セイコーの2024年新作より、『クロノス日本版』編集部が選ぶ本当に欲しい新作5本を紹介。今年も、同社の豊かな歴史と優れた技術力を盛り込んだ魅力的な新作が発表されている。
Text by Tsubasa Nojima
[2024年10月31日公開記事]
5スポーツからアストロンまで、今年も注目作が目白押し!
日本を代表する時計メーカーのひとつ、セイコー。同社はカジュアルウォッチブランドであるセイコー 5スポーツや、本格的なスポーツウォッチブランドのプロスペックス、日本の美意識を体現するプレザージュなど、個性豊かなブランドを擁する。
毎年多くの新作を発表し、時計愛好家たちを沸かせる同社だが、今年も豊富な新作が出そろった。キングセイコーには1969年の「45KCM」のデザインを受け継ぐ新たなコレクションが追加され、プレザージュには日本を代表するブランドとのコラボレーションモデルが登場。一方でプロスペックスやアストロンには、従来のモデルからの着実な進化を感じさせる新作が加わった。これから紹介するものはあくまで一部に過ぎないが、特に注目すべき5本をもとに、今年の新作を振り返ってみよう。
セイコー「キングセイコー KS1969」Ref.SDKA017
曲線を主体としたケースが印象的な、「キングセイコー KS1969」。上品な光沢感が宿る本作のシルバーダイアルは、東京の現代の街並みをモチーフとしたもの。自動巻き(Cal.6L35)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径39.4mm、厚さ9.9mm)。5気圧防水。39万6000円(税込み)。
1969年に発表された45KCM。その特徴的な造形に着想を得て登場したのが、「キングセイコー KS1969」だ。
シルバーのダイアルには、バータイプの針とインデックスが並ぶ。12時位置のインデックスには、的に向かって真っすぐに飛んでいくような矢羽根を思わせる多面カット、時分針には3面カットが施され、一見シンプルながら細部にまで凝ったデザインを有する。3時位置にはデイト窓が配され、ビジネスユースにも便利な仕様だ。
優美な曲線を描くケースは、45KCMの特徴を再現したもの。ベゼルやケースサイドには、はっきりとしたエッジが取り入れられ、柔らかさと鋭さが共存したデザインに仕上がっている。ケースバックには、キングセイコーを象徴する盾をモチーフとした刻印が輝く。
ムーブメントは、薄型自動巻きのCal.6L35を搭載。これによって10mmを下回るケース厚に収めている。
シルバーダイアルの「SDKA017」の他、華やかなパープルダイアルの「SDKA019」、繊細なパターンが施されたグリーンダイアルの「SDKA021」、そしてセイコーブランド100周年記念として世界限定700本で発売されたライトブルーグリーンの「SDKA023」が存在する。いずれもセイコーウオッチサロンでのみ販売される。
セイコー「セイコー 5スポーツ SNXS」Ref.SBSA255
“EDC (Everyday Carry) =「日々持ち歩く相棒」”をコンセプトとする、クラシカルなデザインが魅力のモデル。コンパクトなサイズ感は、女性や手首の細い男性にもぴったり。自動巻き(Cal.4R36)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径37.4mm、厚さ12.5mm)。10気圧防水。5万3900円(税込み)。
海外で高い人気を誇ったセイコー 5の「SNXSモデル」をベースとした新作。現代のセイコー 5スポーツは、スポーツウォッチらしいデザインのモデルが多く存在するが、“EDC (Everyday Carry) =「日々持ち歩く相棒」”をコンセプトとした本作は、オンオフ問わず幅広いシーンで着用しやすい、クラシカルなデザインを特徴としている。
艶のあるブラックダイアルには、クリームカラーの蓄光塗料をたっぷりと塗布したインデックスと時分針が組み合わされている。オレンジの秒針は、1970年代のセイコー 5スポーツに多く見られるディティールを取り入れたものだ。
直径37.4mmのケースは、「へびたま」と呼ばれていたSNXSモデルの特徴を踏襲したデザイン。リュウズは4時位置に配され、着用時に手首に干渉しないよう配慮されている。3連のステンレススティールブレスレットは、カマボコ状のコマで構成することによって滑らかな着用感を実現している。
ムーブメントは、セイコーの主力であるCal.4R36を採用。シースルーバックを通して、その動きを鑑賞することができる。
セイコー プレザージュ「クラフツマンシップシリーズ ポータークラシック コラボレーション限定モデル」Ref.SART005
