オンリーウォッチ用モデルを経て、2022年に正式に“2.0”にアップデートされたジラール・ペルゴ「キャスケット」。その最終エディションがチタンとゴールドをまとってローンチされた。
細田雄人(本誌):文 Text & Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年1月号掲載記事]
ジラール・ペルゴが「最後の“Ver.2.0”」を発表
キャスケット 2.0の最後を飾るモデル。かつて販売されていたSSモデルの外装をチタンで再現し、加えて18KYG製プッシュボタンで18KGPモデルにもオマージュを捧げた。オンリーウォッチやサンローランモデルを含めると5作目にあたる。クォーツ(Cal.GP03980)。Ti×18KYGケース(縦42.40×横33.60mm、厚さ14.64mm)。50m防水。世界限定820本。完売。
ジラール・ペルゴが1970年代に販売していたLEDウォッチが現代によみがえって3年弱。現代的な“アップデート”を経て「2.0」にバージョンアップした「キャスケット 2.0」が、早くも最終エディションを送り出した。
世界で820本を販売する「キャスケット 2.0 チタン&ゴールド」は、その名の通りチタンをケースとブレスレットに、18KYGを左右のプッシュボタンに使用したモデルだ。2022年に発表された復刻第1弾のセラミック外装が初代モデルで象徴的だったマクロロンを彷彿とさせる仕上げを与えられていたのに対し、今作ではかつてのステンレススティールモデルを連想させる工夫が凝らされている。例えばヘッドに入れられた縦方向のサテン仕上げは、筋目の向きがしっかりオリジナル準拠だ。そのうえチタンの色味が限りなくスティールに近づけられている。外装水準の高さと相まって、手に取るまでチタンと気付かず、思わずその軽さに驚くレベルだ。
第1弾に続く、ブレスレットの出来にも驚かされる。コマを中空にし、ラバーを嵌め込む手法は健在。肌あたりの良さと適切なコマの遊びは、軽量さと相まって高い装着感を実現した。加えて今作には微調整機能まで採用されている。
なお、すでに同作は世界で予約完売済み。この事実が証明するように、キャスケット 2.0人気は世界的に相当なものだ。この勢いに加え、新規開発したLEDウォッチ専用ムーブメントは他のコレクションに転用が利かない存在のため、本当にこれでシリーズが終了とはにわかに考えづらいところだ。ブランドが“最後”と謳ってはいるものの、勝手に今後の展開を期待してしまう……それくらいよく出来た復刻シリーズであった。