多彩なシリーズ展開が行われているG-SHOCK。今回は、陸、海、空、それぞれでの使用を想定した性能が特徴の、「MASTER OF G(マスターオブG)」シリーズに注目。カシオの売り上げ本数データを基にした、2024年人気ランキングTOP5を紹介する。いずれもG-SHOCKらしさにあふれるデザインを持ちながら、各用途に特化した機能が魅力である。
Text by Shinichi Sato
[2024年12月18日公開記事]
2024年に人気を集めた「MASTER OF G(マスターオブG)」5モデルはこれだ!
「MASTER OF G」は、堅牢なツールウォッチとして評価の高いG-SHOCKを、さらに「陸G」「海G」「空G」として3つの過酷な環境に特化させ、進化させたシリーズである。G-SHOCKの基本性能に磨きをかけつつ、各環境で求められる性能や機能を盛り込んだことで、極限に挑戦し続けるプロフェッショナルに向けたモデルとして仕上げられている。また、そのストイックなスタイリングと性能はタウンユースでも存在感を放ってきた。
そんなMASTER OF Gは、それぞれのステージで多彩なバリエーションが展開されている。本年はどのモデルが最も人気となったのか? カシオの売り上げ本数データをもとにした、MASTER OF Gの2024年人気ランキングTOP5を紹介しよう。
第1位:「レンジマン GPR-H1000-1JR」
クォーツ(ソーラー充電および接触式充電器による充電)。フル充電時約23カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×樹脂ケース(縦60.6×横53.2mm、厚さ20.3mm)。20気圧防水。7万1500円(税込み)。
第1位は、「陸G」の中でも、トレッキングやトレイルランを含むランニング、サイクリング、海洋での水泳に加え、それらに挑戦するための日々のトレーニングにも適した機能を有する「レンジマン GPR-H1000-1JR」だ。特に、トレッキングを想定した機能は本作が初搭載となる。
カシオは登山用ウォッチ「PRO TREK」で高い評価を得ており、本作にもその技術が投入されている。PRO TREKにも搭載される磁気(方位)、気圧、温度センサーの3つに加え、光学式心拍センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーの合計6つのセンサーを搭載し、GPS機能も有する。これらを組み合わせ、アクティビティー時の位置情報と、その時の心拍数やエネルギー消費をロギング可能だ。収集したデータはスマートフォンと連動し、細やかに分析可能である。
外装は、過酷な環境に対応する耐衝撃、防塵・防泥、防水性能が追求されたもので、精密なセンサーを確実に動作させるために、鍛造成型のボタンガード、MIM(金属粉末射出)成形によるセンサーカバーが与えられており、各操作系およびセンサー部のシールも入念に設計されている。
このように、充実した機能と高い信頼性に加えて、高精細・高コントラストなMIP液晶や、濡れても滑りにくいストラップ表面のテクスチャーなど、ユーザーを支える細やかな配慮がなされていることが、本作が支持された理由であろう。
第2位:「マッドマスター GWG-B1000-1AJF」
タフソーラー。フル充電時約24カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×樹脂ケース(縦58.7mm、横52.1mm、厚さ16.2mm)。20気圧防水。13万2000円(税込み)。
第2位に輝いたのが、「陸G」の「マッドマスター GWG-B1000-1AJF」である。マッドマスターは、G-SHOCKの代名詞と言えるタフネスを高めたラインナップで、その中でもGWG-B1000-1AJFはフラッグシップに位置付けられるモデルだ。
タフネスを高めるため、異素材のパーツを組み合わせたガード構造が本作の特徴だ。カーボンファイバー強化樹脂によるカーボンコアガードによってモジュールを保護し、ベゼルリングと上下のベゼルガード、フロントボタンガードにステンレススティールを使用している。ベゼルガードは鍛造加工でベゼル状に成形したパーツから、ガード部分のみを削り出し、フロントボタンガードは粉末状の金属を射出成形するMIM成形で複雑な造形を精密に仕上げている。
機能も充実しており、方位、温度、気圧、高度の各種計測が可能だ。電波受信による時刻自動修正、スマートフォンとの連携機能も有し、極めて堅牢かつ高機能である点が、本作の魅力だ。
