実用性に優れる、プロフェッショナル仕様のモデルを数多く輩出してきたブライトリングは、腕時計のツールとしての側面を重んじる、本格志向の男性にも好適なブランドだ。今回、ブライトリングの魅力的なラインナップから、経験を積んだ40代の男性におすすめしたいモデルを5本ピックアップした。
Text by Kento Nii
[2024年12月8日公開記事]
機械式クロノグラフのパイオニア、ブライトリング
ブライトリングは、1884年にレオン・ブライトリングによってスイスで創業された時計ブランドである。創業当初から時計の計時機器としての側面を重んじたウォッチメイキングを続けており、特にクロノグラフウォッチにおいては、革新的な機構の開発や、軍用装備への採用を経て、パイオニアとしての地位を確立している。
また、パイロットウォッチの分野においても、ブライトリングは存在感を示すブランドだ。軍需が増加した1930年代から、精密かつ頑丈、そして視認性に優れるクロノグラフウォッチの開発により注力するようになり、この実績が、「クロノマット」、「ナビタイマー」といった、著名なコレクションの誕生にもつながった。
そしてブランドの歴史を語るうえで、計時機器であったクロノグラフウォッチにスタイリングを見出した功績は欠かせないだろう。中でも、より多くの人にリーチするよう、スタイリッシュかつエレガントなデザインを意識した「プレミエ」や、クォーツ式時計全盛の時代に、ファッショナブルな機械式クロノグラフとして登場したクロノマットは、ブライトリングの先を見据えたウォッチメイキングを体現する存在と言える。
当然ながら、ブランドの現行のラインナップにも、こうしたパイオニアとしての技術力や、時代を先取りするそのウォッチメイキングが反映されている。実用性に優れるだけでなく、機能美とモダンなファッション性が共存するその顔触れは、洒脱でありながら、経験を積んだ40代の男性の手元に本格志向を演出できる、魅力的な存在と言えるのだ。
40代の男性におすすめのブライトリング5選
今回、ブライトリングの根幹をなす各コレクションから、40代男性におすすめしたいモデルを厳選して5本ピックアップした。
「クロノマット B01 42」Ref.EB0134101M1E1
クロノマットは、ブライトリングのフラッグシップに位置するコレクションだ。ブランドが100周年を迎えた1984年に現在のスタイルとして登場し、幾度とないアップグレードを経て、今では陸・海・空の幅広いシーンに対応するエレガントな万能スポーツウォッチとして展開されている。
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。Tiケース(直径42mm、厚さ15.1mm)。200m防水。163万3500円(税込み)。
ピックアップしたRef.EB0134101M1E1は、アンスラサイトカラーのダイアルを持った、精悍かつ豊かな機能美を備えたモデルだ。1984年モデルから踏襲されるベゼルの四方に配置されたライダータブや、ルーローブレスレットなどは、2020年の刷新によって再び採用されるようになった意匠であり、ひと目でクロノマットとわかる王道的なモデルに仕上がっている。
また、ケース素材にチタンを採用している点も本作の特徴だ。重厚感のあるルックスに反する軽やかさで、優れた装着感に寄与している。ケース直径は42mmと大きすぎず、そのモノクロトーンのいでたちも相まって、デイリーユース用の時計に選びやすいだろう。
搭載するCal.01は、2009年、ブランド初の自社製自動巻クロノグラフムーブメントとして生み出されたムーブメントだ。ブライトリングの歴史を一歩先に進めた存在と言っても過言ではなく、約70時間のパワーリザーブと4分の1秒計測、どの時刻でも操作可能なカレンダー機能など、実用的な機能を有している。
「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」Ref.AB0138241C1A1
ブライトリングの、パイロットウォッチの名手としての歴史を受け継ぐナビタイマーも、40代男性の手元を彩るうえでふさわしいコレクションだ。両方向回転ベゼルや航空計算尺を備えた、いかにもツール感のあるその顔立ちは、高い実用性を誇るだけでなく、オトコ心を強く引きつけるのである。
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径43mm、厚さ13.6mm)。3気圧防水。124万3000円(税込み)。
Ref.AB0138241C1A1は、腕時計のトレンドカラーのひとつである、アイスブルーカラーのダイアルを持つモデルだ。その造形は、平らにした回転計算尺やドーム型のサファイアクリスタル風防を採用したことで、ナビタイマーの伝統的なスタイルを踏襲しつつ、スリムな外観が意識されている。また、ポリッシュとサテン仕上げが使い分けられたケース、ブレスレットも洗練された印象をもたらしている。
