G-SHOCKの最高峰「MR-G」とは? 歴史やおすすめコレクションを紹介

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2024.12.12

耐久性と先進性で世界的な評価を確立したカシオのG-SHOCK。中でも「MR-G」シリーズは、卓越した職人技と洗練された素材を融合し、G-SHOCKの代名詞であるタフネスを新たな次元へと押し上げた。本記事では、G-SHOCKを愛する時計ファンが次のステップとして検討すべき「MR-G」の真価を、誕生の背景から最新モデルの進化まで詳しく解説する。


G-SHOCK「MR-G」の誕生と進化

「MR-G」は1996年発表の「MRG-100」によってスタートした。同作はプロジェクトメンバーが「みんなが本当に欲しいと思う時計」を突き詰めた結果、フルメタルの耐衝撃構造を実現した“革新的なG-SHOCK”として誕生。現在、MR-Gコレクションは、従来のG-SHOCKのアイデンティティーである耐衝撃性と高級感を融合し、時計業界に新たな価値観を提示している。その誕生の背景を探る。

MR-G誕生の背景 ─ 革新の始まり

 1996年、G-SHOCKの最高級モデルとして誕生した「MR-G」。G-SHOCKの開発思想である「壊れない腕時計」をメタルで実現するという、新たな挑戦から生まれたシリーズだ。

 当時、フルメタルの外装でG-SHOCKレベルの耐衝撃構造を持つ時計は存在せず、その開発は困難を極めた。カシオの技術者たちは、金属特有の硬度と衝撃吸収性を両立させるため、設計段階から多くの試行錯誤を重ね、ついにフルメタルのG-SHOCKを実現したのである。

 MR-Gの初期モデルは、G-SHOCKの進化を象徴する革新的な設計の結晶として位置付けられ、同ブランドのイメージ戦略に大きく貢献した。

高級時計の新しい定義 ─ メタル構造への挑戦

 MR-Gシリーズは、G-SHOCKの原点とも言える「DW-5000C」の意匠を踏襲しながらも、より高級感のある素材と精緻な仕上げ技術を取り入れることで、従来のタフネスウォッチを超える高級時計へと昇華した。

 特に「MRG-B5000」の登場は、従来のG-SHOCKのイメージを一変させる出来事であった。このモデルに採用されたフルメタルケースは、耐久性だけでなく美的価値も追求されており、64チタンやDAT55Gといったチタン合金、さらにはコバリオンといった素材を用いて上質な仕上げを施している。

Photograph by Keita Takahashi
G-SHOCK「MRG-B5000 Series」Ref.MRG-B5000D-1JR
オリジンとも称される「DW-5000C」をフルメタル化したRef.MRG-B5000D-1JR。タフソーラー。フル充電時約22カ月稼働(パワーセーブ時)。Ti×コバリオン+チタンカーバイド(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。42万9000円(税込み)。

 外装を細分化することで細かい箇所まで磨きと仕上げが取り入れられ、製品ひとつひとつに個性と高級感が宿る。こうした丁寧な作り込みにより、MR-Gは単なる時計の枠を超え、所有者の感性に響く存在へと進化したのである。

進化する耐久性 ─ 時代とともに進化する技術

 MR-Gは、時代の変化とともに、耐久性や機能性の進化を続けてきた。特に高額品の一部素材には高硬度合金であるコバリオンが使用され、軽量でありながら高い耐久性を誇る。これらの素材は、一般的なステンレススティールの数倍の硬度を持ち、独特の光沢を備えているため、耐衝撃性と高級感を両立することに成功している。

 さらに、Bluetooth機能を搭載したモデルでは、スマートフォンとの連携によって正確な時刻合わせや世界各地のタイムゾーン設定が直感的に行える。こうした先進技術の導入は、時計の実用性を大幅に向上させると同時に、現代的なライフスタイルに適応した新たな価値を提供している。

 MR-Gシリーズは、G-SHOCKが持つタフネスの本質を維持しつつ、革新と高級感を兼ね備えた究極のタイムピースとしての地位を確立している。時計業界における「耐久性」と「高級感」の新しい基準を示し続けているのだ。


MR-Gに込められたデザイン哲学

 耐久性と高級感を融合したMR-Gが持つデザイン哲学は、世界中の時計愛好家を魅了している。その魅力を見ていこう。

日本美学と現代技術の融合

Photograph by Yu Mitamura
G-SHOCK「MRG-B2000 Series」Ref.MRG-B2000B-1A4JR/MRG-B2000B-1AJR
2017年にリリースされた“赤備え”(右)と、2021年にリリースされた“勝色”(左)。タフソーラー。フル充電時約26カ月稼働(パワーセーブ時)。Tiケース(縦54.7×横49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。34万6500円(税込み)。