第3位:「マッドマスター GWG-100-1AJF」
タフソーラー。パワーリザーブ約18カ月駆動(パワーセービング時)。SS×樹脂ケース(56.2×54.9mm、17.3mm)。20気圧防水。5万9400円(税込み)。
第3位に輝いたのが、「陸G」の「マッドマスター GWG-100-1AJF」である。本作は、陸Gのボトムグレードに位置するモデルとなるが、MASTER OF Gの名に恥じない仕上がりだ。基本となる耐衝撃性能に加え、マッドマスターの特徴である防塵・防泥性能のために、ボタンを保護するシリンダー状のパイプとボタンに内蔵されたガスケットによるボタンガードシリンダー構造を採用している。
デザインは、災害救助で活躍する特殊車両や工具の無骨なイメージから着想を得たもので、過酷な状況下においても視認性を高めるため、幅広の時分針と大型のアラビア数字インデックスを採用する。また、タフソーラー、電波受信による時刻修正など、実用性を高める機能も充実している。なお本作は2023年のランキングでも第3位を獲得しており、定番の人気モデルとして支持されていることが伺える。
第4位:「マッドマスター GWG-1000-1A3JF」
クォーツ。タフソーラー。フル充電時約25カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×樹脂ケース(縦56.7×横56.1mm、厚さ18mm)。20気圧防水。10万4500円(税込み)。
第4位にランクインしたのは、「陸G」の「マッドマスター GWG-1000-1A3JF」だ。防塵・防泥性能を高めたマッドマスターの中でも、本作は、瓦礫や土砂が山積みになり、散乱するような極限の陸上で働く人々を支えるべく開発されたモデルだ。特徴は、電動カッターや破砕機といった大型機材を使用する際の振動に耐える耐振動構造を採用している点だ。また、トリプルセンサーを搭載し、方位、気圧・高度、温度情報を取得可能となっている。
大型のアラビア数字インデックスや時分針には矢羽型の矢印をモチーフにした極太の針、ダブルLEDライト、風防のサファイアクリスタルガラス等により視認性が高められている点も、極限の環境の中でミッションに取り組む人々にとっては重要なファクターだ。バンドには重機のグリップやすべり止めをイメージしたテクスチャー、すべてのボタンに操作性を高めるチェッカリングを施し、ミリタリーテイストあふれるデザインに仕上げられている点も、本作の魅力のひとつである。
第5位:「フロッグマン GWF-1000-1JF」
タフソーラー。パワーリザーブ約26カ月駆動(パワーセービング時)。SS×樹脂ケース(縦58.3×横52.8mm、厚さ18mm)。200m防水。8万8000円(税込み)。
ここまですべて「陸G」であったが、第5位には「海G」のフロッグマンがランクイン。ランクインしたのは「フロッグマン GWF-1000-1JF」だ。本作は2023年に続いて5位となっており、根強い人気がうかがえる。
本作は、ISO規格200m防水を備えた電波ソーラーモデルである。フロッグマンはISO規格に準拠した本格ダイバーズウォッチモデルで、“〇〇マン”という命名が初めて用いられたシリーズでもある。その名前は、装備を着用した潜水工作員がカエルのように見えることからそのように呼ばれていることと関連しており、「潜水ガエル」がキャラクターとして用いられている。
世界6局の標準電波を受信可能で、ログデータメモリーやタイドグラフ、ムーンデータの表示機能も備えるため、世界各国でダイビングを楽しむ人に好適なモデルだ。また、ケースが9時側にオフセットしており、時計着用時に手の甲に干渉することを抑えている点や、ケース上面の大型のビス、爪でベゼルを抑えているかのようなシルエットがフロッグマンのデザインコードである。
2024年は「陸G」が人気だった
ランキングの通り、2024年は陸Gが1位から4位を独占した。1位のレンジマン GPR-H1000-1JRや、2位のマッドマスター GWG-B1000-1AJFは比較的新しいモデルであり、これらが注目を集めたことが影響したのかもしれない。
カシオは、ランクインした各モデルやフラッグシップの「MR-G」の開発を通じて、カーボンファイバー強化樹脂の成型技術や、メタルパーツの仕上げ技術を日々向上させている。来年は、どんな新技術や新モデルが飛び出すのか、今から楽しみである。