搭載するムーブメントは、クロノマットだけでなくナビタイマーにも広く採用されるようになったCal.01だ。本作ではトランスパレント仕様のケースバックによって、コラムホイールが動く様子や、その機能美を楽しむことができる。
アイスブルーカラーに加えて、放射状の仕上げを持つダイアルはツール感を抑えており、ファッション性を重視する現代の需要にも対応したモデルと言えるだろう。直径43mmという存在感のあるケースサイズも相まって、幅広いファッションスタイルでの活躍が期待できる。
「ナビタイマー B01 クロノグラフ 46」Ref.AB0137211C1P1
同じくナビタイマーから、ブルーのダイアルを持つRef.AB0137211C1P1をセレクトした。
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径46mm、厚さ13.9mm)。3気圧防水。121万5500円(税込み)。
本作の魅力は、なんといってもその大柄なケースサイズだ。直径46mmというサイズは、視認性に重きをおくパイロットウォッチらしさが強く表れた意匠であり、ツールウォッチを手にするロマンをより高めてくれるに違いない。“デカ厚”の腕時計のブームを通った男性にとっても、なんとも魅力的な1本となってくれることだろう。また、青と白を基調としたダイアルは、若干のレトロさを演出しつつも、決して古臭さを感じない絶妙なバランスを見せている。
取り付けられたアリゲーターレザーストラップは味わい深いブラウンカラーで、裏地はイエローカラーに染められている。白のステッチが入っており、ナビタイマーをシックに仕立て上げる要素だ。
ちなみに、現行のCal.01およびCal.02を搭載するナビタイマーの多くでは、12時位置にブライトリングの「B」を模したブランドロゴではなく、翼を模したロゴがあしらわれている。これは2020年のアップデートによって復活した意匠であり、世界最大規模のパイロットクラブ「AOPA」(国際オーナーパイロット協会)の公式タイムピースであることを示すものである。
「アベンジャー B01 クロノグラフ 44」Ref. AB0147101A1X1
ジェット機のパイロットに向けて開発された「アベンジャー」は、300m防水を備えるなど、より過酷な環境に適応するよう設計された高性能ウォッチだ。2001年に登場した「クロノアベンジャー」がそのオリジナルにあたり、ブライトリングの中でもひときわモダンな印象の強いコレクションとなっている。
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径44mm、厚さ15.2mm)。300m防水。103万9500円(税込み)。
Ref.AB0147101A1X1は、ブラックのインダイアルがレイアウトされたパンダ調の顔立ちを持ち、サンドカラーでファッショナブルな一面が強調されたモデルだ。ストラップは、ダイアルと色を合わせたカーフスキンレザーが取り付けられており、40代のシティスタイルをミリタリーチックに彩ってくれる。
アベンジャーが誇る、パイロットウォッチとしての完成度の高さも本作の魅力だ。機能美を高めるステンレススティール製のベゼルには大きなライダータブが備わっており、サイドに8本のビスが打たれるなど、操作性が高められている。さらに、プッシャーはスクエア型で、かつ大型のリュウズにも格子状の刻みが入れられるなど、グローブをしたままでも操作しやすい設計だ。
なお、本作のムーブメントにもCal.01が採用されており、高い防水性を維持しつつも、トランスパレント仕様のケースバックからその機構や駆動を楽しむことができる。
「プレミエ B09 クロノグラフ 40」Ref.AB0930D31L1P1
フランス語で「最初」という意味を持つプレミエは、エレガントなクロノグラフウォッチだ。その名前の初出は1943年のことであり、2018年にそのエレガントさを保ちつつ、現代的な性能を備えたタイムレスなコレクションとして復活を果たした。
そんなプレミエの魅力のひとつには、豊富なカラーリング展開が挙げられる。その魅力を実感しやすいモデルとしてRef.AB0930D31L1P1をピックアップした。インダイアルも含めたダイアル全面がピスタチオグリーンカラーで彩られた、個性が際立つ1本だ。
手巻き(Cal.B09)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。110万5500円(税込み)。
もちろんプレミエらしい、ヴィンテージ感を漂わせる意匠は特筆すべきポイントだ。バイコンパックスのダイアルには、アラビア数字のインデックスと、シリンジ型の針が載せられており、その上をボックスサファイアガラスが覆っている。控えめなツール感を見せるその表情からは、クロノマットやナビタイマーとは一味違う魅力が見て取れるだろう。
ケースは、顔立ちに見合った優美な造形で、取り付けられたゴールドブラウンのアリゲーターストラップが腕時計全体を味わい深く演出している。搭載するムーブメントは、手巻き式かつノンデイト仕様のCal.B09だ。ローターを持たないその仕様により、ケースバックから広々とその機構を観賞することができる。