高級ソーラー電波ウォッチ5選。優れた機能性とデザイン性が両立したハイテクウォッチに注目

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2024.12.12

高価格帯のソーラー電波ウォッチから、厳選した5本をピックアップ。ソーラーセルの進化によってデザインの自由度が増したダイアルや、あらゆる場所で正確な時刻を知ることができるGPS電波受信機能など、技術の進歩に伴って、よりデザイン性と機能性を向上させた現代の高級ソーラー電波ウォッチの実力とは?

野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2024年12月12日公開記事]


技術の進歩によって存在感を増した、「高級」ソーラー電波ウォッチ

 高級時計というと、その多くは機械式ムーブメントを搭載している。歯車と主ゼンマイによって精密に時を刻む機械式ムーブメントは、人類が長い歴史の中で築き上げてきたロマンにあふれ、細部にまで施された職人の手作業による装飾は、見る者をうっとりとさせる。しかし、日に数秒から数十秒のズレが生じ、その補正が必要になることや、主ゼンマイの巻き上げが必要になること、そして数年おきに訪れるオーバーホールによるランニングコストがかかることなど、機械式時計とうまく付き合っていくには、いくつか注意すべきポイントがある。

 そんな煩雑さから解放され、優れた仕上げの外装や装着感などにフォーカスして高級時計を楽しみたい方にぴったりなのが、「高級ソーラー電波ウォッチ」だ。ソーラーセルによって光を電力に変えて動く、定期的な電池交換が不要なクォーツウォッチであり、さらに電波を受信することによって、自動で時刻補正を行うことができる。つまり、基本的にはメンテナンスフリーで使用することができるのだ。

 従来、ソーラー電波ウォッチは機能の特性上、多くの光を取り込める透過性の高いダイアルであることや、アンテナが電波を受信しやすい非金属製のケースであることが求められていたが、現代ではソーラーセルの小型化や高効率化、また、アンテナや受信回路の改善によって、それらの制約は過去のものとなりつつある。技術の進歩は、ソーラー電波ウォッチに高級時計としての存在感を与えたのだ。今回は、機械式時計とは一味違った、ソーラー電波ウォッチの世界をのぞいてみよう。


カシオ オシアナス「マンタ」Ref.OCW-SG1000ZE

オシアナス OCW-SG1000ZE

オシアナス「OCW-SG1000ZE」
新開発の「ガリウムタフソーラー」を採用することで、自由度の高いダイアルデザインを実現。この発電システムは、日本初の月面軟着陸を成功させたJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」に搭載された技術を腕時計用に転用したものだ。タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径43mm、厚さ11.7mm)。10気圧防水。世界限定350本。55万円(税込み)。公式ホームページでは完売。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925

 カシオの時計事業参入50周年を記念した数量限定モデル。本作には、カシオ独自のソーラー充電システムであるタフソーラーを進化させた、「ガリウムタフソーラー」が搭載されている。この発電システムは、従来よりも約2~5倍、発電効率を向上させたものであり、ソーラーセルそのものの小型化を実現させた。このガリウムタフソーラーの特性を活用し、金属製のダイアルを採用したのが本作の特徴だ。発電に必要な光は、肉抜きされたデイトディスクのわずかな隙間から取り込んでいる。

 ブラックとゴールドのツートーンのカラーリングは、同社の「0から1」を生み出すものづくりの精神を表現し、「はじまりの灯火」をイメージしたものだ。ダイアルとダイアルリングは一見してブラックだが、実は濃いミッドナイトブルー。オシアナスを象徴するブルーの要素を取り入れつつ、ブルーパープルのグラデーション蒸着を施したデイトディスクへの連続性を生んでいる。

 直線を多用したケースデザインにも注目だ。ベゼルはファセットカットを施したサファイアクリスタルを採用し、チタン製のミドルケースやブレスレットには、ザラツ研磨による平滑な面が与えられ、DLCコーティングによって発色の良いブラックと耐摩耗性をプラスしている。


カシオ G-SHOCK「MR-G」Ref.MRG-B2000JS

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カシオ G-SHOCK「MR-G」Ref.MRG-B2000JS
日本刀「重力丸・燦(じゅうりょくまる・さん)」をモチーフとした意匠がちりばめられた意欲作。刀匠・上山輝平氏、伝統工芸士・野村守氏のデザインや技術が反映されている。タフソーラー。フル充電時約26カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。世界限定800本。110万円(税込み)。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925

 カシオ G-SHOCKの最上位ラインである「MR-G」。その2024年新作のひとつが、世界限定800本で販売される「MRG-B2000JS」だ。本作は、2018年にMR-Gのために製作された日本刀、「重力丸・燦(じゅうりょくまる・さん)」をモチーフとして、その世界観を表現したモデルである。重力丸・燦は、その刀身を刀匠・上山輝平氏、鞘を伝統工芸士・野村守氏が手掛けた作品である。

 ベゼルには再結晶化ハイブリッドチタンを採用し、上山氏が書き起こした刃文を表現している。ブルーグレーのAIPコーティングが施されたミドルケースは、重力丸・燦のイメージカラーであるブルーを表現したものだ。ケースバック中央には、上山氏による「燦」の銘切りが施されている。チタン合金「DAT55G」を用いたブレスレットは、構造色によって虹色に輝く。この煌めきは、重力丸・燦の鞘に用いられた野村氏による青貝の文様を表現したものである。

