ジラール・ペルゴは、いっそう面白くなる。クレマンス・デュボアを取材して分かった、同ブランドの「強み」

2024.12.04

「ジラール・ペルゴの強みとは、独立のマインドセットを持っていることです」。そう語るのは、同社でチーフ プロダクト&マーケティング オフィサーを務めるクレマンス・デュボアだ。時計に魅せられてこの世界に入った彼女は、後にジラール・ペルゴの歴史に惹かれて、同社に入社した。当時、ジラール・ペルゴを率いていたマカルーソファミリーは彼女に、このブランドの本質を見いだし、理解する手助けをした。

広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年11月号掲載記事]


私たちの強みとは創業以来、デザインとムーブメント開発の両方を自社で行っていること

クレマンス・デュボア

クレマンス・デュボア
ジラール・ペルゴ チーフ プロダクト&マーケティング オフィサー。フランス生まれ。HECローザンヌ校とパリ校で経営学の学位を修めた後、マーケティングの修士号を取得。ルイ・ヴィトンでのインターンを経て、ジラール・ペルゴに入社。2019年にはプロダクトディレクターとなり、20年から現職。「私はムーブメントに情熱を持っています。そしてジラール・ペルゴは独立したマニュファクチュールです」。そう語る彼女は、今の時計業界には珍しい、かなりの時計好きだ。

「私たちの強みはデザインとムーブメント開発を自社で行っていることです。そして、それを続けていること。さらに230年の歴史とクラフツマンシップがあることです」

 彼女の考えるジラール・ペルゴらしさとは、クラシックとコンテンポラリーの融合だという。そのコントラストが好き、と考えるデュボアらしさは、日本限定のロレアートによく見て取れる。この藍色コレクションは、1860年代にスイスの時計メーカーとして初めて日本に進出した、ジラール・ペルゴの長い歴史をたたえるものだ。

「今回のテーマは『光で遊ぶ』です。クロノグラフのケース素材はあえてチタンにしました。そして文字盤にはメタルを選び、光によって立体的なピラミッド模様が浮かび上がるクル・ド・パリを施しました。一方の3針モデルはクラシカルなエナメル仕上げですが、シルバーのベースにギヨシェ彫りを施して、メタリックな反射で生き生きとした輝きを与えています」

ジラール・ペルゴ「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」

ジラール・ペルゴ「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」
スイスと日本の外交関係樹立160周年を記念した日本限定モデル。文字盤にはグループ会社であるドンツェ・カドランのエナメル文字盤を採用。下地にギヨシェ彫りを施し、日本の藍色にインスピレーションを得た深いブルーを採用する。自動巻き(Cal.GP01800-1730)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。SSケース(直径42mm、厚さ10.68mm)。100m防水。日本限定100本。258万5000円(税込み)。

 同じくソーウインドグループの傘下にあるドンツェ・カドラン製のエナメル文字盤は、釉薬を重ねて5回の焼成を行う。普通はゴールドのベースを選ぶが、今回はあえてシルバーを選んだ。理由は「完璧な藍色のトーンを表現するため」。また深い色を得るため、ブルーの色はパントーンには従わなかったという。結果として生まれたふたつの日本限定モデルは、古典的な技法とロレアートの造形がうまくマッチしたものとなった。

 確かにロレアートは素晴らしいプロダクトに成長を遂げた。また伝説的なブリッジコレクションも高い評価を得ている。では今後、それ以外のコレクションにてこ入れする予定はないのか?

「ふたつの柱となるコレクション、ブリッジとロレアート。それぞれ1867年と1975年に誕生して以来、同じコードとDNAを受け継ぎ、進化し続けています。私たちの目標は、このレガシーを尊重し、さらに進化させることです」

 ジラール・ペルゴに魅せられ、マカルーソファミリーの薫陶を受けたデュボア。なるほど、彼女が牽引するジラール・ペルゴは、今後いっそう面白くなるに違いない。



Contact info:ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791


ジラール・ペルゴ 特製「ロレアート」の気高き藍色が秘めた日本との深い絆

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