カシオ計算機の2024年売り上げ本数データを基に、「オシアナス」の人気ランキングTop5を紹介する。誕生から20周年を迎える今年、数々の注目作がリリースされた中、最も売れたモデルとは?
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2024年12月15日公開記事]
20周年を迎えたオシアナスの中で、最も人気のあるモデルは?
オシアナスは2004年11月に誕生した、「OCW-500」からその歴史をスタートさせる。この初代モデルは世界初のクロノグラフおよびデュアルタイム機能を備えた、フルメタル製のソーラー電波ウォッチであった。同時に「新しいエレガンス」が目指されており、「世界中で正確な時を刻む精度」と「研ぎ澄まされた造形物としての精度」の、ふたつの精度を追求・徹底的に検証したうえで生み出された腕時計でもある。そのためオシアナスは、高機能かつ高性能であることはもちろん、デザインや仕上げ、操作性や装着感も妥協せずに突き詰められており、高品質なソーラー電波ウォッチとして、時計市場で独自のポジションを築き上げてきた。なお、オシアナスは海の神「オケアノス(ラテン名ではオケアヌス)」に由来しており、波をモチーフとしたロゴや、独創的な色合いを持つオシアナスブルーを採用。こういった優雅な海を思わせるディテールも、特徴のひとつとなっている。また、「OCW-T200」を除くすべてのモデルはチタン製で、かつ丁寧な仕上げが与えられている。
そんなオシアナスは、2024年で誕生から20周年を迎える。長い歴史の中で品質を研ぎ澄ましつつ、多彩なバリエーション展開が行われてきた本シリーズのうち、人気を集めているのはどのモデルなのか? 2024年のTop5ランキングを紹介しよう。
第5位:マンタ OCW-S7000BV-2AJR
タフソーラー。フル充電時約19カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42.8mm、厚さ9.5mm)。10気圧防水。世界限定1200本。25万8500円(税込み)。生産終了。
第5位は、オシアナス20周年を記念して今年の5月に発売された、「OCW-S7000BV」だ。「S7000」シリーズから打ち出された限定モデルで、オシアナスの挑戦を航海になぞらえ、その長い旅路の中で見つけた海の情景をインスパイアしているという。
まず目を引くのが、サファイアクリスタル製ベゼルだ。このベゼルは20面のカッティングが施されており、さらに青から黒へとグラデーションする蒸着処理がなされることによって、光の当たる角度で異なる色調を出し、さながらたゆたう波の表情を見ているようだ。なお、通常S7000シリーズは丸型ベゼルだが、20周年の歴史を刻むという意味を込めて20面となった。
また、マザー・オブ・パールの文字盤を採用していることも、特筆すべき点だ。ソーラーウォッチはソーラーセルに受光させるために、ポリカーボネートなどといった透過率の高い素材を文字盤に使うことが多い。しかし本作は、インダイアル部分でのみ充電量を確保するインダイアルソーラーを採用。さらにラッピング処理したマザー・オブ・パールは両面から着色されており、この素材のパターンが際立つ青色に仕上がっている。
世界限定1200本であったため、残念ながら現在ホームページでは生産終了となっている。しかし、オシアナスの20周年という節目を祝うのにふさわしい1本であることは間違いない。
第4位:クラシックライン OCW-T2600-1AJF
タフソーラー。フル充電時約22カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42.8mm、厚さ10.7mm)。10気圧防水。11万円(税込み)。
第4位は、「クラシックライン」に分類される「OCW-T2600-1AJF」。ちなみに昨年の人気ランキングでは、第3位であった。ひとつ順位を落としているとはいえ、毎年選ばれ続ける定番モデルであることがうかがえる。実際、シンプルなフォルムに視認性を追求した文字盤デザインを備えるベーシックな「OCW-T2600」は、幅広い層のユーザーにとって良い選択肢となるソーラー電波ウォッチだろう。一方で文字盤のフランジやインダイアル外周などにオシアナスのテーマカラーでもあるブルーをさりげなくあしらっており、エレガンスが感じられる意匠となっている。
前述したマンタシリーズなどと比べて価格が抑えられているため、初めての高級腕時計としても好適だ。手の届きやすい価格とはいえ、ザラツ研磨によって平滑に磨かれ、さらにチタンカーバイトによって表面硬化が施されたケース・ブレスレットなど、オシアナスらしい品質の高さは健在なので、安心してほしい。
第3位:3 hands model OCW-T200S-1AJF
