[男の香り指南]キリアン パリ「ザ リカーズ」「エンジェルズ シェア オード パルファム」は、大人の時間にうってつけのフレグランス

2025.01.01

コニャックの名門の出であるキリアン・ヘネシーが創設したキリアン パリ。同ブランドのコレクション、「ザ リカーズ」は酒から着想を得ており、ロックグラスを思わせるボトルが特徴だ。さらにベストセラーの「エンジェルズ シェア オード パルファム」には本物のコニャックから抽出された“天使の分け前”が使われる。今回、新作の「オールド ファッション オード パルファム」とともに長年女性誌に携わってきた敏腕編集者であり、エッセイストでもある麻生綾氏が、冬の夜の“一杯”を指南する。

麻生綾:文
Text by Aya Aso
村山千太:写真
Photograph by Senta Murayama


冬の夜、〝天使の分け前〟を愉しむ大人の時間

 日に日に夜の支配が強まる冬至までの時期。心身の暖を求めて立ち寄ったコージーなバー、あるいはぬくぬくとした自室で、独り愉しむハードリカーが似合う季節でもある。今号ではそんな大人の時間にうってつけのフレグランスをご紹介しようと思う。

 キリアン パリ。ブランドの創設者はキリアン・ヘネシー氏だ。貴公子然としたルックスの、絵に描いたような“色男”はそのファミリーネームからも類推できるように、コニャック メゾンとして名高いヘネシー家の御曹司。お城で育ち、幼少のみぎりから併設されたコニャック セラーに漂う芳醇なオーク樽の香りに親しんでいたという。

 そんなラグジュアリーな背景を持つ彼が手掛けるフレグランスは、お国柄なのかアムールが充満した艶っぽいタイトルのものが多いのだが、家業である酒にインスパイアされた「ザ リカーズ」というコレクションは少しだけ路線が違う。まずは見てください、このアールデコなボトルを。ずしりと持ち重りがする感じも、まるでハードリカーを注いだロックグラスのよう。かようにとてもユニークな、ある意味“変わり種”なのだが、酒とフレグランスの組み合わせがなぜかしっくりはまっている。思えば、それらには成り立ちにアルコールが欠かせないという共通点があり、実はとても相性がいいのだ。

KILIAN PARIS

KILIAN PARIS
ヘネシー家のリカー醸造に対する情熱とヘリテージを注ぎ込んだ「ザ リカーズ」コレクションを代表する1本。コニャック、ヘーゼルナッツ、オークウッドをキーノートとした芳しい香り。キリアン パリ エンジェルズ シェア オードパルファム 50ml、3万3000円(右)。18年以上の熟成期間を経て蒸留された最高級のシングルモルトの複雑な味わいを、ウィートアブソリュートやダバナ エッセンスで表現。同 オールド ファッション オード パルファム50ml、3万3000円(左)。

 事実、ザ リカーズの中のベストセラー「エンジェルズシェア オード パルファム」には本物のコニャックから抽出されたエッセンスが用いられており、液体の色も琥珀色。エンジェルズ シェアとは熟成の過程で樽から自然に蒸発する数%の原酒のことを指すが、キリアンはこのまさに“天使の分け前”にインスパイアされ、コニャック風味のほの甘く、奥底に樽香を感じさせるフレグランスを創り上げたというわけである。

 また10月に発売されたばかりの新作「オールド ファッション オード パルファム」の香りは、思わずニヤリとしてしまうほどにウイスキーそのもの。しかもそれは混じりけのない完璧なシングルモルトで、レーズンのような渋い甘さとともに心地いい酔いに誘ってくれる。

 ザ リカーズコレクションはオーセンティックなバーの風景に恰好のフレグランスであり、また香りではなく薫りと表記したいような奥深さがある。さて、夜がこれ以上深くなる前に、我々も一杯ならぬ一プッシュいただこうではないか。


麻生 綾

 美容編集者/エッセイスト&コピーライター。東京育ち。女性誌の美容ページ担当歴30余年、『25ans』『婦人画報』(ともにハースト婦人画報社)、『VOGUE JAPAN』(コンデナスト・ジャパン)各誌で副編集長、『etRouge』(日経BP)で編集長も務めた。趣味も美容、そして美味しいもの探し、鬱アニメ鑑賞、馬の骨活動。


Contact info:ブルーベル・ジャパン 香水・化粧品事業本部 Tel.0120-005-130


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