントラストの強いふたつのエディション「オンブル（影）」と「リュミエール（光）」で、「ニュイ・ファンタスティック」コレクションを拡張し、その形状と動きを前面に押し出している。黒と白の二元性が生み出す視覚的な緊張は、時間の経過を強調し、3つの象徴的なリング（時・分・秒）で具現化されるメゾン独自の表示方式を際立たせる。

循環する時を捉える3つのリングが織りなす独創的世界

　針を用いず、3つの回転リングで時・分・秒を表示する方式により、文字盤の構成は独創的なものとなっている。文字盤外周に沿って回転する時間表示リングは、12時位置のクローバー形のトリローブロゴと一致する。文字盤左側には、8の字（90°回転させた無限記号）の形で分と秒の表示が配置され、秒針リング中央には表現力豊かなクル・ド・パリのギヨシェパターンが施されている。

　一見ミニマリスティックな文字盤デザインだが、表面の繊細な粒子加工が微妙な深みと魅惑的な光の演出を生み出している。「ニュイ・ファンタスティック オンブル」は暗い文字盤に明るい表示、「ニュイ・ファンタスティック リュミエール」はその逆のカラースキームを採用し、トリローブのデザインの両面性、すなわち大胆さと永遠性を表している。

先端技術と伝統工芸の融合。薄さと強さを兼ね備えた匠の技

　ケース厚わずか9.2mmの薄型設計で、軽量かつ耐久性に優れたグレード5チタンを採用。ポリッシュ仕上げとサテン仕上げを組み合わせることで、クラシックでありながら現代的な表情を併せ持っている。サイズは38.5mmと40.5mmの2種類から選ぶことができ、5気圧の防水性能を備える。

　ケース内部には、トリローブのために独占開発された自社製ムーブメント、X-Centricを搭載。この自動巻きムーブメントは2万8800振動／時（4Hz）で作動し、マイクロローターを備えており、約48時間のパワーリザーブを備える。ムーブメントは227個の部品から構成され、33個の受け石を使用。高級仕上げが施された暗色の地板と受け板、そして黒い革ストラップが、ニュイ・ファンタスティックの調和のとれた雰囲気を完成させている。

　両バージョンの希望小売価格は1万800ユーロ（VAT込み）。この２モデルは、創造的な時間表示の好例として注目を集めており、他のユニークな仕様と並んで時計愛好家の関心をひきつけるだろう。形状と動きを重視し、黒と白のカラー対比によって生み出される視覚的な緊張感は、時の流れを強調すると同時に、トリローブ独自の3リング表示方式の魅力を一層引き立てている。

　これら新モデルは、時計デザインにおける大胆な挑戦と時代を超越した美しさの融合を体現しており、現代の時計愛好家たちを魅了し続けるだろう。