 MR-Gの一部のモデルでは、伝統的な日本美学を現代的に解釈し、そのデザインに反映させている。武将の鎧に由来する「勝色」(MRG-B2000R-1AJR)や「赤備え」(MRG-G1000B-1A4JR) では、伝統的な日本の色彩を採用し、これらの色を文字盤やケースに落とし込むことで、力強さと洗練を兼ね備えた意匠が生み出されている。

 こうした要素は、世界的に見ても他にはない独自性を放つとともに、MR-Gが持つ耐久性や機能性の象徴としての役割を果たしているのである。

素材選定の妙 ─ チタンと特殊合金を使った外装表現

 MR-Gの特徴のひとつとして、素材選定の妙が挙げられる。例えば前述のMRG-B5000。外装に使用される64チタンとDAT55Gというふたつのチタン合金は、軽量性と強度を両立した素材であり、快適な装着感と高い耐久性を実現している。また、トップベゼルに採用される特殊合金、コバリオンはステンレススティールの数倍の硬度を持ちながら、プラチナに匹敵する輝きを放つ。そのため、見た目の美しさと実用性を同時に満たしている。

 コバリオンをはじめとする高性能素材を生かすには、高度な加工技術が欠かせない。これらは手作業による研磨など、多くの工程を経て仕上げられていくのだ。例えば、ベゼルの鏡面仕上げでは、磨き込む工程を何度も繰り返し行い、微細な傷ひとつない仕上がりを追求する。このような手作業による丁寧な仕上げは、MR-Gの特別な価値を形作る重要な要素だ。

外装と仕上げ ─ MR-Gならではの独自の美しさ

Photograph by Yu Mitamura
丁寧に仕上げられていることが分かる外装。画像はRef.MRG-B2000B-1A4JR。

 MR-Gの外装には、カシオの時計製造におけるノウハウが凝縮されている。特に、ケースやベゼルに施される多段階の研磨プロセスは、MR-Gの美しさを際立たせる重要なポイントである。鏡面仕上げとヘアライン仕上げを巧みに組み合わせることで、光が当たる角度によって異なる表情を見せる奥行きのある質感が生み出される。

 さらに、一部モデルが採用するDLC(ダイアモンドライクカーボン)処理による耐摩耗性の向上も見逃せない特徴である。この処理により、深みのある独特の色調と高い耐久性が付与され、長期間使用してもその美しさを保つことが可能となっている。

 こうした細部への配慮が、MR-Gの圧倒的な存在感を支えている。手に取った瞬間に感じる完成度の高さと、耐久性を両立した仕上げの品質は、時計愛好家にとって比類ない価値を提供するのである。


MR-Gのケース構造と素材の進化

 タフネスウォッチの頂点に立つMR-Gは、その構造設計においても妥協を許さない。最新の工学技術は前例のない耐久性を実現している。

新素材による更なる強度 ─ コバリオンの採用

 一部モデルで用いられるコバリオンの導入は、MR-Gシリーズの耐久性と美観を次のレベルへと引き上げた。このコバルトクロム合金は、医療分野で使用される高性能素材であり、その特性は時計製造にも非常に適している。ステンレススティールの数倍の硬度を誇るこの素材は傷が付きにくく、優れた耐久性を持つ。

 また、生体適合性にも優れており、長時間の着用でも肌への負担が少ない。この特徴は、日常使いだけでなく、過酷な環境下での使用にも適している点である。コバリオンの採用は、MR-Gが単なる耐久時計にとどまらず、高級時計としての価値を確立しつつ、実用性を犠牲にしない開発思想を体現している。

ケース構造に見る実用性と高級感の融合

 MR-Gのケース構造は、耐衝撃性能と高級感を高次元で融合させたカシオの技術結晶とも言えるものだ。多層構造を採用することで、フルメタル時計特有の衝撃吸収性の課題を解決している。この多層構造は、外装の強度を高めるだけでなく、内部のモジュール(ムーブメント)を効果的に保護する設計となっている。

 具体例として、ベゼルとケースの接合部には高性能な緩衝材が組み込まれており、衝撃を効率的に吸収する。また、裏蓋には防水性能と装着感を向上させるための精密な加工が施されており、日常から特殊な環境下に至るまで幅広い使用状況に対応可能である。これらの工夫により、MR-Gは実用性を極限まで高めながら、美しいフォルムと独自の高級感を実現している。こうした設計哲学こそ、MR-Gが他の時計と一線を画す理由であると言えるだろう。


MR-Gシリーズのおすすめモデル

 MR-Gの魅力を体現する代表的なモデルを紹介する。それぞれのモデルは、異なる個性を持ちながら、MR-Gとしての確かな品質を備えている。

MRG-B5000B-1JR

MR-G 人気ランキング

カシオ「MRG-B5000 Series」Ref.MRG-B5000B-1JR
タフソーラー。フル充電時約22カ月稼働(パワーセーブ時)。64Ti×コバリオンケース(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。49万5000円(税込み)。

