活動開始から71年、まさに日本のテレビ史とともに歩んできた黒柳徹子。91歳を迎えた今もなお、その好奇心は衰えることを知らない。ギネス記録を更新し続ける長寿番組「徹子の部屋」の司会はもとより、32万人を超える登録者を誇る自身のYouTubeチャンネルでも、新たな魅力を発信し続けている。今回は、彼女が愛してやまない時計コレクションに迫り、その奥深い美意識の一端に触れてみたい。
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2024年10月27日掲載記事]
32万人が見守る素顔の徹子。気まぐれTVが映し出す新たな魅力
独特の間合いや深い見識から、幅広い年齢層に支持される黒柳徹子。自身のYouTubeチャンネル「徹子の気まぐれTV」の登録者数は2024年10月現在、32.1万人を超えている。テレビ番組「徹子の部屋」がゲストの日常を掘り下げていくのに対し、こちらは黒柳徹子自身の日常やお気に入りを紹介する番組だ。軽井沢の別荘を紹介した動画は171万回を超える再生回数を記録しており、番組としての魅力に加え、黒柳徹子のプライベートに興味を持つ人が多いことを示唆している。
今回着目したのは、彼女の時計コレクションを紹介する動画だ。この動画は約1年前に公開され、すでに40万回以上視聴されている。
ゴージャスな服装に合わせるように、黒柳徹子は複数の腕時計を所有し、アンティーク調の装飾が施されたものを好んでいる。中でも手の込んだストラップにこだわりが強く、イタリア人の職人にオーダーを依頼するほどだ。老舗ジュエラーであるブチェラッティの時計も含まれており、華やかでありながら個性溢れる宝飾時計中心のコレクションとなっている。
その中でも際立っていたのがオメガである。黒柳徹子自身も「シンプルでとても見やすい時計」と評している。ミニマルなデザインの「コンステレーション」であっても、カラーストーンが配された可愛らしいモデルを選んでいることから、黒柳徹子が好む時計には女性らしさや、大胆な華やかさが不可欠なのだと考えられる。
文字盤が小さくても問題なく見えるという彼女の良好な視力により、視認性の高さについては時計選びの際に重要視していない様子だ。機能美を誇るオメガの特徴はさておき、他の所有モデルと比べると極めてシンプルなデザインゆえに、かえって異彩を放つ一本となっていた。
7色の輝きをまとう印象的なフェイス。オメガが贈る虹色の物語
爪型ベゼルを彩るダイヤモンドと、マザー・オブ・パール文字盤に散りばめられた7色の宝石が、虹の女神の名にふさわしいきらめきを放つ。黒柳徹子が選んだ珠玉の一本だ。クォーツ。18KYG×SSケース(直径22.5mm)。販売終了。
コンステレーションのアイコニックな特徴である爪を備えたベゼルにもダイヤモンドがあしらわれ、ホワイトカラーのマザー・オブ・パールの文字盤上にはブルー、ピンク、イエローのサファイア、マンダリン ガーネット、ルビー、エメラルドがバランスよく配置されている。黒柳徹子が所有するモデルはおそらく22.5mmのミニサイズと思われ、小さなスペースのなかに個性が凝縮されたモデルである。
コンステレーションは1952年に誕生し、当時のオメガの技術力を示す最上位コレクションとなった。星座を意味するシリーズ名は、すべてのモデルの裏蓋に天文台が描かれ、天文台コンクールにおけるオメガの存在感の大きさを象徴する。同時に、このシリーズはオメガを代表するドレスモデルでもある。
“アイリス”の名前の由来は、ギリシャ神話に登場する虹の女神イリスだ。その名の通り、虹を連想させるカルフルな宝石インデックスが個性的な魅力を放っている。本作はクォーツ式ムーブメントを搭載し、ケースとブレスレットはステンレススティールとゴールドのコンビネーションだ。デザインはシンプルながら、インパクトのあるモデルとなっている。
変わらぬ魅力と進化する感性。時代を超えて愛され続ける理由
ギネス記録を達成するほどの長寿番組「徹子の部屋」は、今なお記録更新を重ねながら好評を博している。1933年に生まれ、日本でテレビ放送を開始した初日から出演を続ける日本史上最初のテレビ女優、タレント、テレビ司会者、エッセイスト、そしてユニセフ親善大使……これほど多彩な肩書きを持つ黒柳徹子が、日本のテレビの歴史そのものとも言えるのではないだろうか。
91歳を迎えた今でも新しいことに興味を示し、大御所だけでなく、若手芸人とのトークも好評だ。SNSやYouTubeへのコメントにはすべて目を通しているという姿勢にも、親近感を感じるファンが多い。
1953年の活動開始から71年もの間、大衆の前に立って芸能界を駆け抜けてきた華やかさと、その対極にあるシンプルな美しさにも寄り添う共感力、底知れぬ優しさ、少女のように可愛らしい一面を持ち続ける多面性が、彼女の中には嫌味なく同居する。その個性あふれる人物像が、誰からも愛される所以だろう。