ノルケイン、成功の理由とは? 副社長の「トビアス・カッファー」をインタビュー

2024.12.03

創業は2018年と歴史は浅いが、ミドルレンジで大きな存在感を示すようになったノルケイン。世界中に販売網を広げただけでなく、アドバイザーとして、今やジャン-クロード・ビバーとジャン・ポール・ジラルダンを迎えるほどになった。しかも今年はウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブへの参加を果たした。インタビューに応じてくれたのは、今やベン・カッファーの右腕として活躍する、実弟であり同社副社長のトビアス・カッファーだ。

吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年11月号掲載記事]


私たちノルケインはいつでもクレイジーでありたい

トビアス・カッファー

トビアス・カッファー
ノルケイン副社長。1990年、スイス生まれ。2013年にルイ・エラール入社後、スイスのジュエリーメーカーであるギベルグでインターナショナルセールスディレクターに就任。実兄でノルケインCEOのベン・カッファーの招聘により、21年5月から現職。ベンの右腕として、主にセールスを支える。「私たちのコレクションを多くの人に知ってもらえるようにチャレンジし続けます」。

「参加は私たちのためですね。というのも私たちのことを知らない小売り業者の方々にノルケインの存在を示すことが重要だったのです。私たちは大きな投資もし、野心的な目標を掲げましたが、結果は目標を上回りました。実際、開催期間中のアポイントメントも常に埋まっていたのです。ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで、私たちは結局、約100のリテーラーを迎えました。今は挑戦の時だと思っています」

 彼が挙げたのは、市場の大きな変化だ。

「2024年最初の4カ月は輸出が40%減でした。しかしノルケインは昨年に比べると、現時点では40%増となりました。厳しい市場状況の中で、ノルケインは非常にうまくやっていると思います。多くの小売り業者が私たちの好調ぶりを耳にし、新しい何かが必要だと感じたのでしょう。私たちの時計は100%オーセンティックで、価格に対して質は良いと思っています」

 成功の理由は独立性と革新性にあると語るトビアス。そんなノルケインの新しい方向性を示すのが、さまざまな部品を組み合わせて自分だけの1本を作ることができるコンフィギュレーターの採用だ。もともとのきっかけは、複数の部品で構成される「ワイルドワン」にあった。

「ジャン-クロードとベンが最初のワイルドワンを開発したときに始まりました。この時計のケース構造が〝爆発〞する。そのモジュール性に気づいたとき、彼らの頭の中にこの“Wild ONE of 1”のアイデアが生まれました」

ノルケイン「Wild ONE of 1」

ノルケイン「Wild ONE of 1」
ムーブメントやケース、文字盤や針、プレートの刻印などを自在に組み合わせることで350万通り以上の組み合わせから自分だけの1本を作れるという試み。裏蓋などの刻印を含めると、その仕様は事実上無限だ。量産メーカーでこうした試みは非常に珍しいが、ノルケインらしく納期は約3カ月、価格はレギュラーモデルの1.5倍と、現実味のあるコレクションとなった。

 コンフィギュレーターの開発に要したのは約2年間。ムーブメントやケースの組み合わせなど、11ものプロセスを経ることで、350万通り以上の組み合わせが可能とのこと。しかも、裏蓋には家族の写真などのアウトライン画像やロゴ、テキストをプリントすることができる。

「正直、このプロジェクトはサプライチェーンの管理が大変です。投資は非常に大きかったし、マージンも少ない。でも私たちはこれをやりたかったのです」

 成長してなお、挑戦的な試みをやめないノルケイン。「私たちはいつでもクレイジーでありたいのです」。



Contact info:ノルケインジャパン Tel.03-6864-3876


ノルケイン渾身の新作フライバッククロノグラフの実機を操作してチェック!

FEATURES

ノルケイン副社長、新作フライバッククロノグラフの魅力を熱く語る!

FEATURES

ノルケインが、350万通りのカスタマイズができる「Wild ONE of 1」を発表

NEWS