タフソーラー。フル充電時約20カ月駆動(パワーセーブ時)。SSケース(直径41.4mm、厚さ10.7mm)。10気圧防水。6万6000円(税込み)。
チタン製モデルが多いオシアナスの中で、ステンレススティールをケース・ブレスレットに用いた「OCW-T200S-1AJF」が第3位にランクイン。さらに3針と日付表示の小窓のみという、機能も意匠もミニマルにまとめられたモデルである。ちなみに昨年の人気ランキングで、同型のホワイト文字盤の「OCW-T200S-7AJF」が第4位だった。
シンプルな表示機構に加えてブラックカラーというベーシックな色合いは、ビジネスにもカジュアルにも使いやすい。もっとも地味ということはなく、さりげなく入れられた青の差し色が、本作に個性をもたらしている。
表示機構はシンプルだが、他のオシアナス同様、モバイルリンク/アプリ連携機能が付属している。スマートフォンに専用アプリ「CASIO WATCHES」をダウンロードしたうえで時計とBluetooth通信することで、自動時刻修正やタイムゾーン・サマータイムの変更、時計の電池残量確認などが、スマートフォン上で行える。
第2位:3 hands model OCW-S100-1AJF
タフソーラー。フル充電時約29カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径41.5mm、厚さ10.5mm)。10気圧防水。7万4800円(税込み)。
第2位は、2012年から販売されているロングセラーモデル「OCW-S100-1AJF」だ。第3位にランクインしたOCW-T200S-1AJFと同様に、表示機構は3針+カレンダーのみと、シンプルでベーシックな1本となっている。
ブラックにさりげなくブルーをあしらっている点も同じだが、本作はチタン製となっており、さらにドーフィン針が優雅な印象を本作に与えている。また、シンプル機能なように見えてワールドタイムを搭載しており、スマートアクセスによってリュウズのみで都市設定が可能だ。リュウズを引くと秒針が文字盤フランジにあしらわれた都市コードを指し示すので、リュウズを回して現在地の都市に秒針を合わせるだけで、時刻および日付が動き、その都市のものが表示される。また、サマータイムの設定も、基本的には自動で行ってくれる。
海外時間で活動することの多いユーザーはもちろん、ベーシックな、しかし個性も備えている腕時計を探しているユーザーにお勧めしたいオシアナスである。
第1位:マンタ OCW-S7000D-7AJF
タフソーラー。フル充電時約19カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42.8mm、厚さ9.5mm)。10気圧防水。19万8000円(税込み)。
第1位にランクインしたのは、2024年にマンタ S7000シリーズに追加された、「OCW-S7000D-7AJF」だった。爽やかなホワイトカラーの文字盤と、その色味とコントラストを成すオシアナスブルーのインダイアルが備わることで、“パンダ”風の文字盤を備えていることが特徴だ。第5位のモデル紹介でも記している通り、通常ソーラーウォッチというのは透過率の高い素材を文字盤に使う必要があり、そのため安価なモデルには、文字盤にプラスティック感が出てしまっていたり、ソーラーセルが透けてしまったりしているものも見受けられる。半面、日本の時計ブランドを中心に、ソーラーウォッチの文字盤の質感は向上の一途を見せており、カシオもそんな上質なソーラーウォッチを手掛けるブランドのひとつだ。メタリックな文字盤や、まるで塗装のように発色の良い文字盤を実現したモデルをリリースしている。
そんな中で本作はホワイトという、他の色に比べてプラスティック感が出やすかったり、内部パーツが透けやすかったりする色を使って、高級感のあるパンダ文字盤を表現した。多角形フォルムのチタン製ベゼルにセッティングされた、ブルー蒸着のサファイアクリスタル製リングや複雑な形状ながらザラツ研磨を使って丁寧に磨かれたケース・ブレスレットと相まって、数あるソーラー電波ウォッチの中でも、特別感あふれる1本に仕上がっており、売れ筋1位も納得の結果である。
20周年を迎えて、ますます進化していくオシアナス
カシオの2024年の売り上げデータを基にした、オシアナス人気ランキングTop5を掲載した。
本記事には出てこなかったが、カシオの時計事業参入50周年記念モデルであり、オシアナスで初めてメタル製文字盤を搭載することに成功した「OCW-SG1000ZE」や、「マンタ」のコンパクトな3針モデルとなる「OCW-S400」など、名作の数々を挙げ出すとキリがない同ブランド。20周年を迎えて、最先端テクノロジーを強みに、いっそうエレガントに、いっそう機能性豊かに進化し続けるオシアナス。2025年も、このブランドから目が離せない。