 大きさや仕上げの異なる3つのインダイアルが並んだダイアルは、外周に扇形のパターン、中央には菱巻パターンを与えることで、立体的に仕上げられている。なお、扇の部分にも構造色となっている。光を透過させるためのポリカーボネート製ダイアルであるものの、裏側に蒸着処理を施すことで金属質な印象に仕上げている。


セイコー アストロン「Nexterシリーズ GPSソーラーモデル」Ref.SBXC159

セイコー アストロン「Nexterシリーズ GPSソーラーモデル」Ref.SBXC159
ブレスレットと一体型フォルムを成すスタイリッシュな印象のケースに、清潔感のあるホワイトのダイアルを組み合わせたモデル。多機能でありながら、洗練された上品さが漂うデザインだ。GPSソーラー(Cal.5X83)。フル充電時約2年駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42mm、厚さ12.4mm)。10気圧防水。28万6000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

 セイコー アストロンの「Nexter(ネクスター)」は、未来を切り開く次世代リーダーに向けて開発されたシリーズだ。ブレスレットと一体型フォルムとなったケースが、アクティブでスタイリッシュな印象をもたらす。そのうちのひとつであるRef.SBXC159は、GPS電波受信による自動時刻補正、ソーラー充電、デュアルタイム、クロノグラフ、カレンダーといった、充実した機能を備えたモデルである。多機能でありながらもモノトーンで統一することでシンプルに仕上げた外装は、まさに次世代のリーダーにふさわしい、虚飾を排したものだ。

 クリスタルホワイトカラーのダイアルには、縦方向のヘアライン調の型打ちパターンが施されている。型打ちパターンがもたらす高質感は、まるで金属と見紛うほど。

 エッジの効いたケースとブレスレットは、長時間着用しても疲れにくい軽量なチタン製。この素材は、抗アレルギー性や耐食性を備えている点も特徴だ。短いコマで構成されたブレスレットはしなやかに手首に寄り添い、10気圧の防水性を備えたケースは、季節を問わず使いやすい。GPS電波受信機能を搭載した時計は、どうしても大きくなりがちだが、本作は直径42mmと程よいサイズ感に収められていることも魅力である。


セイコー アストロン「Nexterシリーズ ソーラー電波モデル」Ref.SBXY063

セイコー アストロン SBXY063

セイコー アストロン「Nexterシリーズ ソーラー電波モデル」Ref.SBXY063
直径40mmを下回るコンパクトなケースに、高性能な光発電クォーツムーブメントを搭載。ダイアルに刻まれているのは、1969年の「クォーツ アストロン」とのつながりを感じさせる水晶モチーフのパターン。光発電クォーツ(Cal.7B72)。フル充電時約2年駆動(パワーセーブ時)。SSケース(直径39.6mm、厚さ9.5mm)。10気圧防水。16万5000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

 セイコー アストロンのNexterシリーズにラインナップするソーラー電波モデル。ブラックのダイアルにあしらわれた型打ちパターンは、1969年に世界で初めて市販されたクォーツウォッチ、初代「クォーツ アストロン」を象徴する水晶をモチーフとしたもの。

 直線基調のケースデザインは、本作の大きな特徴だ。八角形のベゼルやブレスレットと一体型を成すフォルムのケースは、ポリッシュとサテンに磨き分けられ、力強い印象をもたらしている。ケースとブレスレットの素材は、軽量なチタン。独自のコーティングであるダイヤシールドを施すことによって、耐傷性を高めている。ブレスレットには簡単に腕回りを微調整することができるスマートアジャスターが搭載され、汗ばむ季節や腕がむくんだときなど、ワンタッチで対応することが可能だ。

 優れた仕上げが与えられた力強いデザインの外装に加え、定期的な電池交換が不要な光発電機能、そして自動時刻補正が可能な標準電波受信機能など、Nexterシリーズのターゲットである、“未来を切り開く次世代リーダー”にふさわしい1本だ。


シチズン アテッサ「ACT Line」Ref.CC4074-61W

シチズン アテッサ/ ACT Line エコ・ドライブ GPS 衛星電波時計 F950 ダブルダイレクトフライト

シチズン アテッサ「ACT Line」Ref.CC4074-61W
GPS衛星電波受信機能を搭載し、地球上のあらゆる場所で正確な時刻補正を行うことが可能なハイエンドモデル。オンオフどちらのシーンでも使いやすいデザインも魅力だ。光発電エコ・ドライブ。フル充電時約5年駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径44.6mm、厚さ15.4mm)。10気圧防水。34万1000円(税込み)。(問)シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807

 スーツスタイルだけではなく、カジュアルでも使えるデザインが魅力のシチズン アテッサ「ACT Line」。本作は、その最上位ラインであるGPS衛星電波受信機能付きモデルに追加された2024年新作だ。ブラックとピンクゴールドカラーを組み合わせたカラーリングが、力強さと華やかさを両立させている。

 3つのインダイアルが並ぶのは、カッパーカラーのダイアル。メタリック塗装に粗めのサンレイパターンを組み合わせることで、まるで金属のような質感を与えている。サファイアクリスタルに覆われたベゼルには、ダイレクトフライト機能で用いる都市名表示が配されている。

 直線を取り入れたシャープなラインのケースとブレスレットは、軽量かつ耐食性に優れるチタンをさらに進化させ、耐傷性も高めたスーパーチタニウム製。ブラックとピンクゴールドのカラーリングは、表面処理であるデュラテクトピンクとデュラテクトDLCによるものだ。

 アテッサらしい充実した機能も魅力。クロノグラフやワールドタイム、アラーム、パーペチュアルカレンダーなど、ふたつのプッシュボタンとリュウズによってさまざまな機能を使用することができる。