ブランパンのオートオルロジュリーが受け継ぐもうひとつの顔

2024.12.10
PR:BLANCPAIN

スイスを代表する高級時計ブランドであり、長い歴史を持つブランパン。同社はドレスウォッチや職人によるメティエダールコレクションなどを手掛ける一方で、軍用時計の開発・製造を担ってきた実績を持つ。そんな時代のDNAを受け継ぐ現行モデルを例に、ブランパンのもうひとつの顔である、ミリタリーウォッチに焦点を当てる。

エアコマンド フライバック クロノグラフ リミテッドエディション

エアコマンド フライバック クロノグラフ リミテッドエディション
エアコマンドに追加されたカモフラージュグリーンモデル。オリジナル比で0.5mm大きい42.5mm径モデルと36.2mm径モデルがラインナップされる。後者のような小径サイズのケースにフライバッククロノグラフを載せられるのは、旧フレデリック・ピゲを母体とするブランパン・マニュファクチュールを擁するブランパンならではだ。(左)自動巻き(Cal.F388B)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径42.5mm、厚さ13.77mm)。30m防水。世界限定200本。324万5000円(税込み)。(右)自動巻き(Cal.F188B)。35石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。Tiケース(直径36.2mm、厚さ11.5mm)。30m防水。世界限定100本。304万7000円(税込み)。
岡村昌宏:写真 Photographs by Masahiro Okamura (CROSSOVER)
細田雄人(本誌):文 Text & Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年1月号掲載記事]


ミルスペックのDNA

 ブランパンというブランドの本質が“オートオルロジュリー”に根差していることは疑いのない事実だ。創業地の名を冠した「ヴィルレ」コレクションはまさに高級時計の代名詞的存在であり、ル・ブラッシュのファームハウスで選ばれた職人が作り上げる「メティエダール」コレクションにはブランパンの技術と伝統が遺憾なく発揮されている。

エアコマンド フライバック クロノグラフ リミテッドエディション

エアコマンドが高級機であることを示す最良のサンプルが、文字盤に施された精緻な印字だ。これだけ細かく小さい文字を精細に載せるだけでなく、インク自体の盛りも厚い。写真は小径な36.2mmモデルで42.5mmモデルよりも目盛りの感覚はより狭まっているが、それでもこのクオリティだ。

 しかし同社が真に魅力的なのは、そんな伝統的な高級時計を製作する一方で、ミリタリーウォッチという全く異なるジャンルでも多くの傑作を送り出してきた、その柔軟さにある。世界中の海軍に採用されたダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」や、アメリカ空軍向けに開発されたプロトタイプ型パイロットウォッチ「エアコマンド」などはその象徴だ。これらは後年の復刻を経て、いずれも現在はコレクションとして定番化。ブランパンが持つもうひとつの顔を、ミルスペックのDNAと共に現代に受け継いでいる。

エアコマンド フライバック クロノグラフ リミテッドエディション

ムーブメントはケース径に合わせて、直径31.8mmのCal.F388B(42.5mm径モデル)と直径26.2mmのCal.F188B(36.2mmモデル)が採用される。いずれもエアコマンドの限定モデル仕様らしく、プロペラをかたどった18Kゴールド製ローターが用いられた。このプロペラの仕上げも見事だ。

 このような出自を持ちながら、現行のフィフティ ファゾムスとエアコマンドは、今のブランパンが製作するだけあって高級時計準拠だ。例えばエアコマンド。新しいカモフラージュグリーン文字盤を持つ限定モデルは、そのミリタリー色の強いキャラクターとは裏腹に、ディテールまで非常に作り込まれている。象徴的なのが文字盤の印字だ。エアコマンドではタキメーターが文字盤に転写されているが、これだけ細かな文字を精細に、かつインク自体を厚く盛った例はほとんど見られない。特に36.2mmモデルでは目盛りの感覚が狭まるため、その精緻さが強調される。間違いなく印字のクオリティはトップレベルだ。

 もちろん高級機然とした品質を持つとはいえ、エアコマンドはミリタリーウォッチとしての矜持も持ち合わせている。ケースの仕上げをサテン基調で構成することで、ツール感を強調。加えて6時位置に配されるはずのスモールセコンドをあえて外し、オリジナル準拠のバイコンパックスレイアウトを守っているのだ。クロノグラフも当然、ミルスペックに基づいてフライバック機能付きである。

