チューダーのGMT機能搭載モデルを5つ紹介。スノーフレーク針をはじめとするアイコニックなデザインに優れた堅牢性、ケニッシ社製ムーブメントを持ち合わせたこれらの実力派GMTウォッチは、頼れる旅時計となるに違いない。
Text by Tsubasa Nojima
[2024年12月9日公開記事]
チューダーのGMTウォッチを紹介!
2018年に日本に再上陸し、瞬く間にメジャーブランドの一角となったチューダーは、ロレックスの創業者であるハンス・ウイルスドルフが立ち上げたブランドだ。長らく堅牢なケースにエボーシュを収めることで、信頼性に優れた時計を手頃な価格で提供し、支持を得てきた同社だが、現代では傘下にムーブメントの設計・製造を行うケニッシ社を設立し、内外装トータルでの品質を各段に向上。その評価を盤石なものとしている。
現代のチューダーの中核を成すコレクションが「ブラックベイ」だ。サイズや機能、デザインによってさらに細分化されているが、基本はスノーフレーク型の針を備えたレトロなデザインのダイバーズウォッチである。その他、モダンなダイバーズウォッチである「ペラゴス」やシンプルなツールウォッチの「レンジャー」、ドレッシーな「1926」や「チューダー ロイヤル」など、豊富なラインナップが揃う。
そしてその中でも特に高い人気を誇るのが、ブラックベイとペラゴスにラインナップするGMT機能を搭載したモデルだ。ダイバーズウォッチをベースとした高い防水性に加え、シリコン製ヒゲゼンマイや耐衝撃性に優れる両持ちテンプ受け、約70時間のパワーリザーブを備えたケニッシ社製ムーブメントを搭載し、抜群の実用GMTウォッチとして知られている。今回はその中から、5つのモデルを紹介する。
チューダー「ブラックベイ 58 GMT」Ref.M7939G1A0NRU-0001
「ブラックベイ 58」は、1958年に誕生したダイバーズウォッチ「Ref.7924」に着想を得たコレクションだ。直径39mmのコンパクトなケースや、幅広いバリエーション展開によって人気を博している。
2024年、そんなブラックベイ 58に新しく加わったのが、GMT機能を搭載した「ブラックベイ 58 GMT」だ。本作に搭載されているのは、新規に開発された薄型のGMTムーブメント。時針を単独で操作することが可能であるうえに、瞬時日送り機構を搭載している。ケースの厚さが12.8mmと薄型であるため、取り回しやすい点も魅力だ。
ブラックダイアルに、ブラックとバーガンディーのツートーンのアルミニウム製ベゼルインサートを組み合わせ、インデックスの縁取りや目盛りにゴールドカラーをあしらうことで、ヴィンテージ感のある色合いに仕上げている。
ベルトは、リベットタイプの3連ステンレススティール製ブレスレット。バックルには、独自の微調整機構である“T-fit”が採用され、工具を使うことなく腕回りを変更することができる。
薄くコンパクトなケースを採用した2024年新作のGMTウォッチ。ヴィンテージ感のあるカラーリングが、落ち着いた印象を与える。自動巻き(Cal.MT5450-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.8mm)。200m防水。64万3500円(税込み)。
チューダー「ブラックベイ GMT」Ref.M79830RB-0001
チューダーを代表するコレクションであるブラックベイのGMT機能搭載モデル。直径41mmのケースは、程よい存在感を主張。ブラックのダイアルにホワイトの蓄光塗料を充填したインデックスと針が組み合わされ、高いコントラストが優れた視認性を生んでいる。時針、秒針、GMT針は、チューダーを象徴するスノーフレーク型。GMT針は赤く彩られ、他の針との混同を防いでいる。
ベゼルインサートは、ファンから“ペプシ”と呼ばれるバーガンディとブルーのツートーン仕様。セラミックスに比べて艶感の抑えたアルミニウム製であるため、派手な印象はない。ケニッシ社製のムーブメントCal.MT5652を収めたケースは14.6mmの厚みを持ち、がっしりとしたボリューム感を楽しむことができる。ブラックベイコレクションとして200m防水を備えていることも心強い。
ブレスレットは、リベットタイプのステンレススティール製だ。ダブルロック仕様のバックルを採用しており、アクティブシーンでも安心して着用することができる。
バーガンディーとブルーの2色で構成された、マットなアルミニウム製ベゼルインサートが特徴。GMT機能だけではなく、高い防水性を備えていることも魅力だ。自動巻き(Cal.MT5652)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm、厚さ14.6mm)。200m防水。61万3800円(税込み)。
