ロンジンの2024年新作より、5つのモデルを紹介。豊富なアーカイブを基にした復刻モデルを多く手掛ける同社から、今年も魅力的なモデルが多く出そろった。
Text by Tsubasa Nojima
[2024年11月19日公開記事]
クラシカルなデザインにモダンな色使いを忍ばせた、ロンジン流の復刻モデル
1832年に創業したスイスの老舗時計ブランド、ロンジン。現在はスウォッチ グループの一員として、老若男女問わず愛されるエレガントな腕時計を製造・販売している。そんな同社が特に注力しているのが、豊富なアーカイブを基にした復刻モデルだ。今や復刻モデルは珍しくないが、同社はそのパイオニアのひとつであり、トレンドを牽引してきた存在であると言っても過言ではないだろう。
今年も、多くの復刻モデルが同社の新作としてラインナップに加わった。「フラッグシップ」や「コンクエスト」などのドレスウォッチから、機能性に優れたパイロットウォッチやダイバーズウォッチまで、バリエーションも豊富だ。また、それぞれのアイコニックなデザインだけではなく、カラーリングにも注目してみてほしい。復刻モデルらしいヴィンテージ調のカラーリングだけではなく、モダンなカラーダイアルなど、意表を突いた組み合わせが、復刻というジャンルに芽生えた新たな可能性を知らせてくれる。
「ロンジン コンクエストヘリテージ」Ref.L1.648.4.78.2
時分針と同軸に円形のパワーリザーブインジケーターを配したモデル。クラシカルなデザインにモダンな要素を組み込んだ意欲作だ。自動巻き(Cal.L896.5)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38mm、厚さ12.3mm)。5気圧防水。59万5100円(税込み)。
1954年に誕生したロンジンのコンクエスト。本作は、その70周年を記念して発表された新作だ。モチーフとなったのは、1959年のCal.290系を搭載したモデルである。
本作の最大の特徴は、センターに配された円形のパワーリザーブインジケーター。2枚のディスクによって構成されており、それぞれが回転することによって、主ゼンマイの残量を表示している。シャンパンカラーのダイアルにゴールドカラーのインデックスや時分針を組み合わせたクラシカルなデザインも魅力だ。
直径38mmのケースは、オリジナルのデザインを踏襲しつつ、幅広のベゼルや短く太めのラグなど、モダンに仕立て直されている。ケースバックはシースルーであり、内部に格納されたムーブメントを鑑賞することが可能。
ムーブメントは、機械式自動巻きのCal.896.5。シリコン製ヒゲゼンマイを採用し、高い耐磁性と約72時間のパワーリザーブを備える。
ベルトは、ブラックのアリゲーター製。クラシカルなピンバックルを組み合わせている。
「ロンジン スピリット ズールータイム」Ref.L3.802.1.53.6
コンパクトなケースにGMT機能を搭載した「ロンジン スピリット」の新作。チタンケースを採用することにより、より軽快な着用感を獲得した。自動巻き(Cal.L844.4)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径39mm、厚さ13.5mm)。10気圧防水。62万4800円。
「ロンジン スピリット ズールータイム」に、直径39mmのチタンケースモデルが登場。「ロンジン スピリット」は、単純な復刻ではなく、ロンジンの時計とともに陸、海、空を冒険したパイオニアたちに敬意を表して誕生したコレクションである。アンスラサイトカラーのダイアルに、ゴールドカラーの縁取りを加えたインデックスと針を組み合わせ、ヴィンテージ調のカラーリングにまとめている。ダイアルの6時位置に輝く5つの星は、その精度の高さを証明するものだ。
両方向に回転する24時間表記のベゼルは、GMT針と組み合わせて第2時間帯の時刻を表示することができる。ブラックとグレーの2色で構成されたベゼルインサートは、耐傷性に優れるセラミックス製だ。
シャープなケースは、スピリットを象徴するデザイン。サテン仕上げを基調として、随所にポリッシュを加えることで、立体感を生み出している。
ブレスレットは、ケースと同じチタン製。軽快な着用感と耐食性、抗アレルギー性を発揮する。インターチェンジャブルシステムを採用し、簡単にケースから取り外すことが可能だ。
ムーブメントは、シリコン製ヒゲゼンマイを採用したCal.L844.4を搭載。パワーリザーブは約72時間を備え、実用性も十分だ。
「ロンジン パイロット マジェテック パイオニア エディション」Ref.L2.838.1.53.2