日本機械学会より機械遺産にも認定された「ローレル」のデザインを受け継ぐ、数量限定モデル。自動巻き(Cal.6R5H)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径35mm、厚さ12.3mm)。5気圧防水。世界限定500本(うち国内250本)。31万200円(税込み)。
ポータークラシックとのコラボレーションによって誕生した、セイコー プレザージュの数量限定モデル。セイコーとポータークラシック、両ブランドの価値観が共鳴した、日本ならではのクラシック感が魅力だ。
デザインのベースとなったのは、1913年に国産初の腕時計として登場した「ローレル」。今回の新作では、ブラックの琺瑯製ダイアルを採用。ホワイトのアラビア数字インデックスを組み合わせることで、シックに仕上げている。6時位置には24時間表示のサブダイアルが配され、オリジナルのローレルが持つスモールセコンドの雰囲気を再現している。
特徴的なケースデザインも、ローレルの特徴を抑えたものだ。クラシカルなデザインの大型リュウズに加え、引き通しのストラップを装着可能な可動式のラグを採用している。ねじ込み式のケースバックには、ポータークラシックの創業時のロゴとシリアルナンバーが刻まれ、コラボレーションモデルらしい特別感を味わうことができる。
本作は桐箱をベースとした特製のボックスに収められ、交換用のレザーストラップが付属する。
セイコー プロスペックス「メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ」Ref.SBDC195
「62MAS」をベースとした現代デザインモデル。無駄を省いたシンプルなデザインはそのままに、防水性や装着感など、着実な進化を遂げている。自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。300m防水。17万6000円(税込み)。
1965年に誕生したセイコー初のダイバーズウォッチ、「62MAS」のデザインを現代的にアレンジしたモデル。2020年に発売され、高い支持を得た「SBDC101」の後継機でもある。
スクエア型のインデックスと幅広の時分針は、ダイバーズウォッチらしく高い視認性を発揮する。デイト窓は4時半位置に配され、時刻の読み取りを妨げないように配慮されている。ダイアルとベゼルはブルーに彩られ、スポーティで爽やかな印象だ。
直線基調のケースは、サテン仕上げをベースとして一部にポリッシュを加え、立体的な仕上がりを見せる。防水性は、同社製の空気潜水用ダイバーズウォッチとして最高性能である300m防水を達成し、前作からの着実なスペックアップが図られている。
ステンレススティール製のブレスレットにもアップデートが加えられている。しなやかさを向上させた新開発のデザインを採用することで、優れた着用感を味わうことが可能だ。
ムーブメントは、約72時間のロングパワーリザーブを備えるCal.6R55を搭載。なお、本作は、セイコーグローバルブランドコアショップ専用モデルだ。
セイコー アストロン「Nexter GPSソーラーデュアルタイム・クロノグラフ」Ref.SBXC163
コンパクトなチタン製ケースを採用した、セイコー アストロンの最新作。GPSソーラームーブメントによって、基本メンテナンスフリーで使用できる点も魅力。GPSソーラー(Cal.5X83)。Tiケース(直径42mm、厚さ12.4mm)。10気圧防水。28万6000円(税込み)。
セイコー アストロンのGPSソーラームーブメント搭載モデルに、コンパクトな42mmケースモデルが登場。このサイズは、セイコー アストロンブランドの多針モデルとしては過去最少である。
ヘアライン調の型打ちパターンが施されたダイアルは、精悍なアスファルトグレーカラー。第2時間帯や曜日、クロノグラフの1/20秒計など、多機能を実現するインダイアルが配されている。
軽量なチタン製のケースは、「Nexter(ネクスター)」シリーズに共通するスポーティなデザイン。シャープなエッジや、ブレスレットへとシームレスにつながるラグが特徴的だ。スクエア型のプッシュボタンと大型のリュウズは、使い勝手にも優れる。
ブレスレットは、ケースと同じチタン製。H型のコマによって構成されており、コマのピッチを短くすることで装着感を向上させている。
本作に搭載されているCal.5X83は、最新のGPSソーラームーブメントだ。標準電波ではなくGPSを用いて時刻修正を行うため、地球上のあらゆる場所で現在地の正確な時刻情報を得ることができる。