チューダー「ブラックベイ プロ」Ref.M79470-0001
ソリッドなステンレススティール製の固定ベゼルが特徴のGMTウォッチ。本作は、1952年から行われた英国海軍のグリーンランド遠征の冒険の精神を体現したモデルである。チューダーはこの遠征に対して「オイスター プリンス」を提供し、その優れた信頼性を証明した。
第2時間帯は、イエローのGMT針とベゼルに直接彫り込まれた24時間表記を組み合わせて読み取る。他のブラックベイとの違いは、固定ベゼルを備えているだけではない。モノブロックの発光セラミックス製のインデックスを採用し、針の縁取りをホワイトにすることで、よりツール感の際立ったデザインに仕上げられている。
ケースの直径は39mmと、ややコンパクトなサイズであることも本作の特徴だ。リベットタイプのステンレススティール製ブレスレットが装着され、バックルには“T-fit”が備わっている。
ムーブメントは、ブラックベイ GMTと同じCal.MT5652を搭載する。海外渡航時に便利な時針単独可動が可能であり、C.O.S.C.公認クロノメーターを取得した高精度を誇る。
チューダーの冒険の精神を反映させたツールウォッチ。やや黄色味を帯びたインデックスや色褪せたようなイエローのGMT針が、武骨な中にレトロ感を忍ばせる。自動巻き(Cal.MT5652)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ14.6mm)。200m防水。59万700円(税込み)。
チューダー「ブラックベイ GMT S&G」Ref.M79833MN-0003
前掲したブラックベイ GMTのバリエーションモデル。基本的なデザインやスペック、ムーブメントは同じだが、カラーリングを変更することで、全く異なる印象に仕上げられている。
まず目を引くのは、ブラックとブラウンのツートーンで仕上げられたベゼルだろう。バーガンディとブルーの組み合わせに比べ、一層大人っぽい落ち着きのある印象にまとめられている。
モデル名のS&Gが示すのは、ステンレススティールとゴールドだ。本作には、随所にゴールドカラーがちりばめられている。インデックスや針の縁取り、目盛りやロゴはゴールドカラーに統一され、ベゼルとリュウズは、ステンレススティールをベースとした0.3mm厚のイエローゴールドキャップ仕上げとなっている。金無垢ではないため、価格が抑えられている点はうれしい。
柔らかであたたかみのあるカラーを採用したS&Gは、秋冬シーズンにもマッチする色合いが魅力だ。汎用性の高いステンレススティールブレスレット仕様も魅力だが、秋冬に着用するならば、是非ともレザーストラップ仕様をおすすめしたい。
暖色系の色味を取り入れた、「ブラックベイ GMT」のバリエーションモデル。レザーストラップの他、ファブリックストラップでカジュアルに演出するのも良い。自動巻き(Cal.MT5652)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm、厚さ14.6mm)。200m防水。65万1200円(税込み)。
チューダー「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」Ref.M2542G247NU-0002
2024年新作として登場した「ペラゴス FXD GMT」。チューダーの過去のダイバーズウォッチに着想を得たヴィンテージテイストなブラックベイに対し、ペラゴスはリュウズガードが付いた、チタンやカーボン製のケースを採用するモダンなダイバーズウォッチコレクションである。
本作はフランス海軍航空隊と共同開発されたモデルであり、ケースバックにその証しであるロゴが刻まれている。ミリタリーウォッチを出自とすることが見て取れるストラップバーがケースと一体化した構造は、ペラゴス FXDに共通する仕様だ。一般的な構造では、強い力が加わった際にバネ棒が外れ、時計が脱落してしまう可能性があるが、本作のような構造であれば、そのようなことは発生しない。反面、装着可能なストラップが限られる点は要注意だ。
第2時間帯は、オレンジ色のGMT針とベゼル上の24時間表記を組み合わせて読み取る。ベゼルは両方向に回転するため、最大で3つのタイムゾーンの時刻を表示することが可能だ。
2024年新作として登場した「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」。ストラップバーが一体化したチタン製のケースはサテン仕上げで統一され、ミリタリーウォッチらしい武骨な印象をもたらす。自動巻き(Cal.MT5652-U)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径42mm、厚さ12.7mm)。200m防水。65万1200円(税込み)。