トレンドのグリーンダイアルに興味はあるものの、手元だけ妙に浮いてしまうことを心配して二の足を踏んでいる方も多いだろう。そんな方はぜひロレアートの“セージグリーン”をチェックしてほしい。見る角度で微妙に色合いを変える上品なスモーキーなグリーンは、ジラール・ペルゴのアイコンを新鮮に彩るとともに、幅広い装いをさりげなく“今”にアップデートしてくれる。
吉田 巌:編集・文 Edited & Text by Iwao Yoshida
四方章敬:スタイリング Styling by Akihiro Shikata
[クロノス日本版 2025年1月号掲載記事]
ジラール・ペルゴ「ロレアート セージグリーン」
トノー型に円形の台座と八角形のベゼルを載せた個性的なケースの造形や、そのケースとシームレスにつながる美しいブレスレットなど、1975年の初代モデルから受け継ぐロレアートの完成されたデザインを壊さずに、コンパクトな直径38mmのSSケースで仕立てたモデルの新色。光の当たる角度で繊細に色合いを変えるセージグリーン文字盤の魅力で、小径のトレンドに乗りたい男性のみならず、女性にも人気を博しそうだ。他にミッドナイトブルー文字盤とコッパー文字盤もあり。自動巻き(Cal.GP03300-2476)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径38mm、厚さ10.02mm)。100m防水。209万円(税込み)。
ライトグレーやライトベージュ、スモーキーなパステルカラーなど、最近は、ビビッドさを控えた柔らかな色合いのアイテムをコーディネートに取り入れるのがトレンド。「ロレアート」の“セージグリーン”はこうした流れと呼応する絶妙な色調だ。ジラール・ペルゴ自身もこの色に手応えを感じているのか、先にリリースされた42mm径の18KPGケースに続き、38mm径のSSケースでも新たにセージグリーンダイアルが登場した。
ご存じの通り、グリーンは時計界の最旬カラーだが、ロレアートのそれはややグレーがかかった色味。一見落ち着いた色調ながら、文字盤のクル・ド・パリ装飾の陰影により角度によってグリーンの色味が際立ち、手首でハッとするような美しさを発揮するのがいい。GPロゴなどに配されたゴールドカラーも、スモーキーなグリーンによく映えている。
豪華な18KPGケースモデルでありながら、ポリッシュとサテンの巧みな仕上げ分けや、繊細な色味のセージグリーン文字盤の効果で、決してこれ見よがしな雰囲気とならない絶妙な塩梅。これならドレスからカジュアルまで幅広いスタイルで着けやすいだろう。なお右ページのSSモデルの文字盤はGPロゴとセンター秒針のみをゴールドカラーとしていたが、こちらは全ての針とインデックスをゴールドで仕上げ、より格調高き盤面に。他にウルトラマリンブルー文字盤もあり。自動巻き(Cal.GP01800-2311)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。18KPGケース(直径42mm、厚さ10.68mm)。50m防水。730万4000円(税込み)。
ロレアートは、1970年代に起源を持つブレスレット一体型の高級スポーツウォッチの中でも、ギラついた雰囲気が薄いが、存在感があり上質さを楽しめるところが時計通に支持される要因のひとつ。控えめに華やぐ今らしい文字盤カラーを得たことで、そのクワイエットラグジュアリーな側面が一層強調された感じだ。ちなみに両モデルとも自社製のムーブメントをシースルーバックで披露。もちろんローターやブリッジには美しい装飾が存分になされ、所有者は名門マニュファクチュールの逸品を手に入れた優越感にしっかりと浸れる。
なおセージという言葉には、「賢明な」「思慮深い」という意味もある。これ見よがしなところはないのに、相手に確実にセンスの良さが伝わる時計が欲しい方にとって、セージ色のロレアートは、その言葉通りの選択となりそうだ。