エアコマンド フライバック クロノグラフ リミテッドエディション

立体的に立ち上がった風防や細かく刻みが入れられたベゼルは、レトロ感を強調する意匠のひとつ。しかし、いずれも加工の困難なサファイアクリスタルとチタン製である点に、ブランパンの凄みが感じられる。また、セラミックスのベゼルインサートも同社の外装技術の高さを伝える。

 アレンジの妙も光る。1950年代の時計をモチーフとしているため、オリジナルのケースサイズに近いのは36.2mmモデルと思いがちだ。しかし、実際は42.5mmモデルがオリジナルに近いサイズだという。オリジナル以上に“らしい”時計を生み出せるのは、長年にわたって復刻モデルと真摯に向き合ってきたブランパンだからこその強みだ。


ダイバーズの域を超越する外装進化

 ダイバーズらしからぬ高い外装品質が魅力の「フィフティ ファゾムス」シリーズ。それはフィフティ ファゾムスという存在がブランドのアイコンであることはもちろん、ダイバーズウォッチの外装の品質がスペックに直結するジャンルであったことも大きい。セラミックス製外装をまとった最新の「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」は、そんなブランパン流ダイバーズウォッチの集大成的存在だ。

フィフティ ファゾムス バチスカーフ

フィフティ ファゾムス バチスカーフ
ケースとブレスレットにセラミックスを用いた新作。これら外装の製造は同じスウォッチ グループ傘下のコマデュールによるものだ。セラミックスの製造・加工に長けた同社が、ブランパンのノウハウを生かし、グループトップブランドの品質基準で作っただけあり、そのクオリティはダイバーズウォッチの域を超えるほどに高い。ケースバックに刻まれたロゴが正位置で固定されるのも特徴だ。自動巻き(Cal.1315)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。セラミックケース(直径43.6mm、厚さ13.83mm)。300m防水。316万8000円(税込み)。

 前述した通り、ブランパンの腕時計はたとえそれがミリタリーウォッチを起源に持つ時計だとしても、高級時計の品質で製造される。特にこの傾向は「フィフティ ファゾムス」シリーズで顕著だ。

 優れたダイバーズウォッチの開発とは、優れた外装の開発に等しい。高い防水性能を得るためには当然、噛み合わせ部分を精緻に作る必要があるし、パッキンも用途によって適切なものが存在するからだ。こういったダイバーズウォッチを作るうえで欠かせないノウハウを持ち、一方で高級時計製造にも長けたブランドというのは、実のところ多くない。そんなブランパンの見識を結集して発表されたのが、ブラックセラミックケースとブレスレットを採用した新しい「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」である。

フィフティ ファゾムス バチスカーフ

今作最大の見どころが、セラミックブレスレットだ。固定方法は至って普通で、コマとリンクをつなげるピンを通したのち、六角のネジでふたをする。ポイントはコマ同士の可動域を抑えるために、コマの中に格納されるピンが扇型の形状をしていること。結果、コマの接触が避けられるため、クリアランスが詰められるようになった。その装着感は高級機にふさわしい。

 その凄みはケースに細かく入れられたサテン仕上げや面と面が交差する角の立ち方、ブレスレットとラグの弓管の詰まり具合など、どこをとっても伝わってくる。しかし、最も注目すべきはセラミックブレスレットだ。一般的に割れやすいセラミックスでブレスレットを作る際はコマとコマの遊びを大きく取ることで、コマ同士の接触による破損を回避する。ところが、本作ではそれぞれのコマの可動域を制限するように固定することで、コマ同士が接触しないように設計されているのだ。このためコマ間のクリアランスを適度に詰めることができ、従来のセラミックブレスレットとは一線を画した、かっちりとした装着感を実現している。

 金属ケースだからこそ成り立つ外装品質を加工の困難なセラミックスでも実現させてしまった新しいフィフティ ファゾムス。同作は、まさに既存のダイバーズの域を超越した存在だ。



Contact info: ブランパン ブティック 銀座 Tel.03-6254-7233


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