マットブラックダイアルにグレーPVDの時分針を組み合わせ、全体をダークトーンにまとめた、「ロンジン パイロット マジェテック」の新作。チタンケースを採用し、軽量化を図っている。自動巻き(Cal.L893.6)。26石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径43mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。世界限定1935本。74万3600円(税込み)。
1935年にチェコスロバキア軍へ納入されたパイロットウォッチ、「Ref.3582」の復刻モデルにあたる「ロンジン パイロット マジェテック」。本作は、2023年に誕生したロンジン パイロット マジェテックをベースとしたバリエーションモデルである。全体をダークトーンで統一したカラーリングを特徴とし、世界限定1935本のみが販売される。
ダイアルのカラーはマットブラック。パイロットウォッチらしいアラビア数字インデックスに、太くはっきりとした時分針が組み合わされている。6時位置には大型のスモールセコンドが配され、オリジナルに忠実なクラシカルなレイアウトを持つ。
フルーテッドベゼルは、両方向に回転させることが可能だ。その操作に伴って三角形のマーカーが動き、経過時間を容易に計測することができる。
ケースはチタン製。ボリューミーなクッション型を採用し、3時位置にはリュウズを取り囲む屈強なガード、9時位置には“1935”の刻印が刻まれたプレートが取り付けられている。ケースバックは4本のネジによって固定され、スペックや限定数量を表す刻印が施されている。
「フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズ」Ref. L4.815.4.52.2
ムーンフェイズを搭載した「フラッグシップ ヘリテージ」。ケースバックの18Kゴールド製メダリオンには、手書きのエナメルによって、海を進むカラベル船があしらわれている。自動巻き(Cal.L899.5)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ12.4mm)。3気圧防水。47万8500円。
「フラッグシップ ヘリテージ」は、1950年代に登場したフラッグシップの伝統を受け継ぐロンジンのロングセラーだ。「フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズ」は、そのコレクションに追加された、ムーンフェイズ搭載モデルである。
ハバナベージュカラーのドーム型ダイアルには、オリジナルと同じ長いくさび型のインデックスとドーフィン型の時分針が配されている。6時位置のムーンフェイズは、同軸にポインターデイトが搭載されており、機能性も十分だ。
直線基調のすっきりとしたラグも、コレクションの特徴である。ケースバックには、フラッグシップを象徴するカラベル船をあしらったメダリオンが取り付けられている。このメダリオンは、18Kゴールド製。エナメルによって鮮やかに彩られている。
搭載するムーブメントは、Cal.L899.5。ロンジン専用のエクスクルーシブムーブメントであり、シリコン製ヒゲゼンマイによって優れた耐磁性と、約72時間のパワーリザーブを備えている。
「ロンジン レジェンドダイバー」Ref.L3.764.4.06.6
回転式のインナーベゼルを搭載した、クラシカルなダイバーズウォッチ。2024年は、グリーンの他、テラコッタとアンスラサイトグレーのラッカーダイアルが加わった。自動巻き(Cal.L888)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.70mm)。30気圧防水。52万6900円(税込み)。
1959年に登場したダイバーズウォッチ、「Ref.7042」のデザインを復刻した「ロンジン レジェンドダイバー」。豊富なバリエーションを擁するそのコレクションに加わったのが、ダイアルをグリーンに彩った本作だ。
ダイアルのデザインは、オリジナルモデルを忠実に再現。アラビア数字とバーを組み合わせたインデックスが高い判読性をもたらし、時針には特徴的な矢印型を採用している。フランジ部は2時位置のリュウズによって回転させることが可能。三角形のマーカーと分針を合わせることにより、経過時間を測定することができる。
直径39mmのコンパクトなケースは、ダイバーズウォッチながら、回転式のアウターベゼルやリュウズガードがないため、すっきりとした印象だ。ケースバックには、ロンジン レジェンドダイバーの伝統であるダイバーの姿が刻まれている。
ステンレススティール製のブレスレットは、クラシカルなライスビーズタイプ。ひとつひとつのコマが短いため、しなやかな装着感を発揮する。
ムーブメントは、L888を搭載。やはりシリコン製ヒゲゼンマイを搭載し、約72時間のパワーリザーブを備えている。