 G-SHOCKの原点であるスクエアケースを、フルメタル素材と卓越した仕上げでMR-Gのトップモデルに昇華させた「MRG-B5000B-1JR」。その圧倒的な存在感は、歴史と革新の見事な調和を体現している。

 トップベゼルにコバリオンを用いた初のモデルでもある。同素材を磨き込むことで、高級時計顔負けの歪みない面を実現した。基本的にはチタン合金によって外装が作られているため、とにかく軽量。しかし、その仕上げのクオリティのため、確かな質感を感じられる。

MRG-B2100D-1AJR

MRG-B2100D-1AJR

G-SHOCK「MRG-B2100 Series」Ref.MRG-B5000B-1JR
タフソーラー。フル充電時約22カ月稼働(パワーセーブ時)。64Ti×コバリオンケース(縦49.5×横44.4mm、厚さ13.6mm)。20気圧防水。57万2000円(税込み)。

 “カシオーク”こと2100シリーズの意匠を継承しながら、金属ケースをまとった「MRG-B2100D-1AJR」。八角形のベゼルはチタン合金製で、独特の存在感を放つ。他のモデル同様に硬度の高いチタンケースとベゼルの間にファインレジン緩衝体を挟み込むことで、フルメタルケースでも耐衝撃性を確保している。

 文字盤デザインは日本の伝統技術である木組からインスピレーションを受けたもの。精緻なレイヤー構造を採用し、視認性と高級感を両立している。さらに、Bluetooth接続機能により、スマートフォンとの連携も可能だ。日常使いから特別な場面まで、幅広いシーンで活躍する1本として、多くの時計愛好家から支持を得ている。

MRG-BF1000R-1AJR

MRG-BF1000R-1AJR

G-SHOCK「フロッグマン」MRG-BF1000R-1AJR
タフソーラー。フル充電時約29カ月稼働(パワーセーブ時)。64Tiケース(縦56×横49.7mm、厚さ18.6mm)。200m防水。59万4000円(税込み)。

 ISO 6425にも準拠した、本格ダイバーズにして人気シリーズのフロッグマン。同シリーズのMR-G版が「MRG-BF1000R-1AJR」である。

 9時位置側にヘッドがオフセットされる特徴的なケースデザインは、機能性と装飾性を高次元で両立している。文字盤には複雑な階層構造を採用することで、視認性を確保。また、ベゼルとケースの接合部には、独自の衝撃吸収構造を内蔵する。

MRG-B2000B-1AJR

MR-G 人気ランキング

G-SHOCK「MRG-B2000 Series」Ref.MRG-B2000B-1AJR
タフソーラー。フル充電時約26カ月稼働(パワーセーブ時)。Tiケース(縦54.7×横49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。34万6500円(税込み)。

 日本の伝統的な美意識を現代的に解釈した、MR-Gを代表するモデルのひとつ。

 特筆すべきは、深みのある漆黒のカラーリングと、繊細な仕上げの対比が生み出す独特の質感だ。DLC処理を施したチタンケースは、耐摩耗性に優れながら、上品な光沢を放つ。また、文字盤のインデックスは、刀の反りをイメージして、緩やかなカーブを描くように作られている。

MRG-B2000B-1A4JR

 鮮やかな赤をアクセントカラーに採用した意欲作。その大胆な配色は戦国時代の部隊編成のひとつで、甲冑などに赤系の色を施した「赤備え」からインスピレーションを得ている。

 MRG-B5000系では外装素材にチタン合金を多く用いたが、本作では純チタンがケースとブレスレットに使用される。グレード5系のチタンよりも硬度が低い同素材には、深層硬化処理とDLCコーティングを施すことで耐傷性が高められている。


G-SHOCKのMR-Gが示す、至高の革新と美学の結晶

 MR-Gは、G-SHOCKブランドの頂点に立つモデルとして、時計における新たな価値観を提示し続けている。その真価は、単なる高級化ではなく、タフネスという揺るぎない価値観と、最高級の素材や技術、そして日本の伝統的な美意識の融合にある。実際の着用シーンにおいても、ビジネスからカジュアルまで幅広い場面で活躍し、装着する人の個性を自然に引き立てる存在となっている。

 そして何より重要なのは、MR-Gが示す未来への可能性だ。時計に求められる価値は、時代とともに変化している。正確な時を刻むだけでなく、装着する人の生活や価値観を表現する手段として、腕時計の役割は拡大している。その中でMR-Gは、確かな機能性と審美性を兼ね備えた新しい時計の形を提示している。

 上記の理由から時計愛好家にとって、MR-Gは単なる高級モデルを超えた特別な存在となっている。今後も、時計文化の新たな地平を切り開く存在の一端として、その価値を増し続けていくに違いない。



Contact info: カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925


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